日本の文学賞

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戻り川心中 (光文社文庫 れ 3-4)

日本推理作家協会賞

戻り川心中 (光文社文庫 れ 3-4)

連城三紀彦

大正歌壇の寵児とされた歌人・苑田岳葉が、二度の心中未遂で女たちを死なせ、その情死行を歌に残して自害したという伝説の奥をたどる短編。耽美的な情念と端正な謎解きが重なり、愛と創作のために人を巻き込む怖さを浮かび上がらせる。

短編ミステリー耽美歌人心中花葬

作品情報

滅びの歌に秘められた野望が、心中譚を妖しく反転させる。

『戻り川心中』は、花にまつわるミステリーを収めた連城三紀彦の代表的短編集の表題作。大正期の歌人をめぐる心中伝説を起点に、愛、死、創作への執着が一つの真相へ収束していく。叙情的な文体で男女の情念を描きながら、最後に物語の見え方を変える構成が特徴で、日本推理作家協会賞短編部門の受賞作として知られる。

レビュー要約

  • 読者からは、純文学のような文体と情緒を備えながら、結末で鮮やかに視界が変わるミステリーとして支持されている。表題作の余韻や、花と死を結びつける連作短編としての統一感を評価する声が多い。

  • 本格ミステリーとしての驚きに加え、格調のある文章と人物の情念が強く印象に残る作品として読まれている。派手な仕掛けよりも、動機と美意識が反転していく構成に魅力を感じる読者が目立つ。

書籍情報

出版社
光文社
発売日
2006-01-12
ページ数
301ページ
言語
日本語
サイズ
10.5 x 3 x 14.8 cm
ISBN-13
9784334740009
ISBN-10
4334740006
価格
682 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。岳葉が真に 愛したのは? 女たちを死なせてまで彼が求めたものとは? 歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを描く表題作は、日本推理作家協会賞受賞の不朽の名作。耽美と詩情― ―ミステリ史上に輝く、花にまつわる傑作五編。

レビュー

  • 傑作です

    全5編のいずれもが叙情的かつ繊細に、そして美しく儚く描かれ、無駄な描写が一切ありません。細やかな伏線が張り巡らされ、あっと驚く意外な真相が待っているという本格ミステリでありながら、物語全体は純文学としても成り立っていると言えます。謎が謎を呼ぶ展開に読者をどんどん引き込んでいくのは、著者の類稀なる力量と言えると思います。善悪に関わらず、どの物語の登場人物も非常に魅力的です。

  • 文章が素敵

    元々この作家は大好きでしたが この戻り川心中は初めて読みました 文章の随所に 文学生が見受けられて なかなか楽しめました

  • 読みやすい

    一遍ずつで、飽きない。 描写や、比喩、やはり、凄いなと! 人間の根っこを見た感じです。

  • これも紛失したので再購入

    昔、表題作がテレビ化され、田村正和が歌人役だったと思ったが印象に残っている。

  • 「夏の最後の雨が、狭い軒から流れ落ち、路地に喧騒い音をたてる午後でした」

    花にまつわる五つの、ミステリー短編です。 と平たく説明するのは、私に表現力がないから。 月並みな表現になりますが、文章がとても美しいミステリー小説でした。 読後の余韻を味わおうと、巻末の解説を何気なく読み進めると、 本書を的確に言い当てた部分に出くわし、 私は気持ち良く本を閉じることができました。 解説にはネタバレとなる部分もあるため、 立ち読みできる方へも、今回は先に読むことをオススメできません。 そこで僭越ながら、一部を抜粋させていただきます。 『(中略)そのために著者が選んだのが、彼の作風を特徴づける、 余りにも流麗な文章である。 犯人たちが繰り出す極度に人工的なからくりを、 僅かな不自然さも感じさせることなく描ききるには、 その犯罪計画と拮抗するほど人工性を極めた美文が必要とされたのだ』 上記は、本書の巻末にあった、 作家でありミステリ評論家の千街昌之さんの解説です。 解説は、連城さんの美しい文章によっていた私の目を、 心地よく覚ましてくれました。 読書をしていると、作家オリジナルの比喩や、とても凝った文章に出会います。 そうしたときの多くは、文章そのものが鼻につくことが多い印象です。 しかし、連城さんの文章は、なんど読み返しても、美しいと感じる自分がいました。 さらに個人的な感想を言えば、とても読みやすい文章です。 1983年刊を底本としている本書は、 30年以上前の作品、ということになりますが、本書を読むと、 「日本人が感じる日本語の文章の美しさは普遍なんだ」 そんな感慨さえあります。 ミステリ小説の核となるトリック部分は洗練されている印象で、 タイトルにもなっていて、本作の最後に収録される「戻り川心中」は、 まさに本書の代表作品といえます。 万人にすすめたいところですが、 本書はすこしだけ、読者を選ぶような気もします。 理由は、美文が楽しめるか、にあると思うからです。 エンターテイメント性を強く求める読者にとって、 本書の最大の特長が、どれだけの効力を発揮するか。 その点が未知数です。 そういう視点に立つと、平均的か、すごくいいかの、 極端な感想を持つ読者に二分するようにも思います。 個人的には★を7つくらい、つけたい気分ですが、 僭越ながら、読者を選ぶような気がする、という理由で1つ減らし、 ★6つ。 なんども読みたい、そう思う作品です。

  • 30年経っても色あせない美麗な傑作ミステリー短編集

    ミステリーファンではないし、読みながら謎解きに前のめりになるタイプでもないという人に全力でお勧めする。 美文を味わい、人の哀しさが心にしみる物語に浸れる。 大人になって再読して、良さが一層にじみ出てきた。 派手派手しいトリックが主ではないので、何度でも反芻して楽しめて、実はとてもお得な本なのかもしれない。

  • 浪漫溢れる名作

    <2015年10月レビュー> 長らく食わず嫌いでしたがオールタイムベスト10に選ばれていることもあり 漸く読みました しっとりとした文章で綴られた良質のミステリ選集であり、評判にたがわぬ 内容は、何とも言えぬ腹いっぱい胸いっぱいの読後感が味わえます 真似しろとは申し上げませんが、この美しい日本語を見習ってほしいミステリ 作家が大勢いらっしゃいますね(苦笑) <2025年8月追記> 〈花葬〉シリーズ全8編中残りの3編を「夕萩心中」の文庫で漸く読み、あら ためて美文に酔いしれました 絶版のハルキ文庫では全編収録しているそうで、復刊されることを望みます

  • 素直に面白い

    非常に名高い短編集なので手に取った。果たして読んでみて、どの作品もしっかりオチがついているし短編として素直に面白いと思った。特に表題となった「戻り川心中」では架空の歌人の歌がふんだんに登場し、その心理描写が精緻を極めるが、作者の文学的才能をこれでもかと見せつけられる気がする。 作者特有の細かい情景描写、心理描写は長編で読むと、私は少し疲れてしまうので、短編で読むほうが「おなか一杯」にならなくていいのかもしれないと思った。

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