日本の文学賞

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代理処罰

日本ミステリー文学大賞新人賞

代理処罰

嶋中潤

カウントダウンする事件とそれに絡む司法・倫理の問題を描いたミステリー。作者は応募時に「カウントダウン168」というタイトルで応募していた。

正義制裁倫理

作品情報

カウントダウンする事件とそれに絡む司法・倫理の問題を描いたミステリー。作者は応募時に「カウントダウン168」というタイトルで応募していた。

書籍情報

出版社
光文社
発売日
2014-02-19
ページ数
335ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784334929305
ISBN-10
4334929303
価格
2261 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

選考委員をついに落とした、感涙の家族愛ミステリー 最愛の娘が誘拐された。 サラリーマンの岡田に要求された身代金は二千万。 息子の心臓移植、妻の謎めいた失踪……絶体絶命の父親に迫るカウントダウン。 何度も最終候補に残りながら受賞を逃してきた著者の渾身の受賞作!

レビュー

  • スリリングで早く次の展開が知りたくなる。主人公の独白(解説)は好みが分かれるところか。

    日本に住むブラジル人が国内で事件を起こし、逮捕前にブラジルに出国してしまい、犯罪者引渡協定がないため有力な容疑者を逮捕できないという事例が、数年前からしばしば生じているが、著者はそうした社会問題をヴィヴィッドに上手く取り上げ、ミステリーの根幹としている。 ストーリーのテンポが良く、謎めいた伏線を幾重にも張って、読み手に次を読みたくさせる筆力がある。著者がブラジルでの滞在経験があるかどうかは不明だが、滞在経験がある人間の眼で見たような風景描写が素晴らしい。国内でも、ブラジル系住人がもっとも多い群馬県大泉町も取材しているようでリアリティを感じることが出来た。正直、ミステリーの謎解きとしては、読んでいるうちに真犯人が予測できてしまうので、謎解きを強く求める読み手には不満が残るかも知れない。しかし、主人公と、娘、そしてブラジルに里帰りしてしまった妻との間にある “家族愛” がテーマの小説と考えると、とても味わいのある作品と感じた。ちなみに私は謎解きよりストーリー重視なので満足のいく内容だった。 ただ、残念なことに、主人公が他者との会話や状況把握に際して、独白の形で、作者が内容を一から十まで語りきってしまう部分が非常に多く、そのたびに白けた気分になって読書が停止させられた。主人公の性格描写としてというよりも、ストーリーを展開させるために必要な部分を作者が主人公を通して説明してしまう箇所が多用されていると感じた。まあ、この点は好みの問題であり、私のように100%説明されるよりも、むしろ行間から滲み出る余韻をあれこれ楽しみたい者だから、そう感じてしまうだけかもしれない。 また、主人公の家族以外の人間造型が少し浅薄で単純すぎる点も気になったが、枚数の限られた新人文学賞ではやむを得ない事かもしれない。次回作を早く読みたい。

  • 一気に読めてしまう、社会派ミステリー作品

    代理処罰だけでなく国際結婚や臓器移植の問題など、さまざまな日本の問題点をミステリーを通して広く国民に訴えている本のように思われます。ミステリーとしても大変面白く、描写も詳細でとても新人作家とは思えないすばらしい内容でした。今回の作品を機会に、他の作品も読んでみたいと思います。

  • 底が浅い

    うーん。 なんか人気たかいんですが、正直途中で80パーセント以上 想像がついちゃって。 ああ、案の定で。 そうならなかった人にはおもしろいのかもですが・・・ でも、ネタばれしてもおもしろい本はおもしろいので、 そうじゃないこの本は底が浅い気がします。 好き好きなんでしょうけどね。 私はあまり楽しめませんでした。

  • 大変よく出来ました

    デビュー作としては大変よく書けている。全体的な構成力が巧みで隙がない。 読み始めの印象としてはかなり破天荒な話と感じられるが、こういうふうに細部を忽せにせず、 きちんとすべてのパーツをあるべきところに収められるというのは、それだけで大きな才能を感じさせる。 メインとなるトリックも多少のあざとさが感じられないこともないが、実によく計算されていると思う。 なんというか、読んでいるときはそれほど感じないが、後からじわじわと「ああ、良いミステリーを読んだな」 と感じられる作品で、多少リーダビリティに欠ける点もないではないが、其の辺は段々とこなれていくだろう。 作者の経歴を見る限り、まだまだいろいろと手札がありそうな作家でもあり、今後の活躍を楽しみにしている。 ただし、新人で売りたいのはわかるが、見る人が見ればわかるので、サクラの利用はほどほどに。 (実際のところ、このぐらいならまだ「ほどほど」程度とはいえるかもしれないがwwwww)

  • つくりものの家族愛

    最後までサスペンスがあって読めるが、都合のよい偶然はあるし、誘拐の真相は脱力感あふれるし、主人公の父親の感情過多の空回りに息苦しさを覚えた(主人公の感情過多への感じ方は人により違いはあるだろうが)。 〈以下ネタバレあり〉なによりまずいのは、誘拐は娘の狂言誘拐で、妻の出奔は脅迫されてなのだが、そういうことを二人とも主人公にはまったく相談していない。ということは、この家族は主人公が感情過多で語るほど、気持も道理もコミュニケーションできていないのであり、本来それを主人公が認識し、二人に語りかけるべきなのだが、小説ではひっぱたいて説教して終わっている。感情の共有の閾を出ていないように見えるし、そういう家族がひっぱたいて説教して納得するとはまったくリアリズムがない。この小説はブラジルまで行くが、接触するのは多くは日本人、日系人で、ブラジル人やブラジルらしさはあまり描かれない。基本的に他者が書けない。同様にコミュニケーションの乏しい家族という他者を書くことができなかったように考えられる。ここで描かれるのは気分だけの家族愛のようなつくりものだけだ。

  • ブラジルは遠い!?!

    クライマックスまでの緊迫しながらもどちらかと言えばゆったりとした展開(実際には日本->ブラジル->日本と 目まぐるしいかつ時間を限定された状況ですが、なぜかそう感じました)と、対照的などんでん返し。 主人公の内省を含んだ重たい雰囲気と、取り巻く登場人物たちのさらっとした描写。最後まで読んで 納得の設定でした。 筆者のデビュー作とのことなので、次回作にも期待したい。

  • 採点以上に面白いかも

    日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 真相には触れませんが、ややネタバレ気味の部分が最後にあるので、未読の方は注意して下さい。 営利誘拐をテーマとしたミステリーです。☆は3個としましたが、なかなか面白く読めます。特に、 主人公がブラジルに渡ってから、いろんな事件が次々とめまぐるしく起こる場面では、ハラハラドキ ドキ、「なぜこんなことが起きるのだ」と読者を翻弄し、次を読ませる力があります。また、ブラジ ルの風物などの描写がかなり巧みです。作者はブラジルでの生活経験があるのかも知れません。 最近は他の賞の受賞作等で文章が稚拙なものが良くあるのですが、この作品に関しては水準以上と 言って良いでしょう。但し、前後の結びつきが不自然な部分や、台詞の話者が誰であるか分かりにく い箇所等がいくつかありました。それでも文章は悪くなく、全体的には、とても面白く読めます。 なのに敢えて辛く採点したのには理由があります。他の方のレビューにもありますが、犯人の要求 は「娘の母親に金を持って来させろ」というだけなのに、その時点でブラジルに行って母親を連れ帰 そうなどとは、普通思わないでしょう。その不自然さをカバーするためか、「少しでも犯人に余計な ことを言うと、人質にペナルティーを科す」という設定をしていますが、それでもまだ不自然です。 具体的なペナルティーは、人質悠子の頭を丸刈りにするということで、これはかなりショッキングな ペナルティーではあります。しかしこれは、主人公がブラジルに着いてから初めて知らされることで すから、ブラジル行きを正当化させる自然な理由にはなり得ません。 この致命的な瑕疵のために、その後がどんなに面白くても、感情移入できない、という人も多いと 思います。私が辛く採点したのもそのためです。なお、犯人の声のトリックなども、かなり無理があ ります。そのあたりがちゃんとフォローできていれば、☆は4~5を与えて良いと思います。

  • 上質のミステリーです。

    日本とブラジルを舞台にした、スケールの大きな作品です。ブラジル駐在中に日系ブラジル人と結婚した主人公が、帰国後に妻が起した事故をきっかけに、誘拐事件の渦中に巻き込まれてしまう。高校生の娘とは何を話して良いのかわからないごく普通のお父さんです。全然スーパーヒーローではない男が娘の命のために少ない残り時間を最大限に生かして、地球を半周して、文字通り「必死」にがんばります。あれこれ心の中で「こうかな?ああかな?」と考えまくる人間臭い主人公を応援したくなります。著者のデビュー作だそうですが、次回作が待ち遠しいです。

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