日本の文学賞

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銭の弾もて秀吉を撃て ――海商 島井宗室

城山三郎経済小説大賞

銭の弾もて秀吉を撃て ――海商 島井宗室

指方恭一郎

博多の豪商・島井宗室を主人公に、武力の時代に商いの論理で秀吉へ対峙する歴史経済小説です。日本、琉球、朝鮮、明をまたぐ交易の広がりが、戦国史に新しい角度を与えます。

歴史経済小説商人戦国

作品情報

銭の弾もて秀吉を撃て ――海商 島井宗室は、受賞時の評価点を手がかりに作品世界へ入っていける一冊です。

博多の豪商・島井宗室を主人公に、武力の時代に商いの論理で秀吉へ対峙する歴史経済小説です。日本、琉球、朝鮮、明をまたぐ交易の広がりが、戦国史に新しい角度を与えます。 ダイヤモンド社から単行本が刊行され、電子版と文庫版も確認できる。

レビュー要約

  • 刊行情報と紹介文からは、受賞時に評価された題材の明確さと読み進めやすい構成がうかがえる。人物や状況の輪郭を追いやすい点が読みどころになっている。

書籍情報

出版社
ダイヤモンド社
発売日
2011-07-29
ページ数
376ページ
言語
日本語
サイズ
14 x 3.1 x 19.5 cm
ISBN-13
9784478016404
ISBN-10
4478016402
価格
1760 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/歴史・時代小説

■「われら商人は、矢玉の代わりに銭を撃つのだ。 秀吉が武で攻めるなら、われらは商いで受けて立つ。」(本文より) 「商」の力で「武」の秀吉に抗った男、島井宗室。 戦国時代に翻弄されたひとりの商人の数奇なる運命を、圧倒的筆力で描ききる! 博多を舞台に、新たな「歴史経済小説」が幕を開ける!! ■第3回「城山三郎経済小説大賞」受賞作、満を持して登場! 安土敏氏、幸田真音氏激賞! 日本、琉球、朝鮮、明をまたにかけて展開する壮大な物語が、 歴史小説と経済小説の新たな地平を切り拓く。 「『歴史経済小説』という新しいジャンルに挑んだ、待望の作品」 ――幸田真音氏 「自分で商売をやったことのある人には、必ず響くストーリー。 商人としての信念、まさにこのとおりと感服した」 ――安土敏氏 ■圧倒的な武力を誇る秀吉。果たして宗室に勝つすべはあるのか。 (以下、本書より二人の視線が交錯するシーンを抜粋) 文禄五(一五九六)年九月。 秀吉は来朝した明の使節と謁見したが和平交渉は決裂。いよいよ休戦も終わりである。来年の朝鮮国再出兵が決定した。 (中略) 「久しぶりじゃな、博多坊主」 三成を引き連れた太閤秀吉が眼前にいた。宗室は慌てて下座に退き平伏した。 「殿下の御成とは存じ上げませず、ご無礼の数々、ひらにご容赦くださいませ」 秀吉が床の間を背に、先ほどまで宗室が座っていた場所にどかりと腰を落とした。左側方に三成が控える。 秀吉はしばし何も言わない。やがて膝をぴしゃりと打つ音がした。 「博多坊主、面を上げよ。しのびである、畏まるな」 宗室は顔を上げた。だが視線は畳の目にあてたまま。 「先年の役における、博多坊主の補給路構築、見事であったのう」 目を上げて秀吉の表情を窺うと、そこには土気色をした顔に、冷たい目をした秀吉がいた。秀吉の呼気からひどい臭いがした。大坂城で謁見したときよりもひどい臭いである。宗室はその臭いに死臭を重ねた。 だがそうであっても眼光の鋭さはさすが秀吉である。宗室は眼前の老人に怖気をふるった。 秀吉は宗室がやろうとした――いや、やり通したことの意味をよく理解しているのだ。 宗室は秀吉の視線を受け止める。 ――やはり、戦人と商人は相容れぬ者。 たとえ相手が秀吉であっても売られた喧嘩は商人として買う。

指方恭一郎(さしかた・きょういちろう) 1961年福岡県生まれ。龍谷大学文学部卒業。認可保育園園長。趣味は散歩。好きな作家は松本清張、スティーヴン・キング。 2004年、第11回「九州さが大衆文学賞」大賞(笹沢左保賞)受賞のほか、過去3度の「松本清張賞」最終候補(2006年、2007年、2010年)など。 本書『銭の弾もて秀吉を撃て――海商 島井宗室』(旧題『海商ーー秀吉に挑んだ男』)にて、第3回「城山三郎経済小説大賞」受賞。

レビュー

  • 年齢差の説明、書いてますよ

    シゲと宗室の年齢が、西暦表記で5歳ずれるとありますがP276にその理由が書いてありますよ

  • 予想外におもしろかった

    秀吉の「唐入り」で兵站を担った博多の豪商が主人公。 「歴史経済小説」という聞きなれない触れ込みにどんな展開になるか読めなかった分楽しめました。 元武士として成長しながら奴隷として売られ島井次郎右衛門に拾われる過程の活劇的な要素。 すぐに頭角を現して奴隷売買の売主に復讐し本懐を遂げるというシンデレラストーリー。 そして、権力者秀吉に屈することなく、銭の力で朝鮮での戦争を膠着化させ、被害の拡大を 防ごうとする反骨精神。 どれも日本人好みな設定です。 残念なのは年代設定。 1591年に53歳であった宋室は、1552年には19歳。 西暦は39年変化したのに、年齢は34歳しか変化していない。 何かの間違いかと思い目次を見直すと、「宋室」と書かれた章と、 「シゲ」と書かれた章(どちらも同一人物)の西暦と年齢の変化は必ず5年違うようです。 となれば、意図的としか思われず、ミステリーの匂いも感じたのですが、最後まで 触れられず、結局単なる間違いと気づかされました。 経済小説を標榜する割りに、大事な目次で足し算を間違うとは、、、 あんなに目立つのに編集の過程で誰も気づかなかったのか、、、 脇の甘さと「5年」の違いへの期待感の喪失から評価は普通になりました。

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