日本の文学賞

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日本文学史序説 (上) (ちくま学芸文庫 カ 13-1)

大佛次郎賞

日本文学史序説 (上) (ちくま学芸文庫 カ 13-1)

加藤周一

古代から戦後までの日本文学を、詩歌や小説に限らず、思想、宗教、歴史書、民衆の言葉まで含めて読み直す文学史。外来思想への応答と土着的な世界観の変容を軸に、日本文化の精神史を大きな構図で描く。

日本文学史日本文化論思想史外来思想と土着性古典から近代

作品情報

文学の範囲を広く取り、日本人の精神活動の流れを古代から現代までたどる大著。

筑摩書房から上下二冊で刊行され、のちにちくま学芸文庫でも上下巻として再刊された評論・文学史。上巻は古事記、万葉集、源氏物語、今昔物語、能、狂言、江戸期の徂徠や俳諧までを扱い、下巻は町人文化、国学、蘭学、維新、明治、大正、戦後文学へ進む。受賞対象は上下巻全体だが、単一の bookIdentifiers 欄には代表としてちくま学芸文庫上巻の紙書籍識別子を採用し、下巻は参照 URL に残した。

レビュー要約

  • 広い視野と緻密な構成を評価する声が多い。文学を狭いジャンルに閉じ込めず、思想や宗教、歴史資料まで含めて論じる点が読みどころとされる一方、分量と密度の高さから、背景知識を求められる重い読書になるという受け止めもある。

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
1999-04-01
ページ数
560ページ
言語
日本語
サイズ
14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-13
9784480084873
ISBN-10
4480084878
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/評論・文学研究/日本文学研究

日本文学の特徴、その歴史的発展や固有の構造を浮き上がらせて、万葉の時代から源氏・今昔・能・狂言を経て、江戸時代の徂徠や俳諧まで。 日本人の心の奥底、固有の土着的世界観とはどのようなものか、それは、外部の思想的挑戦に対していかに反応し、そして変質していったのか。 従来の狭い文学概念を離れ、小説や詩歌はもとより、思想・宗教・歴史・農民一揆の檄文にいたるまでを“文学”として視野に収め、壮大なスケールのもとに日本人の精神活動のダイナミズムをとらえた、卓抜な日本文化・思想史。いまや、英・仏・独・伊・韓・中・ルーマニアなどの各国語に翻訳され、日本研究のバイブルとなっている世界的名著。 ◆上巻は、古事記・万葉の時代から、今昔物語・能・狂言を経て、江戸期の徂徠や俳諧まで。 【目次】 日本文学の特徴について 文学の役割 歴史的発展の型 言語とその表記 社会的背景 世界観的背景 特徴相互の連関について 第1章 『万葉集』の時代 『十七条憲法』から『懐風藻』まで 『古事記』および『日本書紀』 民話と民謡 『万葉集』について 第2章 最初の転換期 大陸文化の「日本化」について 『十住心論』および『日本霊異記』 知識人の文学 『古今集』の美学 第3章 『源氏物語』と『今昔物語』の時代 最初の鎖国時代 文学の制度化 小説的世界の成立 女の日記について 『源氏物語』 『源氏物語』以後 『今昔物語』の世界 第4章 再び転換期 二重政府と文化 仏教の「宗教改革」 禅について 貴族の反応 『平家物語』と『沙石集』 第5章 能と狂言の時代 封建制の時代 禅宗の世俗化 仲間外れの文学 芸術家の独立 能と狂言 第6章 第三の転換期 西洋への接触 初期の徳川政権と知識人 本阿弥光悦とその周辺 大衆の涙と笑い 第7章 元禄文化 「元禄文化」について 宋学の日本化 徂徠の方法 白石の世界 『葉隠』と「曾根崎心中」 俳諧について 町人の理想と現実

加藤 周一:1919―2008年。東京生まれ。東京帝国大学医学部卒。早くからヨーロッパ文学や日本の古典文学を読む。戦後、多彩な執筆活動を展開。中村真一郎・福永武彦と『一九四六・文学的考察』『マチネ・ポエティク詩集』などを刊行。その他、『芸術論集』『羊の歌』(正・続)『夕陽妄語』『日本文学史序説』(上・下)『言葉と戦車を見すえて』など多くの著書があり、『加藤周一著作集』(全24巻)に集大成されている。つねに広い視野に立って、文明批評を展開。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学をはじめ、ドイツ、イギリス、アメリカ、スイス、イタリアの大学や、上智大学、立命館大学などで教鞭をとる。2004年、平和憲法擁護の「九条の会」の呼び掛け人となる。

レビュー

  • 日本のカルチャーはこの一冊で事足りる

    切り口観点が素晴らしい、何にでも役立つ

  • 予想通りでした

    体系づけられた構成で、必要な知識をわかりやすく得られています。

  • 古文に親しめます。

    「古文」を学ぶ際に、座右に置くべき書籍ではないかと思います。 本書を中心にして、古典探究古文編検定教科書に掲載されている文学作品を鑑賞すると良いでしょう。

  • これはマストな一冊。存在に感謝すべきレベルの名著。

    戦後日本の偉大な知識人・加藤周一さんによる日本文学史。加藤さんの著書すべてに共通する二次大戦への反省と「日本人とは何か」という問題意識はここでも通奏低音を奏でており、そうした著者自身の主体的な探求心が本書に無味乾燥な文学史にはない肉感を与えています。他のレヴュアーさんも書かれているように質量ともにそれなりの読書筋を要求してくる本だとは思いますが、これは本当に日本人として読んでおきたい一冊です。 目次 日本文学の特徴について 第一章 『万葉集』の時代 第二章 最初の転換期 第三章 『源氏物語』と『今昔物語』の時代 第四章 再び転換期 第五章 能と狂言の時代 第六章 第三の転換期 第七章 元禄文化 加藤さんのほかの著作でも確認されてきたことなのですが、加藤さんの洞察によれば日本人という人たちは概して、即物的、現実的、感覚的、刹那的、此岸的、集団主義的で、哲学などの現実を超えた抽象的な思考やイデオロギーの扱いは不得手であり、集団内の平和と生活の安定を最優先する性質をもつ人たちです。本書では、鎌倉仏教の時代が例外的に宗教家たちの思想に土着の集団主義や現世主義とは異なる「超越性」が見られるとの見解に立っています(論者によっては異論のあることですが・・)。しかしどこまでも現実的で老成しており、物事は水に流すのを美徳とするような日本人の精神土壌に堅牢な超越性の柱を立てることは糠に釘を打つように困難な行為です。日本人は外来のものを日本の土着思想に取り込んで自分たちに使いやすいようにしますが、キリスト教も仏教などにみられる集団、水平、世間を超える論理や「超越性」は大概飲み込まれて変質していきます。真理や個性や論理、純粋な情熱よりも、常識や協調性や情実、実際的な妥協を好みます。 本書を読んで痛感させられたのは、文化なり思想なりが「どの地域で」「どのような階層の人を主人公とし」「どういう人たちを対象に」「どのくらいの時間で」「どの程度の範囲に影響を及ぼし」たのか、というような視点の大切さでした。例えば平安時代には和歌をはじめとした貴族文化が華やかでしたが、その文化は都の外には共有されませんでしたし、主役は貴族であり、台頭前の武士や農民たちはかかわりを持たず、その存在を和歌の中に歌われることさえまれでした。ある共通した知識や教養をもつ人たちの数というのは、いつの時代もそんなに多くはないのだなと思わされます。江戸時代の階級社会では、階級により道徳に違いがありましたが、四民平等の現代とて、例えば読書人と非読書人では思考基盤が違うでしょう。地方と都会でも違いますし、性別や年齢によってもそうでしょう。文化の浸透というのは複雑な問題だと思います。 ともあれ、本書を通読すれば日本人が知っておくべき自分たちの歴史や民族性の基礎知識がつけられますので、高校生以上ぐらいの読書力が必要かとは思いますがーあらゆる日本人に非常に非常におすすめです。

  • 文化・思想・時代が文学という口火で広大に展開する

    文学史といういうには余りにももったいない壮大な世界がこの本にはある。 時代背景から、個人が執筆した書物の話に移り、書物の集まりがまたその時代と人の思想を語る。 本書を読むと、文章というものがその人の考えを反映するだけでなく、その時代の思考形態、文化を映し、また思想や文化に映されることがわかる。 著者の知識量と論理展開の広がりと深みに、ただただ驚きながら読み進めるのみである。 本書を読みながら、出てくる書物を読めば、文学を読むということが、時代を読むというにつながるということが、楽しめるに違いない。 私が加藤周一を知ったのは、晩年に死去する前のNHKのインタビューだった。 彼自身の思いを酌みながら、本書を読むとまた行間からにじみ出る我々へのメッセージが見えてくるかもしれない。 名著である。 上巻は元禄文化の時代までを扱う。

  • 今昔物語、平家物語等を高く評価しているが紋切り型の部分もある。

    非常に面白く、飽きない。平家物語や今昔物語や沙石集などを評価し、面白い逸話等を細かく取り上げている。文学史となっているが思想史、哲学史と同時に歴史書としての趣がある。序論とあるが本格的な本である。日本人として一度は読むべき本である。 鎌倉時代についての記述が面白い。特に法然や親鸞に関する話題は感動的である。能、狂言などについての部分も面白い。僧慈円が日本語(漢字かな混じり文)で歴史書「愚管抄」を書いたがその理由が漢文は教育を受けた人でも意味が取れないことがあるが日本語であれば誰でも掌を指すように理解できるからと書いていると聞けば僧慈円が本物の知識人であることが了解できるというものだ。慈円が「武家の世の中へ移行することの必然性を的確に表現している」点で、著者は愚管抄を高く評価している。 ただ歴史の評価の部分が紋切り型に感じられることが多くあった。例えば「奈良時代の日本の支配層は大陸文化に影響され、その消化に忙しかった」としていることや遣唐使を派遣することを朝貢外交というのも気になる。文学史、思想史として第一級の書であることは間違いない。

  • 巨大な知性

    知性の巨大さに脱帽。一つの明確な理解が得られた。著者は、理数系の素養があり、他の追随を許さない。日本の教育では、このような人間を生み出すのは困難ではないか。多数の言語に翻訳されているそうだが、外国の人は、翻訳に値するものかどうかの見極めが確かであると感じた。

  • 論旨明快で納得の文学史

    冒頭の日本文学の特徴点から引き込まれてしまいました。 読んだきっかけは、折口信夫の日本文学発生論を加藤が どういう視点で考察するのか、これを知りたかったから。 結果、折口信夫のことはどうでもよくなって、加藤の日本 文学史と文学論に興味をもち、時間をかけて取り組みまし た。良い本です。

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