日本の文学賞

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星の王子の影とかたちと

日本エッセイスト・クラブ賞

星の王子の影とかたちと

内藤初穂

『星の王子の影とかたちと』は、『星の王子さま』の翻訳者として知られる内藤濯の生涯をたどる評伝的エッセイです。翻訳、言葉、家族の記憶を通じて、一人の文学者の姿を浮かび上がらせます。

評伝翻訳星の王子さま家族

作品情報

翻訳者・内藤濯の生涯を、『星の王子さま』の影とともにたどる。

『星の王子の影とかたちと』は、『星の王子さま』の翻訳者として知られる内藤濯の生涯をたどる評伝的エッセイです。翻訳、言葉、家族の記憶を通じて、一人の文学者の姿を浮かび上がらせます。

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
2006-03-01
ページ数
430ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784480818263
ISBN-10
448081826X
価格
1689 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/エッセー・随筆

Amazon.co.jp: 星の王子の影とかたちと : 内藤 初穂: 本

レビュー

  • 壮大で緻密なる仏文学史

    父内藤濯をあますところなく書ききることで、日本の仏文学史、明治維新から戦争をはさんでの今までを、極めて緻密に、かつ個人的なるところまで踏み込んでいき、まさに渾身の力を込めて書かれたノンフイクションである。終始朗読運動に力を注ぎ、そこから生み出される翻訳作法から、完成された「星の王子さま」が、第2次世界大戦の壮絶な体験のあとに訳されたものであるという歴史も感慨深い。94歳の大往生は、決して星の王子さまの如く、砂漠に音もなく倒れて、星に還るなどという美しきものではなかったという記述は、人間、内藤濯を書ききり、傍らで彼の人生を見続けてきた、自分史であるともいえる

  • 息子が描く父

    もっぱら歴史の記述をこととする元海軍士官の息子が、50過ぎまで見続けてきた父を描く。これは恐ろしいものにならざるをえまい。生涯、子供のようだった内藤濯である。敗戦の報を聞いて「騙された」と言って初穂に叱責される。知識人ならたいていは、もう負け戦だと分かっていた。だから大政翼賛会との関わりも、どの程度分かってやっていたのか、分からない。三遊亭円楽がふざけて「星の王子さま」と名乗るのをテレビで観て激怒し、『星の王子さま』が売れると美智子皇太子妃に送り、文通して喜び、「星の王子さまの会」が開かれ美智子妃も来るようになると大勢人が集まり、繊細な神経が耐えられずに美智子妃の前で「もう会は終わりだ!」と叫ぶ内藤濯。詩心があまりに強く、現世的な知性というものが欠けていたようにも見える。こわい本である。

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