作品情報
漱石の小説群を通して、近代日本の不安と作家の資質を読み直す。
筑摩書房刊の単行本。『吾輩は猫である』から『明暗』までを四つの講演に分け、漱石作品の主題と資質を読み解く。のち文庫化されている。
レビュー要約
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漱石の代表作を横断し、繰り返される主題を一つずつほどく構成が読みどころ。講演の語り口を残しながら、思想家としての視線が明確に出ている。
書籍情報
- 出版社
- 筑摩書房
- 発売日
- 2002-11-01
- ページ数
- 258ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784480823496
- ISBN-10
- 4480823492
- 価格
- 2710 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 夏目漱石を読む : 吉本 隆明: 本
レビュー
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夏目漱石はほとんど読んだから自分のレベルの低さと吉本氏の視点のすごさが分かる。
何回も読むたびに味わい深い漱石だがへーと思うばかりの吉本氏の視点。 友達にアホの吉本と言うのがいるが全く勝負にならないほどの乖離。 娘も凄いがお父さんはこの年でまいりました。。。。 レベルが低いのは自分がどれ程低いのがわからないのが問題だね。
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読みやすいが読みにくいけど面白い
本書は吉本が講演会で話した漱石論を本にしたため、文章言葉ではなく、話し言葉で書かれている。説明の仕方、言葉の選び方を考えて、練り上げられ書かれた文章ではないため、吉本が、話すことは決まっていただろうが、その場で思いついた言葉、表現で語っており、そのため論旨がガタガタしているのはやむを得ない。そのため、理解しにくい部分があるし、ストレートに語れていない印象もある。もっともこれは吉本自身が漱石を明確にすべてを咀嚼し得ているわけではなく、いわば進行形の漱石論なのだろうと思う。そういう意味で面白くもあり分かりにくくもある。 漱石論を読む、ということをこれまでしたことがなかった。漱石は好きな作家なので、漱石自身を理解、解釈しながら作品を読み、考えるということに興味を覚えた。
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良い意味で著者の主観が大いに入り込んでいてとてもエキサイティング
元が講演なので非常に読みやすいうえに、良い意味で著者の主観が大いに入り込んでいてとてもエキサイティング。漱石を殆ど読んだことがない人、読んだけど内容は殆ど忘れてる人でも楽しめる。新書判の漱石全集を入手していて本当に良かったと実感した。ちなみに、漱石は神経症だっただなんだとよく言われるけれど、実際は神経症圏どころではなさそうなのも興味深かった。
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話し言葉ゆえの長所と短所
講演を基にしているため、話し言葉ゆえの分かりやすさと明快さがあります。ただその一方で、漱石ーパラノイア説など、もう少し突っ込んで根拠や理屈を展開して欲しいと思わせるところが多くあるのが難点。漱石の批評としては、人間としての漱石、その資質に重きを置いている分析が中心であるように読めました。
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文字とは何ぞや
十代半ばより繰り返し漱石を読んできた著者が主要作品の解説とそれに伴って人間漱石がどう変化していったかを論ずる。 なるほどと思うこともあればよくわからんなあというところもあり。 印象に残るのが、漱石は漢学、英語に堪能で、普通そういうインテリは自分の知識をひけらかすところで終わるのを、漱石は文字とは何ぞやと追及するところだと。 そして迷路に陥り神経衰弱になってしまうんだと。 小説にもそういう突き詰めるところが随所に見られ奥が深いというわけだ。 まだまた漱石読破まで言っていないが、またちょっと本買って読もうという意欲がわいてきた。
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漱石文学をもっと知りたい漱石ファンのための難しくない作品論
●漱石作品をある程度読んでいて「いいなぁ」と思っている人にはお勧めしたい。各作品の魅力やより深い読み方をわかりやすい言葉で楽しく知ることになるだろう。 ●一方、「漱石ってよく知らないけど文豪といわれるくらいだから興味ある、まずはこの本から読んでみようか」という人には、以下の理由によりあまりお勧めできない。 ●本書は、各作品の欠陥や不出来な点を鋭くえぐり出し、それでもなお漱石の作品は素晴らしいのだということを論じるスタイルで進行する。したがって、漱石作品が好きだ!という吉本氏と同じ立場で読まないと、その漱石作品のもつ欠点の方だけに納得させられてしまう可能性があるのだ。 ●だから、まず「坊っちゃん」「三四郎」「こころ」などを読んでみて「漱石の小説って自分のセンスと合ってるなぁ」と思ったところで手にして欲しい一冊である。
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日本人の三角関係は不幸に終わる
吉本隆明の言うことだから、構造分析とか表層批評とか、難しい統一的な理論で読み切ったのではない。素手でブツ切りにするように、噛み砕いて行く。だから、素人っぽいところを感じさせつつ、非常に重たい。 『猫』については、作品の進行とともにネコが背景に退いて、漱石自身が前景にせり出して来るようになり、「吾輩は猫である」という作品の構造が破綻して行くことを指摘している。これは面白い。 『明暗』は、フィクサーである吉川夫人と小林の介入、延と岡本、延と秀の対話について、丁寧に解説している。小説の読みを、深くしてくれる。 『夢十夜』は宿命に従い、『それから』は宿命に抗う小説である、と読み解く。 『門』は、漱石の作品のうちで、吉本の一番のお気に入りなのだそうだ。 『彼岸過迄』と『行人』は、作品が破綻していることを指摘した上で、漱石の執筆意欲がそれだけ強かったから、収めきれずに作品が破綻してしまったのだ、と擁護している。 『坊つちやん』、『虞美人草』、『三四郎』、『こころ』、『道草』については、もう少し深い考察が欲しかった。 何より驚かされたのは、『それから』や『こころ』では、日本型の三角関係の特徴が明らかにされている、という指摘である(P.134-136)。西欧型の三角関係では、二人の男性が一人の女性を奪い合って、正々堂々決着が付く。これが日本では、そうは行かない。兄弟や親友など退っ引きならない関係にある男性二人と女性一人の三角関係が、解消せずにこじれて行く。そして、誰も救われず、三者三様に自滅して行く。これは斬新な読み方だった。 たまに、えっ?という説明もあるが、そういうところは、あっさり読み飛ばす。「吉本の読み方」という名前ありきの読書案内ではあるが、それだけのことはある。
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目次
渦巻ける漱石 『吾輩は猫である』 『夢十夜』 青春物語の漱石 『坊っちゃん』 『虞美人草』 不安な漱石 『門』 『彼岸過迄』 資質をめぐる漱石 『こころ』 『道草』
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