日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
ヤンキーと地元 (単行本)

沖縄書店大賞

ヤンキーと地元 (単行本)

打越正行

沖縄のヤンキーたちを10年以上追い、暴走族から解体業、風俗、内地への移動までを通して地元の人間関係を描いた社会学ルポ。『地元』が人を縛り支える両義性を正面から見せる。

沖縄ヤンキー社会学ルポ地元若者

作品情報

地元は、居場所であると同時に、逃れがたい力にもなる。

筑摩書房刊。沖縄の暴走族やその後の仕事・家族関係を10年にわたって追った初の単著で、地元という関係の網の目から沖縄の若者の生を描く。

レビュー要約

  • 10年かけた取材の厚みがあり、暴走族上がりの若者たちを裏社会ではなく沖縄を末端で支える表社会として描いている点が評価されている。地元の関係が暴力と支えの両方として働くことが鮮明に伝わる。

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
2019-03-23
ページ数
304ページ
言語
日本語
サイズ
13.2 x 2 x 18.8 cm
ISBN-13
9784480864659
ISBN-10
4480864652
価格
1980 JPY
カテゴリ
本/社会・政治/社会学/社会一般

第6回 沖縄書店大賞・ 沖縄部門大賞受賞! ● ここにあるのは「優しい沖縄」ではなく、地元社会の過酷な掟である。 パシリから始まり、10年という歳月をかけた、驚愕のエスノグラフィー ――岸政彦(社会学者) ●バイクのうなり、工事現場の音、キャバクラの笑い、深夜のコンビニ前のささやき。 本書を満たす音をどう聞き取るのが「正しい」のかは、まだ決まっていない。 ――千葉雅也(哲学者) ●上間陽子の『裸足で逃げる』と対になる作品だ。 ――藤井誠二(ノンフィクションライター) 朝日 (2019.4.29) 読売 (2019.5.12) 毎日 (2019.5.26) 産経 (2019.4.14) 沖縄タイムス (2019.4.20) 琉球新報 (2019.4.21) 各紙で大絶賛! ! 生まれ故郷が嫌いだと吐き捨てるように言った、沖縄の若者。 その出会いを原点に、沖縄での調査は始まった。 生きていくために建設業や性風俗業、ヤミ仕事に就いた若者たち。 暴走族のパシリから始まり、10年以上にわたって、かれらとつき合ってきた社会学者の、 かつてない記録の誕生! 〔目 次〕 第一章 暴走族少年らとの出会い 1 広島から沖縄へ 「メンバーにしてください」/暴走族のパシリになる/響き渡る爆音――沖縄調査一日目 etc. 2 拓哉との出会い 「すぐにでも結婚したい」/はじめての土地で彼女をつくる/ナンパをする理由 etc. 3 警官とやり合う 職務質問を受ける/警官と交渉するスキル/調査の前に信頼関係を築く etc. 第二章 地元の建設会社 1 裕太たちとの出会い 「俺、解体屋しかできない」/鉛筆を重いと言う裕太/地元で有名な「暴れん坊」、太一 2 沖組という建設会社 会社経営の「最強のタッグ」/ピンチを切り抜ける「/給料支払い遅れなし、定額」etc. 3 沖組での仕事 最小限の力で資材を運ぶコツ/現場監督vs.従業員「/時間の話はするな」――一人前への道etc. 4 週末の過ごし方 先輩たちとのギャンブル/ナンパから、キャバクラ通いへ/仕事と週末と夜の世界etc. 5 沖組を辞めていった若者たち 「ズルズルきてしまった」――仲里の生活史/しーじゃたちの仕打ち、「設けて、金、持ってるのが勝ち」――宮城の生活史etc. 6 沖組という場所と、しーじゃとうっとぅ 第三章 性風俗店を経営する 1 セクキャバ「ルアン」と真奈 2 「何してでも、自分で稼げよ」――洋介の生活史 地元での理不尽な暴力/キセツ先での「屈辱」/「上に立つ」という決意 3 風俗業の世界へ 沖縄の性風俗業界/セクキャバ受付からオーナーへ/風俗店の経営者になる「/学歴なんかより、友だち」 4 「足下を見る」ということ 「ヤクザ」への対応/越えてはいけない一線――警察への対応「/地元つながり」を適切に使うetc. 5 風俗経営をぬける 女性スタッフへのサポート/杏里と真奈 6 性風俗店の経営と地元つながり 第四章 地元を見切る 1 地元を見切って内地へ――勝也の生活史 2 鳶になる 3 和香との結婚、そして別れ 4 キャバクラ通い 5 地元のしーじゃとうっとぅ 6 キセツとヤミ仕事 7 鳶を辞め、内地へ 第五章 アジトの仲間、そして家族 1 家出からアジトへ――良夫の生活史 2 「自分、親いないんっすよ」――良哉の生活史 3 夜から昼へ――サキとエミの生活史

〔著者紹介〕 打越 正行(うちこし・まさゆき) 1979年生まれ。社会学者。首都大学東京人文科学研究科にて博士号(社会学)を取得。現在、和光大学現代人間学部専任講師、ならびに特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員。共著に『最強の社会調査入門』(前田卓也ほか編著、ナカニシヤ出版、2016年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸政彦ほか編著、ナカニシヤ出版、2020年)などがある。

レビュー

  • 知らない世界が楽しめる……が、とても考えさせられる。

    言い方は悪いかもしれないけど、まず普通に生きていれば知り得ることのない世界を垣間見ることができます。 良いとか、悪いとか、そんな簡単な話ではなく、こうした世界が現実に存在しているという事実に考えさせられる部分が多々あります。若年層の闇バイトが社会問題となっている昨今、こうした世界があることを知識として誰もが知っておくべきことなのかもしれません。 不謹慎かもしれませんが、この本を読んだ上で『不良』や『裏社会』を題材としたドラマや任侠映画などの作品を見ると、また見方が変わってくる部分もあります。気になった方は、ぜひご覧になってください。

  • 激レアさんでおなじみの方

    現代社会の縮図と言ってもいいと思う。また、激レアさんを連れてきたにも出てた方なので、話題性は抜群。

  • 状態の良い本でした

    商品の状態も問題ないです

  • 沖縄に限らないかもしれないけど、沖縄を地元とする人の姿

    沖縄県は、貧困調査の分野において度々でてきます。 最低賃金もそうですが、シングル家庭の多さなどもよく出てきます。 特異なのは子育て支援で、保育・教育の無償化が始まった以降の調査までは追っていませんが、それ以前は、「認可保育所よりも、認可外保育施設の保育料の方が安い」という不思議な県でした。 そんな沖縄県の狭い世界で生きる、内地に行っても戻ってくるという男たちの姿を観察参与という手法で調査しているのが、本書です。 流して読んでしまうと、ただのルポルタージュと思ってしまうかもしれませんが、現地調査の視点から、その組織内に入って見聞きするのは並大抵のことではないと思います。 強固な組織、しかも外部に対してどちらかというと閉ざした組織に「中に入って、調査させてください」と言ってできるものではありません。 著者も最初は国道沿いでの暴走行為(珍走団)を、毎回カメラで撮っていたことから関係性ができ始めます。 帯にある「裸足で逃げる」は沖縄の女性に対する調査なので、対で読むと更に詳しく知ることができます。また、「地元を生きる」は総合的に、また本書の著者なども共著しているので、併せて読むことをおすすめします。

  • 沖縄の一部の人の事についての話なので注意

    沖縄在住です。 ここに書かれている人達は沖縄の一般的な話ではなく、一部の人の事なので、沖縄がこのような人ばかりでは無いことは誤解しないように注意ですね。 ただここまででは無くても、沖縄の人はヤンキー的な気質を少なからず持っているので、沖縄の人の気質を知るには参考になると思います。

  • 長年の、取材のは、やっぱ違うな。

    激レアさん、見て買いたくなった1冊です。

  • 未知の世界を安全に知ることができた

    読書の効用とは、知らない世界を疑似体験できることにある。 そういった意味で、ヤンキーあがりの建設業者、風俗経営者、ヤミ業者の友人がいない人(私も)にとっては、彼らが生き抜いている世界を、安全に垣間見ることができる良書。 感想としては、調査対象者のほとんど全ての人が、人間関係を上下で捉えていることに衝撃を受けた。 年齢の上下、稼ぎの多寡、喧嘩の強さ、雇うか雇われるか、など。 こうした上下の世界観が、不健全な競争や恐怖心を助長し、DVを含む暴力に繋がっていると感じた。 逆に、彼らが真剣に自分の人生と向き合って、未来志向的な視点を得るかどうかを分けるのは、1人でも自分のことを一人前の人間として認めてくれる人がいるかどうか、だと思った。

  • ジャーナリズム未満のレポート

    あえてレビューするほどの本ではないと思ったが、他の読者から高評価が付いているので、それだけを見て誤解する人がでないように感想を記しておきます。 著者が面白い経験をしたこと、それには相当な労力を費やしていることは認めます。 しかし、本書に記録されているのは、著者の目に触れた限りの、断片的な経験です。しかも会話記録がメインで、あとはそれをなぞる短い説明が付されているだけです。 もしこれがジャーナリズム(調査報道)の世界なら、ここで登場人物が語っていることが真実なのか、裏をとる必要があります。また、学術研究だとしたら、個別事例を出発点として作業仮説を設定して他の事例を探すなり、社会制度の問題に展開するなり、掘り下げていくことになるでしょう。本書は、そういった裏取りや掘り下げがない点でジャーナリズム未満です。 社会学の世界には「エスノグラフィー」という便利な用語があるらしく、個別体験の記録であってもそれなりの価値が与えられるようです。しかし、学術的な価値の評価は専門家にお任せするとして、一般読者の目線からすれば、NHKスペシャルよりも浅いレポートにあまり面白さは感じません。 あとがきで著者が触れている「野生の思考」や「ハマータウン」は、未読ですが、この程度の代物なのでしょうか。 (そういえば、むかし「暴走族のエスノグラフィー」という本を図書館で読んだような気がします。それはもっと面白かったように覚えているのですが。) 文章もあまり上手ではありません。会話分析ではないので、対話をそのまま記録しても中身が薄いですし、その薄い対話をリフレインするだけの解説文もスカスカな印象を受けます。 良かった点は、ヤンキーの世界における先輩・後輩関係の重みが分かったことです。この辺りは、一般常識としても知っていることですし、関東連合関係者の告白本などにも読み取れることですが。 というわけで、★5つは違うだろう、というのが私の感想です。 (追記) 本書を読んで、未知の沖縄を知りたいと思った人は、なにかの縁だと思って、藤井誠二「沖縄アンダーグラウンド」講談社(2018)をあわせ読んでください。こちらはお勧めです。 (さらに追記) 要するに、社会学業界の人たちが、身内で褒め合ってる本です。ブルデューとは全然違います。

関連する文学賞