作品情報
折れた竜骨は、米澤穂信の受賞作として刊行形態でも確認できる作品です。
折れた竜骨は、東京創元社から刊行が確認できる米澤穂信の作品。受賞歴と書誌情報を合わせて読むことで、同時代の文学賞が評価した題材や語り口を追える。
書籍情報
- 出版社
- 東京創元社
- 発売日
- 2010-11-27
- ページ数
- 338ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784488017651
- ISBN-10
- 4488017657
- 価格
- 1988 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。 自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年――そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか? 現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場!
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目され、『春期限定いちごタルト事件』などの作品で人気作家の地位を確立する。また05年刊行の『犬はどこだ』以降は「このミステリーがすごい!」ランキングの常連になり、2010年度版では作家別得票数第一位を獲得した。新世代ミステリの旗手として現在最も注目される俊英のひとり。他の著書に『さよなら妖精』『ボトルネック』『インシテミル』『追想五断章』などがある。
レビュー
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ファンタジーとミステリーの融合
ファンタジーの世界のルールを破らずに、ミステリーの枠内できちんと、矛盾しないで落ちをつけている。すばらしい。 小説の雰囲気も主人公も好きです。
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ファンタジーとミステリーの融合
北海に浮かぶ島の領主が殺された. 娘と魔術師は犯人探しに乗り出すが・・・. 剣と魔法の世界で犯人探しをテーマとしたミステリー. この種の作品は,条件設定が過度に説明的すぎると飽きてしまうが, 本作品はギリギリセーフといったところ. ファンタジーの世界観を取り入れつつ,論理的な謎解きになっているし, この結末はファンタジーでなければ成立しない. 必然性のない舞台設定は読み手に余計な負荷をかけるだけだが, この作品ではミステリーの条件を満たしつつ, ファンタジーとしても楽しめる仕上がりになっている. この世界観を受け入れるかどうかで好き嫌いはあると思うが, ちょっと変わったミステリーを読みたい方にお薦め.
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ミステリー+ファンタジー+歴史もののぜいたく
この頃『満願』という短編集が話題になっている。 と思っていたら、2015年版「このミステリーがすごい!」で1位になった。 米澤穂信というのは個人的には聞き慣れない名前だったが、 わかってみれば、既に相当の評価を確立した作家らしい。 『満願」もだから読みかけていて、なるほど読んでいても相当の実力はわかる。 まだまだこれから驚かさせることになりそうだ。 一方、作家その人が気になり、調べてみて本書があるとわかって、 別の意味で興味を持って先に読んでみた。 というのもこちらはまた普通のミステリーとはだいぶ趣が違うのだ。 あとがきのようなものを作者自身が書いているが、 ミステリーというだけでなく、ファンタジー、 さらに西洋の歴史の要素を合体させたのが持ち味らしい。 私はたまたまどれにも興味を持っているので、 結果的にいかにもぜいたくな読書になった。 歴史的な背景は、12世紀の英国、というか直接には北海の島が舞台である。 獅子心王リチャードやらジョン王の名前、十字軍という言葉も 時代情勢として遠い噂のように出てくる。 ヒロイン=語り手の父が領主を勤める島を襲い来る脅威、 また父の暗殺がメインプロットだが、 この時代、魔法というものがリアルに実在したものとして設定されていて、 そのファンタジー的要素とリアリズムが混じりあうのが面白い。 もっともマンガなどを含めて考えると、これはよくあるやり方で、 その辺に馴染んでいる読者にはとくに目新しいわけではあるまい。 むしろ特徴的なのは、通常リアリズムをベースにしている「謎解き」に、 リアルなものとしての魔法が混じりあうところ。 これはなかなか新鮮な感じがした。 前半は犯罪捜査に当たる部分で、丹念に事件をたどる。 アクションを求める読者はやや退屈かもしれないが、本格ミステリーと思えば十分楽しめる。 それぞれ癖のある人物たちが容疑者、というのはよくあることだろうが、 それがこの時代、この場所での設定であるために、さらに魔法などの要素も含むために いわば異文化の混じりあう複雑な状況なのが面白い。 けっこう長い物語だが、 やがて島を襲う「呪われたデーン人」たちとの攻防のアクション そしていかにも緻密に周到に組み立てられた圧巻の謎解きへと続く。 やはりミステリーとアクション、歴史ドラマの魅力が混合しているのである。 戦闘シーンとかになるとけっこう血なまぐさいが、 それでも妙に静かな落ち着きがあるのはこの作家の持ち味だろうか。 個人的には、波乱の物語なのに慌てずじっくり読める感じで、 それが不思議と気持ちがよかった。 登場する人物たちも、どこか不思議な個性があって楽しめた。 続編があってもいい終わり方だが、予定にはないらしい。 それぐらいで終わるほうがいいのだろうという気はする一方、 何となく未練を感じてしまうのも作品の魅力のせいだろうと思う。 日本推理作家協会賞受賞。
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すごい面白かったです
米澤さん好きなので購入しました。 ラノベ系ですが、すっごい面白かったです。 ラノベに抵抗ない方であればおすすめします。
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ファンタジーの部分がミステリーのためのご都合主義に感じたのが正直なところ
12世紀末の中世ヨーロッパの世界が舞台。あとがきでいっているように、ファンタジーとミステリーの融合に取り組んだ作品だそうだ。 ソロン島の領主ローレント・エイルウインが殺された。暗殺騎士エドリックが使った魔術<強いられた信条>により、暗殺騎士の手先<走狗>になり、暗殺騎士に操られ領主を殺した。<走狗>として領主を殺した候補者は8人。 ・アミーナ・エイルウイン ・家令のロスエア・フラー ・従騎士エイブ・ハーバード ・ザクセン人の騎士コンラート・ノイドルファー ・ウェールズ人の弓手イテル・アプ・トマス ・マジャル人の戦士ハール・エンマ ・サラセン人の魔術師スワイト・ナズィール ・イングランド人の吟遊詩人イーヴォルド・サムス 探偵役としては、ファルク・フィッツジョンとニコラ・パゴにアミーナ・エイルウインが随行する。 結局、ファンタジーの部分がミステリーのためのご都合主義に感じたのが正直なところだ。ファンタジーという特殊設定ゆえに、なかなか入り込めずに読みづらかったりするわけで、ファンタジーとミステリーの融合に成功しているかといえばそうではないんだろうね。結局中途半端になっているなあ。
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傑作ファンタジーであり、傑作ミステリでもある
舞台は魔術がいきづく十二世紀末のヨーロッパ ソロン諸島で領主が殺害される事件が起きた しかも、「呪われたデーン人」の襲来の危機が迫っており 島には騎士や傭兵が集められていた 領主を殺害してのは「暗殺騎士」だが、 彼らは魔術を用いる 今回も魔術が用いられたことが調査から判明し その魔術とは人を操るたぐいのものであった 「暗殺騎士」に操られ、殺害を実行したのは誰なのか それが、ミステリとしてのメインの謎 魔術が機能する世界で、 謎は論理的に解明されるのか 大変、興味深い作品でした また、ファンタジーとしても 「暗殺騎士」「呪われたデーン人」といった敵勢力 魔術と剣が入り乱れる戦闘場面など 大変、魅力的でした ミステリとしても、ファンタジーとしても傑作だった
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違和感
・読んでいて非常に違和感をおぼえた。 ・ファンタジー世界でミステリ、魔法でミステリ。それはいい。 ・しかし主人公のヒロイン(読者とほぼ同じ視線)は、この世界のルールに無知なところからスタートする。 ・この世界のルールは、探偵役の騎士ファルクから、主に口頭で説明を受けるのみだ。 ・つまりヒロイン(読者)は、ファルクが、本当は探偵役ではなかったとしても(嘘をついていても)、隠されたルールがあったとしても、わからないし確かめる術はない。 ・推理の依って立つルールが信じられるかも不明なまま読み進めなければならないのは、ミステリとして欠陥ではないかと考える。 ・この点、例えば超能力ミステリを多数出されている西澤保彦先生は、作中、主人公=一人称視点にルールを説明させることで、読者に対して「ひとまず信じて良い情報」を明確に提示する等で解決を図っている。 ・結論として、ファンタジーとしての雰囲気と、特殊ルール下のミステリ、との二兎を追い、基本的な部分が疎かになっていると感じた。
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とても面白かった
まず中世ヨーロッパの世界観が、そこらの資料調査ゼロのゲームッぽいラノベもんと 一線を画して本格的なところが気にいった。 雰囲気がでている。 これってかなり難しいと思う。普通、こういう雰囲気はでない。 魔術といいつつ、その扱いが魔法陣を描いたり、光の矢を放ったりするものでなく、 よい意味でマニアックなところが気にいった。 不死の女騎士はめちゃくちゃかっこ良かったし、 主人公は好感がもてる上に、きちんと中世っぽい思考をしていて凝っていたし、 巨人はまあ、詰め込みすぎな気もしたが、絵的に華を添えたし、 ニコラとファルクの関係もよかった。 ラストあたりで、きちんと収束するんだか不安だった謎がどんどん開示されるのも良かったし、 まあ犯人はベタではあるが、ニコラとの「暗黙の上での生死の受け渡し」は震えるほど良かった。 まあ、あまり作家名はだしたくないが、ファンタジーミステリー両方において、この種の世界観を量産している作家のものよりも、 遥かに高品質で、練られていると思った。また「ボトルネック」や「氷菓」や「儚い羊」その他著者の作品に比べても、 完成度、読みごたえはトップクラスなんじゃないかと思ったり。 中盤、冗長と感じるところもあったし、 孤島のホテルの殺人事件七人のなかに犯人がいる、ひとりひとり検証していくぞみたいな、王道筋運びにするのは、 せっかくのバトルっぽい舞台設定がもったいないんじゃ? と思ったし、 暗殺騎士ってのは、誰かの依頼で領主を殺したわけで、じゃあ、誰が暗殺騎士に領主の暗殺を依頼したの? デーン人? デーン人妖怪そのものだったけどそんな人間みたいなことするの? と思ったし、 エンマと塔の囚人の関係もよくわからなかった。、 主であるエンマの元に戻るってんなら、何十年も牢にいないで、無罪放免されてエンマを探しにいけばいいんじゃないの? と思ったり。 呪われたデーン人が、ゾンビ的な怪物なのに対し、エンマや囚人はきちんとコミュニケーションができる「人間」であるのも 少し違和感があった。 デーン人頭が働いて、人間コミュニケーションできるなら、きちんと作戦たててくれば十人ぐらいでソロン獲れるんじゃ と思ったし。 っていうかうまくやれば巨人使いと、透明蜀台だけでソロン獲れるよね。 そんなヤベー魔術がゴロゴロ転がっている世界でいいのか。 作中ラスボスの扱いであったはずの、仇である暗殺騎士だって、もう死んでいていないかもね、 とニコラの憶測台詞だけで処理しちゃうのも、どうなの、と思った。 でもそれら疑問部分は、無理に処理しようとすれば更に冗長にご都合主義を連発せねば ならないのは明らかで、少なくとも、突っ込みいれておかしくならないファンタジーなんて存在しないので、 これでいいんだと思いました。 傑作!
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