日本の文学賞

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七つの海を照らす星

鮎川哲也賞

七つの海を照らす星

七河迦南

児童養護施設・七海学園を舞台に、七不思議めいた出来事と子どもたちの物語が連作としてつながる、叙情的な本格ミステリ。個々の謎が最後にひとつの大きな真実へ収束していきます。

児童養護施設連作短編集少女たち学園七不思議成長

作品情報

六つの謎の先で、七つ目の真実が輪郭を現す。

第18回鮎川哲也賞受賞作。東京創元社から2008年に単行本として刊行され、2013年に創元推理文庫化された。家庭で暮らせない子どもたちの施設を舞台に、過去と現在をつなぐ謎が連作として編まれていく。

書籍情報

出版社
東京創元社
発売日
2008-10-01
ページ数
308ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784488024376
ISBN-10
4488024378
価格
3230 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

【第18回鮎川哲也賞受賞作】 様々な事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。 孤独な少女の心を支える"死から蘇った先輩"。非常階段の行き止まりから、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと、いるはずのない"七人目"が囁く暗闇のトンネル……七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、"真実"の糸によってつながり、美しい円環を描いて、希望の物語となる。 繊細な技巧が紡ぐ短編群が「大きな物語」を創り上げる、第18回鮎川哲也賞受賞作。

レビュー

  • ことし受けた最も深い感銘。

    一つ一つが読み応え十分の連作短編集だ。 完成度が高い、洗練されたミステリー。

  • 期待の作家

    文章は癖がなく綺麗です。 児童養護施設を舞台とした、児童養護施設という特徴をふんだんに利用したミステリが書かれているため新鮮な気持ちで読み進めることができます。 この作品の構成は、とある既存作品の構成をオマージュして書かれているそうで、私はどちらも読んだのですが、こちらの方が最後まで驚きっぱなしで楽しく読むことができました。 ただ、イマイチ光るものに欠けている気がします。 「面白い」作品ではあるのですが、どうも「すごく面白い」作品には昇華できない。 そんな、なんとなく惜しい作品ではありますが、自信をもって人に薦められる小説であることは確かです。

  • テーマ自体は途轍もなく重い。

    普段の生活で出遭う謎、すなわち「日常の謎」を主題とする、「誰も死なない」推理小説の初期の代表的な作品は若竹七海『ぼくのミステリな日常』だと記憶しているが、その系統に属する作品。児童養護施設の職員である「語り手」によって綴られる六つの物語においてそれぞれ一つの謎が提示され、そして解かれることによって結ばれる、しかもそれら六つの物語にちりばめられたエピソードや情景が七番目の物語で寄り集まり、最終的な「大きな謎」を提示するとともに解かれてゆく。その構造自体が『ぼくのミステリな日常』と同一である上に、舞台となる「七海学園」という名称には若竹七海を連想せざるを得ない。だがさらなる複雑さも内包するのが本書であって、作中で一つのトピックとなる回文は泡坂妻夫の「亜愛一郎シリーズ」を思わせるし、最終章で登場人物勢揃いという趣向もまた「亜愛一郎シリーズ」をなぞっているようだ。要するに本書には若竹七海と泡坂妻夫への限りないオマージュが籠められた傑作だとは思うのだが、物語の中で過去について語り、その過去についての語りの中で過去が語られる、という「過去の二重構造」は何とかして欲しい。

  • ハートフルでヘビイで青春で社会派な、児童養護施設で起こる日常の謎?

    ハートフルでヘビイで青春で社会派な、児童養護施設で起こる日常の謎?であります。 2008年鮎川哲也賞の受賞作……なので、ちょうど十年前の刊行物ということに(!)。とはいえ、無戸籍児童をはじめ、本書で取り上げられた問題の数々は現在においても決して解決しておらず、むしろ時事を先取りしているような。 舞台となる「七海学園」は「学園」は「学園」でも、幼児から高校生までが居住する児童養護施設。青春ミステリ、学園ミステリ的な味わいはあるんですが、入所者にまつわる事件は必然的に重い問題を抱えてくることに。それにしても著者はよくもここまで児童福祉の諸制度や問題について調べ上げたものだとただただ感心するばかり。ありがちな社会派に見られがちな、問題意識をガンガン前面に押し出しつつ、実態はにわか勉強と思い込みで書いているんじゃないかといった不自然さは感じられなかったです。それとも……もしかして本職はそちら方面の方? 謎解きそのものはむしろシンプルで、目を瞠らされる大トリックはございませんが、繊細な物語の中に巧緻かつ周到に伏線を張り巡らしたプロットがまことに見事な出来栄え。ただ、巻末エピソードは各話で不明のまま終わった出来事を拾い上げ、共通する物語を語ってみせるという連作ミステリのお約束が展開されるのですが、ここはよくやったと拍手するか、作り過ぎだと感じるか、読者によって判断が分かれるところかも。 いままで読んだ鮎川哲也賞受賞作の中では最もハイクオリティな一冊でした。

  • 最終章の仕掛けにニヤリ

    短編一つひとつの謎解きについては先が読めちゃったところもいくつかあったけど、最終章で明かされる答えには素直に驚かされました! ラストの「これがミステリ小説だったら〜」ってところにも思わずニヤリ。 何より、物語の根底に流れる著者の温かいまなざし、哲学が素敵でした。 アルバトロスも読まなくては!

  • 読んでよかった

    この小説に出会えて良かった、と 思えるほど良かったです。

  • 2008年下半期の収穫!

    日常の謎系本格ミステリーですが、そんなことはどうでもよろしい。 とにかく面白かったです。自信を持って人に薦められます。 本格につきものの嘘臭さは、すくなくとも私には感じられませんでした。 人を描こうという著者の意志を感じました。 この著者は買いです。是非とも多くの人に読んで貰いたいです。

  • 善意ばかりでないけれど

    善意ばかりでないけれど あらすじ 家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」 ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、 今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。 孤独な少女の心を支える"死から蘇った先輩"。 非常階段の行き止まりから、夏の幻のように消えた新入生。 少女が六人揃うと、いるはずのない"七人目"が囁く暗闇のトンネル。 七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、"真実"の糸によってつながり、 美しい円環を描いて、希望の物語となる。 感想 児童養護施設が舞台の物語ですから 登場する児童たちにはそれぞれ軽くない過去があります。 その優しくない事情を踏まえて懸命に児童に接する 保育士『春菜さん』の視点で物語は進められます。 この春菜さん、読んでみると分かりますが けっこう男前に描かれたキャラクターです。 おかげで、児童たちの背負う過去が生傷のように じゅくじゅくしてても、春菜さん視点で物語が語られるので 薄手の透明絆創膏の上から傷口を眺めているように 読み手側があまりしんどくならないようになっています。 ヒドイ現実をヒドク描いただけでは 自分の伝えたいことを多くの人に伝えることはできない。 それなら、より人に伝えるためにはどうするべきか。 そういう試行錯誤がページの間から読みとれます。 ミステリーの側面から見ると本作を一言で語るなら 連作短編ミステリーのお手本のような作品。 一つ一つの作品でメインの謎は解決されるけど 少しの違和感を残していき、最終話で全てが・・・というタイプ。 でも、なんだろう。最終話で綺麗に霧は晴れますが その向こうから現れた物語は、ミステリーの技巧としての 美しい物語であって、読んだ感想が 「よくここまで凝りましたね」に落ち着いたのがちょっと残念。 最終話の『軌跡』の美しさに何を感じるかは人それぞれでしょうが 細部にまで気をやった細やかで誠実な作品であるのは確かです。 普段ミステリーを読む読まないにかかわらず 多くの人に紹介できる作品です。 読んでからの一言 でも、そんなにペラペラしゃべっちゃまずいんじゃ・・

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