作品情報
失われた八年の先に、演劇部の過去と現在が交差する。
第21回鮎川哲也賞受賞作。東京創元社の単行本版として刊行されたデビュー作で、のちに創元推理文庫にも収録された。記憶喪失と演劇部の過去を軸に、青春の痛みを描く。
書籍情報
- 出版社
- 東京創元社
- 発売日
- 2011-10-08
- ページ数
- 338ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784488024833
- ISBN-10
- 4488024831
- 価格
- 3600 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
部室で目覚めると、八年間の記憶が失われ高校時代に逆戻り。母校で教師をしているあたしの身に何があったの? しかも親友の実綺は高二の文化祭直前に亡くなっているなんて──。文化祭で念願の「眼鏡屋は消えた」を実演させるため、あたしは同級生に事件の真相を探ることを頼んだ。あたしがもっとも苦手とする、イケメン戸川涼介に。青春時代の甘く切ない事件を、リーダビリティ抜群の筆致で描く、第21回鮎川哲也賞受賞作。
レビュー
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とっても読みやすくって、面白い!
とっても読みやすくって、面白い! そして、表紙が魅力的であること。 これは、かなり重要ですよ。 いわゆるジャケ買いってやつです。(某ディナーの…がまさにそれ?) で、読んでみると読みやすい上に作品世界に引き込まれていく。 主人公の千絵と涼介のコンビも魅力的。 以上が良かった点。 ただ、読み始めてまもなくオチがわかってしまったのが…。 ラストの驚きが半減してしまった点は残念でした。 そして、選考委員も指摘しているのですが推理ではなく推論が繰り返されている点。 そこが惜しいと思った点でもあります。 しかし、それでも魅力的な作品には間違いありません。 読んで損はないと思います。 個人的には、是非このコンビで続編を書いていただきたいのです。 千絵の語り口と涼介の推理は一作だけではもったいないですよ。
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ヒロインにいらつく
2011年に出た単行本の文庫化。 第21回鮎川哲也賞の受賞作。 著者はもともとアニメなどのシナリオ・ライターで、論理的な謎解きが書きたくてミステリに挑戦したのだという。そのとおり、きわめてパズル的な作品に仕上がっている。事件の真相が終盤になってきちんとはまっていくようすは見事というほかない。 ただ、キャラクター造形はもう少しどうにかならなかったのか。なんだか一貫性がないし、薄っぺらい。とくにヒロインには非常にいらついた。もう少し考えてからしゃべれよ、と思ってしまう。 とはいえ、ミステリ的な意味では、次作以降にも手を伸ばしたいという気持ちになる良作であった。
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第21回鮎哲賞受賞作品
ストーリーは一本調子で大きく盛り上がるということはありませんが、3件の事件から真実を探ろうと目まぐるしく推理を働かせる展開には、作者の本格ミステリに対する確かな熱意が伝わってきます。 ですが、語り手である「私」と、探偵の主要キャラの2人の造形が痛々しく終始足を引っ張っているように感じました。 また、刊行の2、3年前に病死した某アナウンサーをモデルにしたと思われる作中人物を、哀れな道化として描写していたため、死者に唾をつけるような作者に対し強い不信感を抱きました。 その人物を、目的のために手段を正当化する探偵にやっつけさせるのも、筋違いなのでは?と思わずにはいられませんでした。
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主人公の考えや言動に不快感
11年10月の単行本 からの文庫化.『第21回鮎川哲也賞』受賞作でデビュー作になります. 『ハイテンション』な筆致とあり,確かに会話中心のライトなやり取りが多いものの, 起きている状況にまるでそぐわない,主人公の脳天気な考えや言動に不快感を覚えます. 『あとがき』には『コメディータッチ』ともありましたが,それが作品に合っていません. 『解決編』と銘打った終盤にしても,中盤で延々と続けられた仮説と否定の繰り返しで, 探偵役の人を食ったような態度も,キャラクタと言ってしまえばそれまでなのでしょうが, 全体的にも長く,一向に真相が語られないため,作中の関係者と同様にイライラが募ります. このほか,メインとなる事件の真相も,この設定ならそれしかないだろうというもので, それ自体は構わないのですが,ただそこへ落とし込むだけに見え,物足りなさが残ります. 挙げ句,後味の悪さが残る中,これまた主人公の見当違いの締めが全てをぶち壊すという…. 時間をまたぐ事件の繋がりであったり,ポップなカバー絵は悪くありませんでしたが, 感嘆符ばかりの主人公にどうしても馴染めず,最後まで楽しむことができませんでした.
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これは、どうなんだろう
鮎川哲也賞の受賞作品です。 文章のリズムがよく、ミステリ部分もきちんと丁寧に構成されていました。 ただ、近年の鮎川哲也賞受賞作は、比較的軽いテイストで、ライトノベルの気が増している気がします。 期待値の高い作家はとにかく早いうちから摘む、というのがこの賞の流儀なのでしょうが、数少ない本格ミステリの新人賞にまでライトノベルの風潮が流れ込んでくるのはどうなのでしょう。 もちろんこの作品も、悪くはありません。 ぽっかりと空いた空白の八年間に丁寧にピースが嵌められていく様を描く筆力は新人離れしていますし、破天荒なキャラもきちんと描写できています。 ただ、無難。人を選ばない作品です。 鮎川哲也賞はだいぶ前から目を付けている新人賞ですが、もう「この作者にしか書けない傑作!」みたいな作品は出ないのでしょうか。日常系ミステリが流行しているのは重々承知ですが、その波に逆らうような作家さんが出てきてもいい気がしますけど・・・。
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読みやすいけど…
文章は、こなれ読みやすい。全体の構成などにもソツがない。ただ、とても面白い作品とは言い難い。 結局、警察を絡めることなく刑事事件を解決していく場合、ミステリーがどれほど確かなロジックを展開しても、どこか弱さを感じてしまうのは否めない。 事実を知りたいだけと言いながらも、結局は自身の倫理観・正義感で犯人を追い詰めていく探偵にも疑問が残る。そこがまさしく“推論”でしかない問題点だろう。 表紙も含め、標準的なラノベの延長上に位置するレベルの作品というところだろうか。 選評を読んでいると、本書をどの選者も強くは推していないことがよく分かる。にも関わらず、受賞作となったのは複数人による選考の場合、“不可”のない作品が選択されてしまうことが多い“文学賞”の悪い側面が出ている。鮎川哲也賞受賞作品として一読者である評者が期待するのは、“不可”のないまとまった作品ではなく、多少の問題点はあっても、驚かされるような作品である。
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キャラクターや地の文はいい。ただ、ラストが…
鮎川哲也賞受賞作です。 主人公のキャラや地の文が小気味よく、厚い本ですがさらっと読めます。 北村薫さんに推論と言われている推理も納得のいくもので、大きな衝撃はないものの良作だと思います。 ただ、冒頭から引っ張ってきた謎のオチがあれなのは…。
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