作品情報
盤上ゲームの果てに、人間と倫理の境界があらわになる。
東京創元社の書誌ページで、盤上ゲームを題材にした連作短編集として確認。第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受けた「盤上の夜」を表題作とする作品集。
書籍情報
- 出版社
- 東京創元社
- 発売日
- 2014-04-12
- ページ数
- 333ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.7 x 1.6 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784488747015
- ISBN-10
- 4488747019
- 価格
- 902 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/SF・ホラー・ファンタジー
第33回日本SF大賞受賞。第1回創元SF短編賞山田正紀賞の表題作にはじまる全6編。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋……対局の果てに、人知を超えたものが現出する。
レビュー
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発想の基を考察してみると
核になったアイデアは、アレだ。 ダルマ人間とかで伝わる、日本人旅行者が四肢を切断されて見世物にされているっていう奴なんだろう。読んで真っ先に思い起した。 そんなネタから「もしも」を積み重ねて出来上がった作品なのだな。作者の発想力、構成力、抽斗の多さを感じさせる。
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これは良い物件
キワものっぽいところから話は始まるのですが、おぉそっちに行きますか!と思わぬ展開で読者を飽きさせません。 落ち着いた語り口もよい感じ。こんな表紙じゃなくて(失礼!)SFジャンルにしなければもっと売れるのに、と思ってみたり。 素人にもわかりやすく書いてありますが(いやむしろ素人では不備が見えないのか)、麻雀の話は詳しくないと楽しめない感じでした。 (知ってる人はすご~く面白いらしい麻雀の漫画について語られた時のことを思い出す) 盤上から世界を語る(らしい)企画の関係か、無理やりっぽい短編もあるものの、仕事が丁寧なのでいやな感じはいたしませんね。 文庫なら強力プッシュ。
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偏差値高め!
私にはまだ難しかったです。。
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囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋を題材にした怪作にして快作。大傑作!
タイトルの通り、盤上遊戯?(こんな言葉あるんだね)を題材にした短編連作集。 舞台は基本“盤上”であり、所詮大きくても麻雀卓サイズだが、作者の語る世界は、時空を超えて壮大かつ深遠である。 また、四肢欠損や近親相姦、あるいはオカルトめいた描写もあり、一見“キワモノ”めいた印象を与えるが、深い思索に基づいた哲学的な叙述で“人”を“世界”を語っており、単なるエンタメ小説には止まっていない。(むしろ難解に過ぎて追いついていない部分があるかもしれない…) 6編の中では『清められた卓』『象を飛ばした王子』が秀逸。 『清められた卓』は、四人によるゼロサムゲームであり、かつ勝負は運に左右される部分が大きい、あるいはイカサマや様々なルールといったゲームとしての麻雀の特性に、各々特異なキャラクターを持つ4人の人間模様を重ねることで極めてエンターテイメント性の高い面白い作品に仕上がっている。 古代チェスを題材にした『象を飛ばした王子』は、6編の中では最も“おとなしい”作品と言えるだろう。だが、ゴータマ・シッダールタの一人息子の王子 ラーフラが古代チェス=チャトランガに込めた平和への思いが心を打ち、切なくも癒しの傑作となっている。 最終章『原爆の局』は、表題作である『盤上の夜』の対をなす作品である。ストーリーが整理されておらず、今一歩わかりにくい部分はあるが、作者の志の高さがあらわれた作品と理解したい。 いずれにしろ、次回作を期待させる怪作にして快作だ。
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テーブルゲームって面白い
囲碁、将棋、麻雀など、テーブルゲームに人生をかけた人たちを描いています。 狂気ってこういうのを言うんでしょうか。 私にはプレイヤーの心があまり理解出来なかったのですが、 怖いもの見たさで物語から離れられず、強烈な余韻を後に残しました。
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骨の震える連作
興味がなければ読まなくても良い作品群。しかし一旦読み始めれば読み終えずにいられない連作群だと思います。
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甘い物語
この本が出版された2013年から約4年経った時期にこの文章を書いているわけだけど、わずか数年で現実に先を越されてしまった作品、といえるのかもしれない。 この短編集では何かを失うことによって才能を手に入れるというテーマが何度か繰り返される。それは狂気、あるいは天才が天才である1点のみで盤上を制するというロマンチックな物語だ。でも、現実には狂気や供犠によってAlphaZeroのような他のプレイヤーを絶する能力を獲得することはない。多くの天才たちのヴァリエーションの勝敗をわけるのは羽生善治氏の言葉を引用するなら「深い集中」だけだ。そして、仮に完全解がなされたとしてもあいも変わらず「人の一手」に一喜一憂するというドライな結果が、今現在の状況だ。 「神の一手」が人の手から離れようとしている時代に、語り手は天才の幻想を追いかける(後天的に天才を作ろうとする、というのも天才幻想のひとつだ)。作者はこうしたウェットな甘さを手頃に調理している。
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ブッダの息子で十弟子の1人、ラーフラの話。
SF・純文学作家、宮内悠介さんのデビュー短編集です。 二作目の『ヨハネスブルグの天使たち』収録の短編〈ロワーサイドの幽霊たち〉が傑作だったので、ハードカバーの時に本作も買いました。 読んでおもしろかったのは、 実在したチェッカー(チェスの一種)の世界王者が、人工知能チェッカーを開発したプログラマーに対比させ、自分をプログラムした存在(恐らく神)を語る形而上学的な短編『人間の王』と、 ブッダの息子で、ブッダの十弟子の1人・ラーフラを主人公に語られるチャトランガ(古代将棋)がテーマの『象を飛ばした少年』です。これは本作の中でも異質な、SF色の全くない短編で、後の宮内さんの純文学への移行の先触れを感じました。 将棋のルールの発想過程に、父のブッダが後に理論化する仏教のイメージを重ねているのが独特で、仏教哲学を少し知っていると楽しめます。 純文学・SFとしては次作『ヨハネスブルグ〜』の方がスケールアップしていますが、この『盤上の夜』も豊かな想像力を楽しめると思いますよ。
関連する文学賞
- 創元SF短編賞 第1回(2010年) ・山田正紀賞