日本の文学賞

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姥捨て山繁盛記

日経小説大賞

姥捨て山繁盛記

太田俊明

『姥捨て山繁盛記』は、認知症で早期退職した男が、ダム建設に揺れる山村で新しい理想郷を見いだそうとする小説である。高齢化、地方の閉塞、再出発を重ねて描く。

地方認知症再出発限界集落

作品情報

あきらめに覆われた山村で、人生の後半にもう一度場所を作ろうとする。

日本経済新聞出版社刊。版元ドットコムと政府刊行物サイトで ISBN、ページ数、内容紹介を確認できる。

レビュー要約

  • 認知症と過疎地再生を結びつけた題材が印象的に受け止められている。社会的な問題意識と、人生の再出発を描く物語性の両方が評価される。

書籍情報

出版社
日本経済新聞出版
発売日
2017-02-21
ページ数
242ページ
言語
日本語
サイズ
13.8 x 2.2 x 19.5 cm
ISBN-13
9784532171438
ISBN-10
4532171431
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

俺の人生はやり直せる。この奇跡の村でなら―― 日本一のワイナリーにジャム工房、モネの絵のような睡蓮の庭……この谷をダムの底に沈めてはならない。ここには人を活かし幸せにする何かがある。 辻原登氏、髙樹のぶ子氏、伊集院静氏の選考委員一致で受賞が決まった第8回日経小説大賞受賞作! 日経小説大賞(日本経済新聞社・日本経済新聞出版社共催)で、昨年の第8回受賞作に選ばれたのは、「再出発」の物語。別れ、老い、病、失業、失恋、若き日の挫折……一度は希望をなくし、何かをあきらめてしまった人が希望を得て「再出発」をはかる時に欠かせないもの。それは、自分が社会に活かされているという充実感、そして自分を受け入れてくれる仲間の存在。 第二の人生を見つける人たちの物語と、限界集落という「あきらめ」の中で新たに生まれ変わろうとする山あいの小さな村の物語がシンクロし、「あきらめ」と「嫉妬」が支配し閉塞感が漂う日本という国の希望まで見通す物語となっている。 <あらすじ> 山梨県北部の山あいの過疎の村が舞台。大水害に見舞われたことを受けて半世紀前に計画されたダム建設は中断しているが、ダムに沈みゆく土地の移転代替地では補償金を使い、高齢者介護・医療を目玉とする「シニアの郷」計画が進む。若年性認知症と診断された59歳の西澤亮輔は、都内の大手企業を早期退職して「郷」に移住する。自らの終の棲家とする条件に見合った場所だったからだ。しかし、施設はどこか暗く、西澤も老け込むばかりの毎日。 なぜダム建設が計画のまま中断されているのか。それは水没予定地に留まり、ダム建設に反対する1%の人々がいるからだった。その集落は村人から「姥捨て村」と呼ばれ、完全に孤立している。しかし、そこには水害で母や弟妹を失った過去を持つ男が営む「日本一のワイナリー」があるという。のだ。ある日、思い立って西澤が訪ねると、理想郷のような風景が広がっていた。

太田 俊明 作家 1953年千葉県松戸市生まれ。東京大学在学中、硬式野球部の遊撃手として東京六大学野球で活躍。卒業後は総合商社、テレビ局に勤務し、2013年に定年退職。15年、第7回日経小説大賞最終候補。

レビュー

  • 面白い展開で読ませますが・・・・

    文章の巧さとストリー展開の速さで飽きさせずに最後まで読みました。作者の筆力の高さを感じさせる内容でした。 一方で書名の『姥捨て山繁盛記』で意識されるシニア世代の登場人物には違和感がありました。小説を未読の方もあるでしょうから、詳しく設定については触れませんが、登場するシニア達が元気すぎるのは現実的ではなく、夢物語の設定だと言わざるを得ません。 シニアが入居している施設の人物たちが、現役世代そのままの活躍をしています。まだまだ枯れてはいません。それはそれで良いのですが、なぜ「シニアの郷」に入居しようとしたのかの前提と、あまりにかけ離れた活躍はリアル感にかけました。 夢の中に生息する桃源郷の住民たちという感じでしょうか。 また言っても仕方がないことなのですが、現実の社会で起こった事件や災害を思い起こさせる設定を借りてきているように思いました。関係者もおられることですから、もう少し舞台背景の描き方には配慮が必要なのではと思います。 フィクションなのは重々承知ですが、読者の脳裏には違う情景が浮かぶこともありますので。

  • 面白かったです

    面白かった。自然の中での第二の人生。私も、こんなスローライフを送りたいと思いました。

  • 小説というよりリアルな話てんこ盛り

    現代の社会問題をぎっしりつめ込んでいるが、しっかりとした筆力なので、読みづらさはない。 構成も行き届いていて隙がない。 映画にしても良さそうな。

  • 充分面白く読みました。が…・ネタバレあります

    途中までは「じっくり」感ありの描写だったのが、話が動き出した途端にばたばたと大雑把になっていった印象。 充分面白く読めたが、山場を堪能しそこなったらしい。 トピックは盛り沢山なのに、肩すかしくった感じで、読了の今、「きょとん」としてる。 …なんでだろ? 自分の為の覚書です

  • 日本の地方の縮図と自分の老後を考えさせられます

    大手企業の人事部長まで勤め上げた主人公が、アルツハイマーの診断。いろいろな事情で奥さんには先立たれ娘一人。お金はあるので、残された人生老人介護施設で過ごし、最後を迎えよう…と選んだ田舎の土地。そこはダムを作ることで保証金をもらった住民がある意味バブル的な施設ではあるのだが、町には立ち退きを拒んでいるグループがあり、そこには日本一美味いワインとジャムがあるが、あまり知られているわけではない。 ひょんなことからそのダム建設反対派と賛成派の戦いに巻き込まれた主人公が、いろいろな苦労を乗り越え何とか新しい調和の道づくりを画策するのだが…。 相手の黒幕が、地方の政治のドンという役柄で、金や人の名誉やたまには不正なことをしつつ自分の利権を守ろうとする。それに従う取り巻き連中…。 ハッピーエンドとはいかない面もあるのだが、多分このような構図はこれから日本じゅうどこでも起こり得る話だと。自分もそろそろ老後は何をして過ごすのか…などマジに考えたくなるような本です。

  • 現代版ブレーメンの音楽隊

    ブレーメンの音楽隊の現代版のような物語です。超高齢化で財政逼迫の我が国ではこのようなVisionが必要かなと思わせてくれました。

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