日本の文学賞

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センセイの鞄

谷崎潤一郎賞

センセイの鞄

川上弘美

居酒屋で再会した元教師と教え子が、季節の食べ物や小さな会話を重ねながら静かに距離を縮めていく恋愛小説。淡いユーモアと孤独の感触が、成熟した親密さをやわらかく描き出す。

恋愛季節孤独日常

作品情報

『センセイの鞄』は、川上弘美の作風が凝縮された受賞作。

居酒屋で再会した元教師と教え子が、季節の食べ物や小さな会話を重ねながら静かに距離を縮めていく恋愛小説。淡いユーモアと孤独の感触が、成熟した親密さをやわらかく描き出す。

書籍情報

出版社
平凡社
発売日
2001-06-01
ページ数
277ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784582829617
ISBN-10
4582829619
価格
1540 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

第37回(2001年) 谷崎潤一郎賞受賞

レビュー

  • これはまた参った 大傑作だ

    久しぶりに純文学読んだら、心が揺さぶられた。 繊細で美しい日本語で紡がれる物語は、こうも素晴らしいものなのか。 物語は37歳の「わたし」と、30歳と少し年上の「センセイ」との静かな恋物語。 季節の移ろいとともに、心地よく変化していく二人の関係性。 にしても、川上弘美さんの日本語、すごすぎる。シンプルでありながら奥行きのある言葉選び。 何気ない日常の描写の中に、人生の機微や恋愛の本質がキラキラ光る宝石のようにいくつも散りばめられている。 芥川賞作家の本領発揮 映画もあるようだけど純文学は文字で味わうことをお勧めします。深い余韻を楽しみたい方にぜひ手に取ってほしい作品。 読みやすいし、ページ数も270頁とお手頃。

  • 初めての恋愛観

    何ていうのでしょうか。初めて読むタイプの本でした。 後半になるまで、少々退屈を感じていて、この小説は川上さんの文体を楽しむ本かなと勝手に思ってました。 しかし、最後にはまるで自分のことのように、ツキコさんの思いが入り込んできました。切なくて幸せで、暖かくて寂しい。 とても良い話です。感動しました

  • 恋愛小説の最高峰

    初めて読んだのは20歳過ぎ。それから何度も何度読みたくなる小説。そして、何度読んでも素晴らしい小説。

  • 中年にさしかかった女性と老齢の男性の恋…

    「わたし」大町ツキコは駅前の居酒屋で高校のとき国語を教わっていた教師・松本春綱と出逢う。「わたし」は先生を「センセイ」と呼び、センセイはわたしのことを「ツキコさん」と呼ぶ。十数年ぶりに再会した「ツキコさん」は30代後半で独身、「センセイ」はツキコさんより30歳以上年上だった。以来、「わたし」と「センセイ」はつかず離れずの関係が続く、2人は居酒屋で酒を飲み、花見をし、キノコ狩りに行き、島に旅行する。やがて「わたし」は「センセイ」に対する想いを募らせ、ときに怒り、ときに泣き、そして「センセイ」は…… 中年にさしかかった女性と老齢の男性の恋。さすがは川上弘美、たゆたうような文章で読ませるし、こういうフォーマットのストーリーに付きまといがちな不快感はないが……うん、淡あわとした恋愛小説というだけ。川上弘美は確か三冊目。初期の現実と非現実が交わる掌編『蛇を踏む』みたいな味わいが好みだったので、こういう方向の小説はぼくにとっては別にいいかな。

  • 良い作品です

    NHKの朗読の世界でこの作品を知りました。20年も前に出版されましたが、昨年増刷されたたものをAmazonで購入しました。日常を装うほのぼのとした筆致に、ちょっとした恋心をにじませてとても良い作品です。

  • 何度も読み返す本

    学生の時に文庫で読んだ。無性にまた読みたくなって、電子書籍でまた読んだ。ツキコさんと同年代か少し上になった今、二十歳の頃とは違うリアリティを感じる。中年の女にもそんな純粋な恋心あるのかなって思ってた。年の離れた目上の人に憧れる気持ちも、相手がおじいちゃんじゃ恋にはならないって思ってたのに。こういう気持ち、あるんだよね。具体的に身近で誰がとか、誰とじゃなくて。自分、どうやって一人で生きてきたんだっけ?って、毎日の中に誰かがいることが当たり前になるみたいな。 また、数年後に読み直そう。センセイとツキコさんに会いに。

  • 不思議な考え方が浮かび上がっている

    ツキコさんとセンセイ、真面目な大人同士の淡い恋の物語である。解説で木田元が書いているように、この物語で強く存在が感じられるのは「時間」だ。 まず、2人がいつも落ち合うサトルさんの店。ツキコさんがこの店にふらりと行くと、センセイに会える。もちろん、会えない日もある。会っても2人の間に距離がある日だってある。でも、強く会いたいと願った時には大抵会える、会う日時を約束しなくても。これはなんだか夢の中みたいだ。時間を超越した場所のように感じられる。 次に、人は死ぬと時間を超越した存在となり、その魂は時間を自由自在に飛び越えて、過去にも未来にも形を変えてまたこの世に戻ってくるのだと本作は仄めかしているものと私は勝手に解釈した。魂が「この世に戻ってくる」ための方法というのは、生きている人の魂と混ざり合ってひとつになることである。ここで時間が超越される。死者の魂が生きている人の中に入り込んで一体化することで、入り込まれた人はそれまでとは少し違った人になる、そんなイメージが浮かび上がった。不思議な考え方である。 文章が全体に軽いタッチで書かれていて日本語としての重量感に乏しく感じられたのと、センセイの口調が個人的には好みではなかった。本作は文春文庫だけでなく新潮文庫からも出ているが、新潮版の方が味わいがあってセンセイらしいフォントで書かれているし、木田のどうでもいい解説に比べて斎藤美奈子の解説が良いので、新潮文庫版をお勧めしたい。

  • ゆるく、じわっときます

    疲れたとき、悲しいとき、何でもないときに読みたい本です。

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