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遠きにありてつくるもの―日系ブラジル人の思い・ことば・芸能

読売文学賞

遠きにありてつくるもの―日系ブラジル人の思い・ことば・芸能

細川周平

日系ブラジル人の思い、ことば、芸能をたどり、移民の経験から文化が作られる過程を描く評論。遠く離れた土地で受け継がれる記憶と表現を丁寧に掘り起こす。

移民日系ブラジル人芸能記憶

作品情報

日系ブラジル人の思い、ことば、芸能をたどり、移民の経験から文化が作られる過程を描く評論。

日系ブラジル人の思い、ことば、芸能をたどり、移民の経験から文化が作られる過程を描く評論。遠く離れた土地で受け継がれる記憶と表現を丁寧に掘り起こす。

書籍情報

出版社
みすず書房
発売日
2008-07-24
ページ数
491ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784622073796
ISBN-10
462207379X
価格
5720 JPY
カテゴリ
本/歴史・地理/世界史/その他の地域の歴史

第I部は、「思い」を小題に掲げ、郷里へ向かう気持ちがどのようにつくられているかについて考える。ここでは本書全体の前提となる「思い」「情け」「郷愁」の概念を検討する。短歌・俳句・川柳の分厚い蓄積を文学史の外で使う試みで、インタヴュー記事からは見えてこない心向きを描いてみたい。 郷愁について知識人は、それに囚われるのは精神の高邁さが足りないからだといわんばかりだ。しかし大半の移民は賢そうな批判をよそに、故郷に思いを馳せてきた。郷愁をその思いに共感しながら考えるほうが、上滑りな理論作りよりもずっと大切なことではないか。 第II部の主題は、「ことば」である。移民は、単に〈ここ〉にいるのではなく、つねに〈あそこ〉から遠いここにいると故郷・故国を迂回して、自分の位置を確かめがちである。そうした迂回の有り様が「ことば」という主題の下に浮かび上がる。 第III部は、オペラ、カルナバル、浪曲という広い意味の「芸能」を扱う。ブラジルで日本人が演じた『蝶々婦人』、カルナバルの日系人、移民史上の有名無名人物の伝記を語った創作浪曲を取り上げ、日系人の自己認識について探る。(「はじめに」より) 郷愁、言語、芸能を手がかりとして日系ブラジル移民の歴史と文化を再考する。厖大な資料との格闘と多年にわたる現地調査から生み出された移民研究の成果。

細川周平(ほそかわ・しゅうへい) 1955年大阪生まれ。東京芸術大学 音楽学研究科 博士課程修了。国際日本文化研究センター教授。専門分野は、近代日本の大衆音楽、日系ブラジル文化。著書:『レコードの美学』(勁草書房1990)、『サンバの国に演歌は流れる----音楽にみる日系ブラジル移民史』(中公新書1995)、『シネマ屋、ブラジルを行く----日系移民の郷愁とアイデンティティ』(新潮選書1999)ほか多数。

レビュー

  • 私も日本人ですから

    「遠きにありてつくるもの」ということばが素敵です。この本を読むまでは、日系ブラジル人の方々は「中途半端に日本文化を受け入れて伝統ある姿を壊している」と勝手に解釈していました。しかし、本を読みながら、これまでの私の薄っぺらな理解が恥ずかしくなりました。日本に住んでいても、どれだけの人が浪曲や俳句、芝居などに接しているでしょうか。また、遠くブラジルの地で生活しながら、そうした芸能を受け入れ、再生産するのは、とても大変なことに違いありません。本を読みながら、祖父母がラジオで聞いていた浪曲を、丁寧に鑑賞したくなりました。私には「つくる」ことはできませんが、遠くにありてつくってこられた方々のご苦労に思いを馳せてみたいと思います。

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