日本の文学賞

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紙の月 (ハルキ文庫 か 8-2)

柴田錬三郎賞

紙の月 (ハルキ文庫 か 8-2)

角田光代

銀行で契約社員として働く梅澤梨花が横領事件へ踏み込んでいく長編小説。平穏な生活の薄皮が剥がれる過程を、恋愛、金銭、孤独の感覚と結びつけて描く。

横領恋愛日常の崩壊

作品情報

正しさの側にいたはずの女性が、金と恋に絡め取られていく。

銀行で契約社員として働く梅澤梨花が横領事件へ踏み込んでいく長編小説。平穏な生活の薄皮が剥がれる過程を、恋愛、金銭、孤独の感覚と結びつけて描く。 書誌識別子は、Amazon JP、NDL/CiNii、出版社・書店情報で単独書籍または収録書籍として確認できたものだけを記録し、雑誌号や掲載媒体の識別子は流用していません。

書籍情報

出版社
角川春樹事務所
発売日
2014-09-13
ページ数
359ページ
言語
日本語
サイズ
10.8 x 1.5 x 15.3 cm
ISBN-13
9784758438452
ISBN-10
4758438455
価格
649 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

ただ好きで、ただ会いたいだけだった―――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった・・・・・・。あまりにもスリリングで、狂おしいまでに切実な、傑作長篇小説。各紙誌でも大絶賛された、第二十五回柴田錬三郎賞受賞作、待望の文庫化。

1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、97年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、04年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年、本書で柴田錬三郎、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞。

レビュー

  • 映画を観てから読んだ

    内容が分かっていたからスラスラ読めた。 本から入っても良かったかも。

  • とにかくいたたまれない気持ちになる

    やっぱり まず最初にはその自分はお金を散財してストレス解消するという感覚がないので そこはあまり 共感はできなかった。 でも女性の置かれた立場というのはやはり 勉強になったと思う。それから なんだかいたたまれない気持ちがすごく強かった。 破滅が待っていることは分かっているのに 何とか 切り抜けようとするところの緊張感とかも。 普通の冒険小説などのスリルとは 感覚が全く違う。 何が違うのかというと やっぱり 普通の冒険小説ではハッピーエンドになってうまく切り抜けられることが前提になっているからだろう。 これは破滅が待っていることが最初に示されているのでそういう感覚は全くない。 なんだか自分の中に重なる部分があって読むのが辛いんじゃないだろうか。 重なる部分というよりも自分の中のなんとなく辛いところを刺激される感じ。 でもそれが何なのか自分にはよくわからない。 自分は嘘が下手だから 多分 そこに何かが繋がっている気がする。 自分は嘘をついて それを追求されたりするのがすごく嫌いなんだよね。多分そこが刺激されるんじゃないかな。 これは映画化されているので 後で これは見てみたいね。今週末でも見てみようかな。

  • 引き込まれます

    以前、ドラマを少しだけ見たことがあり、内容が気になっていたので、本を読むことにしました。主人公が戻れない道を行くところに引き込まれました。

  • メンタルに来る

    テレビで映画が放映されていたので、 気になって原作も読みました。 映画よりもっとエグいです。 メンタルに来るので、元気な時に読むといいかと思います。

  • 思ったとおり

    満足

  • 主人公がやってしまうことを自分ならやらないと思うのに。

    これを読むのは三度目。購入から2年に一度くらい読み返しているかも。主婦がお金を横領していくお話。最初は全然興味が持てなかった。だけど、なぜ主人公がそんな「一線」を越えていってしまうのか、そこに至るまでの夫とのやり取りのなかで感じる齟齬、そのあとにつきまとう違和感が丁寧に描写されていて、 読むたびに泣きそうになる。 主人公がやったことは許されないのだけど、読んでいて全然憎めない。 だれの身にも起こりそうではない出来事を、角田さんが書くと、なぜこうも自分のことのようにはまっていってしまうのか。 主人公の人となりがわかる箇所の描写もすばらしい。 ということで、読書好きな友達に、これを読むたのしさを伝えたくて、プレゼント用に再度購入。

  • 作りものの月のなかで。

    かなしい“さが”を感じました。 ちょっとしたきっかけが知らず知らずにエスカレーションし、ぐるぐると火だるまになっていく。 最初のきっかけは、さりげないさまであり、見過ごしてしまうような事象だと思います。 多くはそういうところでストップがかかるものかもしれません。 そういったきっかけは元をただせば、今の生活環境であり、さらには生まれてからの環境が影響するんだと痛感しました。 だれでも条件が組み合わされば、このような事態を招くことがあると思います。 付き添って養われているんだ、そのことにより上下関係があるんだという思いは、やがて自分自身も同じような行為をしているといった因果を省みる事ができます。 これも、自分自身が気がつかないうちに、そのような行動・行為に走ってしまうのだと思います。 この主人公の行為はわるいのですが、そう思う前に、渇望を満たそうとするところが、どうしてもかなしくて、切なく映ってきます。 主人公の知人と対比させることにより、主人公の像が浮かび上がってきます。 主人公は金銭欲ではないので、与えることに対して欲求が満たされるのです。 それは二次的に生産加工されたものに満たされているのです。 学生の頃に海外に寄付をして、手紙が返ってくるという”与える”ことに満足するのです。 一方、主人公の知人は、背景があるもののいずれも金銭欲であり、モノトーンで満足感を得るのです。 現実がしっかりとみえない、まさしくタイトルにある「紙の月」は、月のごとく見えてはいるが、それは幻想の中にあるのです。 現実をしっかりと見据えれば、“紙で作った月”ではなく、本来輝きある月が見えてくるんだと力説しています。 また、”作った月”はその努力により、不変の形であり、直に手に取ることができるのですが、本当の月はただ見ているだけですが、日々色や形が変化し、その遠くからの輝きに届かなくても愛おしみを感じるものです。

  • 話し合いのできないパートナーは駄目

    夫、屑やん。 妻の話を聞いて、意見を尊重して、釣った魚は食べるんじゃなくて育てて大切にしてよ。 貴重なものを扱うように、美しいものを撫でるように、こうして触ってほしかった。ずっと待っていた。ずっと。 って、なって当然や。 コロナ前は、梨花のような境遇の中年女性がバンコクやらセブやらそこらじゅうに転がっていましたよ。 彼女らが窓やら壁やらを全部ぶち破ったのは、男社会に対する反抗でしょう。 妻を従属物のように扱う、話し合いがまともにできない男と結婚すると、忍耐と悲劇の生活が続くわな。 というお話でした。

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