日本の文学賞

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袖口の動物 (新しい詩人 9)

H氏賞

袖口の動物 (新しい詩人 9)

杉本真維子

『袖口の動物』は、身体感覚と情念を鋭い言葉で掘り起こす杉本真維子の詩集です。愛や祈り、怒りに近い優しさが、日常の細部から不穏な生命感として立ち上がります。

現代詩身体感覚愛と祈り生の矛盾

作品情報

矛盾した生の熱が、袖口からのぞく動物のように言葉の奥でうごめく詩集です。

思潮社「新しい詩人」シリーズの一冊。表題作を含む詩篇を通じて、親密さと暴力性、祈りと怒りが接する地点を探り、読者に強い余韻を残します。

レビュー要約

  • 言葉の緊張感と比喩の鮮烈さを評価する声がある一方、感情の密度の高さを重く受け止める読者もいます。

書籍情報

出版社
思潮社
発売日
2007-11-01
ページ数
95ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784783730309
ISBN-10
478373030X
価格
2135 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: 袖口の動物 (新しい詩人 9) : 杉本 真維子: 本

レビュー

  • H氏賞受賞

    手暗がりの よわよわしい視野の中にしか棲まない 動物を、連れてかえり (「袖口の動物」) 詩人についてなにも知らず、ただ新聞の書評かなにかで紹介された内容とタイトルだけで買いました。だからまったく頓珍漢なことをいうかもしれないけれども。 一読すると、詩集に収められた詩のすべてが、まるでひとつの大きな作品のように多くのものを共有していると感じます。この詩人の持つ独特の世界なのでしょうか、雰囲気といっていいのか、気配といっていいのか、明確に名指すことは難しいのですが。稚拙な読み手の身勝手な印象を強引に敷衍するだけになるかもしれませんが、あえて連想ゲーム風に受けた印象を短い言葉で順不同に羅列していくと。 動物。暗がり。汗(じっとりとしみ出す)。向かい合う/対峙する。一触即発。並べる。刃物(で先端を切る)。動かぬ空気。閉じる/こじ開ける。割れる。舌。死。(家族間の)愛憎。 ……これで何かが伝わると良いのですが。私自身はこの濃密な世界にひどく惹かれたものの、実は一方で作品にぴったりと身を添わすことのできない、入口で足踏みしているようなもどかしさも感じずにはいられませんでした。先に挙げた書評(?)で、詩人自身が言葉をこれ以上はないくらいに厳選し構築している、というのを読みました。完成度がとても高い分作品のそれぞれが精密な鍵穴のように一部のすきもなくぴったり合う読者にだけ開かれているような気もするのです。ひらたくいうと誤解の勢いで一挙に駆け抜ける、というような、私のように迂闊な読者のつけいるスキがもうちょっとあればなあと思ったり(読者としての無能ゆえの嫉妬まじりのイチャモンに近いですが)。

  • 詩だって血を流す、見えない血を流す

    正直、感想を持つのがむずかしい。というのがいかにも現代詩。 ただなんとなく感じたのは、いずれの詩も、いわば生きている血管のような生々しさがあって、しかもつねに詩句のどこかしらが内側から傷ついて、内出血を起こしている。そういう痛々しい感じがあった。この痛みの切実さを、他人事でなくまざまざと想像できる読み手なら、きちんと刺さるのかもしれない。 「貨物」という詩の冒頭、「知らない女に、喉の皮を鋏の先でちょっと切られた/血はあまり出なかったが、ふと友情のようなものに気づいた」のイメージが、ちょっと常人離れしていて凄い。

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