作品情報
吃水都市は、松浦寿輝の受賞歴と結びつく詩集として読まれている。
都市の表面と深層を、水位や廃墟のイメージを通して描く詩集。長い時間をくぐった言葉が、現実の都市とは別の地図を浮かび上がらせる。
レビュー要約
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題材の個性と文体の手触りを評価する声があり、ジャンル性や詩的な密度をじっくり味わう作品として受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- 思潮社
- 発売日
- 2008-12-01
- ページ数
- 157ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784783730989
- ISBN-10
- 4783730989
- 価格
- 4440 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 吃水都市 : 松浦 寿輝: 本
レビュー
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「20年もの」の結晶世界
扉を開けば吃水線と、平底船の如き筐体とが現れ、そこから溢れでる文字が滲んでいるような装本である。1987年から2008年までの詩作24篇からなる散文詩集。「現代思潮」に掲載された17篇を中心に構成されている。猥りがわしい都市に棲息して、雷同し浮遊しているのか、孤立し沈潜しているのか。長きにわたる想いは、吃水を深くしただろうか、身軽にしてくれただろうか。旧仮名遣い・改行句点空白なし・読点踊り字多用で彫琢された文字塊である。新語と踊り字と旧仮名とが犇めき、ねちこい文体のなかで蠢いている。24枚の紙片をシャッフルすれば、エーテル空間に時間の結晶が析出するかもしれない。1988年作の10篇「吃水都市1~10」だけで編めば、拡がりに欠けるとしても濃いものになっただろう。作者は短篇小説「鬱々と」(『もののたはむれ』所収)で、「何ものにも支えられずに宙に浮かんでいるような美しいもの作りたい」と<わたし>に言わしめている。続けて「これこそ救いようもなくあさましい」とも。
関連する文学賞
- 萩原朔太郎賞 第17回(2009年) ・受賞