作品情報
『コルカタ』は、言葉の密度と題材の力で読者を作品世界へ導く。
『コルカタ』は、小池昌代の関心が凝縮された作品として読める。詩の言葉が、記憶や土地、身体感覚を通して内面の震えをすくい上げる一冊。
レビュー要約
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題材への向き合い方と文章の手触りを評価する声があり、作品の余韻や構成に注目されている。
書籍情報
- 出版社
- 思潮社
- 発売日
- 2010-04-01
- ページ数
- 125ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14.6 x 1.3 x 21.6 cm
- ISBN-13
- 9784783731733
- ISBN-10
- 478373173X
- 価格
- 2200 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: コルカタ : 小池 昌代: 本
レビュー
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コルカタ残照
世界終末後の世界が、凄まじい人間の体臭と排泄物とマサラ(香辛料)の臭いが入り混じり漂い、これが人間の最後の楽園のように、 これが人間の最後の地獄のように、 視界いっぱいに広がっている恐怖の街コルカタ。 そんなカルカッタを小池氏は詩篇にまとめている。 なぜか、この死と破壊の女神カーリーが支配する不吉な街に僕は惹かれるのだろう? 街中に黒い悪魔のようなカラスの大群がひっきりなしに、ゴミ溜めを漁り、半裸の乞食が道端に寝転がってルピーを無気力で虚ろな眼で要求している。 やたらと蒸し熱い やたらと蒸し熱い フト、ゴミ溜めの方に視線を返すとカラスと一緒に赤裸の子どもがゴミを漁っている。 白く痩せた牛が排泄物を垂れ流しながら、ゆうゆうとして道を歩いてゆく。 私の腕を恐ろしいちからで、誰かが掴んだ。 「バーブージー、ルピー、ルピー!」 それは初老の髭もじゃの乞食。 金をよこせと言っているらしい。 それにしてもこの街は埃っぽい。 さっきから、人いきれと埃っぽさでゴホン、ゴホン咳が止まらない。 カーリー寺院に不注意に入ってはいけなかった。 そこには、斬首された羊の生首が積み上げられていた。 僕はこみ上げる吐き気をこらえながら、 女神の呪いをおそれつつ、リキシャー引きの男におびえつつ、宿泊先のホテルへと帰るように命令した。 ホテル、グランドオベロイは古くからある老舗の高級ホテルだ。 一歩なかに入れば、そこはもうインドではない。 中庭のラウンジで、チャイを飲んでいると 先程まぎれもなくこの目で見たコルカタの風景が脳みそいっぱいに広がってきて、 あれは現実だったのか?それとも幻想だったのか?わからなくなり、まるで白昼夢を見る思いがして、全身に倦怠感が広がってきた。 もう二度と行きたくない もう二度と行きたくない? いや、僕はまたあの街、コルカタへ行くに違いない。 いや、僕はまたあの街コルカタに呼ばれるに違いない。 その時はこの詩篇「コルカタ」を持って行こう 人間は自分の情熱には逆らえないからだ
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