日本の文学賞

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不在都市

歴程新鋭賞

不在都市

永方佑樹

永方佑樹の詩集。都市にあるはずの場所や声を「不在」としてとらえ、記憶、移動、身体の感覚を交差させることで、現代都市の見えにくい輪郭を描く。

現代詩都市記憶不在身体

作品情報

都市の空白に耳を澄ませ、そこに残る声と記憶をたどる。

思潮社から刊行された詩集。詩人としての永方佑樹が、都市の表面ではなく、そこに残る不在の痕跡をたどり、個人の記憶と場所の記憶を重ねる。

レビュー要約

  • 都市を直接描くのではなく、欠落や空白の感触から立ち上げる構成が印象的だと受け止められている。抽象性の高さを重く感じる読者もいるが、言葉の密度が作品の核になっている。

書籍情報

出版社
思潮社
発売日
2018-10-18
ページ数
112ページ
言語
日本語
サイズ
13.5 x 1 x 20.9 cm
ISBN-13
9784783736318
ISBN-10
4783736316
価格
2420 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/詩歌/詩集

かわるがわるの記憶が あおざめ 時割れてゆく (「不在都市」) 「永方祐樹はこの『不在都市』で交響した、交響している、交響させる」(古川日出男)、「不在都市」とは、そんな快活な場としての東京の(再)開発だ」(菅啓次郎)。 土地の記憶を呼び起こす重層化する視線。マルチリンガル詩を含む、現在への果敢な試み。 装画=青野春秋、装幀=中島浩

2012年、「詩と思想」新人賞受賞。詩集『√3』(思潮社)刊行。テキストベースの詩作にとどまらず、音や映像等のテクノロジーや水などの自然物を使用することで詩を立体的に表現することを目指す、独自の「立体詩/Steric Poetry」パフォーマンスを展開。

レビュー

  • 地形図と東京、テキスト実験!

    ①「中野3丁目」というタイトルの冒頭の詩は、派遣社員の1日の自宅で暮らすしののめ(夜明け)と夜を描く。片想いに終わった恋人も登場する。満たされぬ思いを風呂の石鹸のミルクのような香りがかき消す。冒頭の東京の地形図は、中野3丁目がどこにも見当たらない。つまり、タイトルの不在都市そのものだ。 ②なかなか面白いテキスト実験である。繰り返し読むことで、意味が分かるような気がする。冒頭の詩は、失恋の悲しみなのか、派遣社員の不安定な生活なのか、どちらもありそうでなさそうでもある。生活実感も「不在」なのだ。 今回、著者の小説が文学賞候補作品になっている。これからの活躍が楽しみだ。

  • 不在は在るのか?

    東京という都市を様々な角度で―時には過去に―掘り下げることによって今の東京という都市の温度を体現している、そんな詩集だ、と思う。 「渋谷ディニスクランブル」はまさに2017年時点から過去に渋谷という土地を掘り起こした詩で、渋谷の過去から現在への歴史と2017年の現在と脚注が交わり、三次元的な広がりを見せている。 それに続く描き下ろしの「オレたちの国」、「東京都千代田区永田町一丁目七番一号」はラディカルでポリティカル、詩の本来あるべき姿を考えさせられる。 さらに続く「塔と浅草木馬」は浅草から見える634mのシンボリックなあの塔と萩原朔太郎が生きていた時代の花屋敷を横断(もしくは縦断)する「渋谷ディニスクランブル」にも繋がる多次元的な広がりがある詩。しかしながら「渋谷ディニスクランブル」とは全く違った表現方法をしていてそれがまた面白い。 忘れてはならないのが古川日出男、管啓次郎両氏が文章を寄せた8ページにわたる栞で、こちらも栞にするにはもったいないくらいの内容となっている。

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