作品情報
光と闇の反復が、未来を希求する祈りの器になる。
砂子屋書房刊、かりん叢書の歌集。出版社ページでは若山牧水賞受賞作として紹介され、光と闇、水面、森といったイメージの反復を、未来への祈りの器として位置づけている。Amazon JP と出版社公式で ISBN/ASIN を確認した。
書籍情報
- 出版社
- 砂子屋書房
- 発売日
- 2019-05-01
- ページ数
- 166ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784790417170
- ISBN-10
- 4790417174
- 価格
- 3080 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 光のアラベスク: 歌集 (かりん叢書 343篇) : 松村 由利子: 本
レビュー
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松村さんの根っこと変容。素晴らしい作品です。
まず、造本がすごいです。Amazonでは書影がないのでアップしますね。フランス装。パラフィン紙が巻いてあります。装本は倉本修さん。不勉強で情けないですが、装丁とか本文デザインとかでなく、本書の丸ごとの作りを倉本修さんが担当されたということなのでしょうね。何とも言えない緑色を基調とした作り。格好いいです。でも、本文の終わりで3ページ白なのは何ででしょうか? ここがバッチリ収まっていないのが結構残念ではあります。帯は特殊紙で茶色の文字ですかね。目が悪くて確信を持ってスミと区別ができないのが残念。栞も渋いです。上等な特殊紙で何かの花が印刷されています。この花がわからないところが我ながらかなり情けない。製本は渋谷文泉閣。この製本は機械のラインでどーっと流すことできませんね。多分、手作業がだいぶ入っている(もしかしたら全工程?)と思われます。お疲れ様です。とても美しい仕上がりですね。 さて、本書は第24回若山牧水賞受賞作。どんどん変わっていく松村さんの作風や興味の方向がまさにアラベスク(幾何学的紋様の反復)のように織り込まれています。ちと抜粋。 まれまれに真すぐなる美も或るこの世モーツァルト弾く午後は明るし この世あまねく覆われゆかん粘りつくポピュリズムという暗愚の糸に 夢に会う人の唇やわらかく実らぬものの何と酸っぱい 羽繕いしているわたし明け方の雨はやさしく夢を濡らしぬ 一揆という抗議行動いつの世も民衆は誇り高くあるべし 人がみな上手に死んでゆく秋は小豆ことこと炊きたくなりぬ 十二桁の数字届きて焼印を捺されたように背中が痛む 八重山の古き文書に「日毒」とやまとの国は記されてあり 戦場の写真にもある黄金比キャパの構図は美しすぎる ブリューゲルの村に満ちたる濃き匂い風に交じりて初夏の島 取税人マタイ登りし木のように悲を抱きとる人となりたし 植字工のおじさんのいたわが職場みんな活字が好きでしたとも ちょっと引用が多くなりすぎましたが、本書で私がいいなと思った歌に添えた付箋はボウボウです。これでもかなり絞ったので勘弁してください。私はひとまず、小豆とブリューゲルがよかったかな。あと「活字が好きでしたとも」。本の中身の匂いを嗅ぎ、ページの凹凸を指でなぞったりしましたね。 さすがに賞をもらえる作品です。可能性に満ちています。松村さんのお店の取り扱い商品が多くなってお店がどんどん広がってこれは大変だなあとも思います。でも与謝野晶子を熱心に研究してらっしゃる松村さんなら、とことんやっていただけそう。今後も大いに楽しみです。
関連する文学賞
- 若山牧水賞 第24回(2019年) ・受賞