薔薇のイコノロジー 新版
若桑みどり『薔薇のイコノロジー』は、薔薇を愛、生命、女性、権力、宗教的象徴として読み解き、西洋美術と精神史の中でそのイメージが担った意味を追う美術史研究である。図像の細部から文化の深層へ進むイコノロジーの方法が生かされている。
作品情報
薔薇の図像を通して、西洋の愛と生命の象徴史を読む美術史の著作である。
花の美しさをめぐる随筆ではなく、絵画・文学・宗教的表象を横断しながら、薔薇がどのように意味を背負ってきたかを論じる研究書。視覚イメージを歴史的な思想の場として読む若桑みどりの代表的著作の一つである。
書籍情報
- 出版社
- 青土社
- 発売日
- 2003-04-01
- ページ数
- 384ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784791760367
- ISBN-10
- 4791760360
- 価格
- 1369 JPY
- カテゴリ
- 本/アート・建築・デザイン
Amazon.co.jp: 薔薇のイコノロジー 新版 : 若桑 みどり: 本
レビュー
-
名著!
以前ハードカバー版を持っていましたが、新装版で再度購入しました。いつまでも色褪せない薔薇のような名著。
-
画期的名著、待望の復刊!
本書が最初に世に出たのは1984年。同年には池上嘉彦「記号論への招待」(岩波新書)が出版されるなど、知の世界では記号論が流行をみていた時代。記号論学者ウンベルト・エーコが小説「薔薇の名前」を世に出したのが1980年(日本語版は1990年)、その映画化が1986年。本書と「薔薇の名前」には内容的に直接の関連性はないものの、「薔薇」の歴史的イメージを負っているという意味では通底するものがある。 「イコノロジー」という語自体が、極めて記号論的であるが、あとがきにある「私は一つのイメージが個人を超え、時代を超え、洋の東西を超えて、いわば普遍的な象徴となって人類に共有されているのを知った」「私の(中略)意図は、人類がつくり出したイメージの普遍性を探ることにあった」という言説を見ると、本書が構造主義の系譜に連なることが見てとれる。 同様にあとがきには「世界的な民族音楽の研究者であった故小泉文夫氏が、初めて、地球の規模で芸術を考えることを私に教示して下さった」「きわめて素朴な、生に密着したイメージほど全人類に共通し、人類を結ぶものであることを示唆された」とある。また、今回の復刊の際に巻末に加えられた著者の長男による「あとがきに代えて」において、著者が(構造主義の祖クロード・レヴィ=ストロースの多くの訳書もある文化人類学者)川田順造氏と「若き日の留学の行きの船で一緒だった」ことも記されている。著者若桑みどり氏が、これら同時代の顕学との知的交流も経て、著者独自の問題意識や視点を持って、本書を生み出していったことが良くわかる。 著者の金字塔であり、画期的な名著である本書の復刊を心から喜びたい。
-
TOC
薔薇の聖母 薔薇を喰べた驢馬 レオナルドの庭園 薔薇園にて 美しき女庭師 花の道 菊と蓮 グロテスクの系譜一―周辺の豊饒 グロテスクの系譜二―笑う牛 グロテスクの系譜三―花となった人間 花と髑髏―静物画のシンボリズム 刻印された“詩” 石の花―反古典主義的空間の根源 花の復権―ウィリアム・モリスのパターン・デザイン 生きている花―残らない芸術のために
-
一輪の花に、もう夢中!
「イメージを読む―美術史入門」で、絵画の謎をやさしい文章で、非常に魅力的に説いた同著者の本を読まれた方も多いでしょう。これは、なんと、たった「一輪の薔薇・花」について書かれた本です。主に美術や詩の世界における「薔薇・花」にどのようなメッセージが含まれているのか、古今東西の「薔薇・花」を網羅しています。 目次をあげますと、薔薇の聖母/薔薇を食べた驢馬/レオナルド・ダ・ヴィンチの庭園/薔薇園にて/美しき女庭師/花の道/菊と蓮/グロテスクの系譜(笑う牛・花となった人間)/花と髑髏/刻印された《詩》/石の花/花の復権(W.モリス)/生きている花 錬金術の思想が美術に及ぼした影響、ボッティチェルリの「春」、ダ・ヴィンチ絵画における植物の象徴性、庭園の図像学、日本における花のイメージ、紋章における花のシンボリズム、いけばなの普遍性、等、どれも興味をそそる内容で、読み進むほど、あまりの楽しさに興奮してしまう書物です。 カラー図版は巻頭数ページですが、モノクロ図版が多量に含まれています。何度も何度も繰り返し読みたくなる魅力的な書物です。
-
値段は高かったがきれいだった。
初版は1984年だがこれは2003年発行の本だった。作者が紫綬褒章を受けた年のでした。