日本の文学賞

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詩文と経世―幕府儒臣の十八世紀―

日本古典文学学術賞

詩文と経世―幕府儒臣の十八世紀―

山本嘉孝

江戸時代の漢詩文と政治実践の関係を問う、近世思想史の研究書。

近世思想漢詩文政治史

作品情報

詩と政策のあいだに、幕府儒臣の十八世紀がある。

名古屋大学出版会刊「詩文と経世 幕府儒臣の十八世紀」として確認した。山本嘉孝の学術書。

書籍情報

出版社
名古屋大学出版会
発売日
2021-10-20
ページ数
440ページ
言語
日本語
サイズ
15.7 x 2.8 x 21.7 cm
ISBN-13
9784815810436
ISBN-10
4815810435
価格
6930 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/古典/日本の古典/古代・中世文学

江戸時代の漢詩文制作はどのように政治と結びつき、古来の言葉に何が託されたのか。これまで注目されてこなかった幕府儒臣に焦点を当て、漢詩・漢文書簡・建議などの多彩な表現を読み解くとともに、武家の学問論や民間の技芸論をも視野に入れて、近世日本における「文」の行方を問い直す。 【受 賞】 ・第15回「日本古典文学学術賞」 【書評等】 ・『日本思想史学』(第55号、2023年9月、評者:高山大毅氏) ・中日新聞(2023年2月10日付、夕刊 文化・芸能欄、日本古典文学学術賞受賞の紹介記事) “…… 現代でも、政治家など権力者のさまざまな不祥事が絶えない。耳の痛い正論を言う側近を遠ざけ、「空気」を読む人だけをそばに置く。それは諫言が軽視された江戸期の、主君と儒者の関係を想起させる。 江戸期の儒者の多くは、無力だったが、自分や社会にとって何が大切かを意識し、為政者とは距離を保って活動した。山本さんは「儒者らの姿勢に、今の時代だからこそ学ぶべきなのではないか」。自由な発言が禁じられた封建時代とは異なる民主主義の世に、儒者の精神が生きると信じている。”(第5面) ・『図書新聞』(2022年3月12日号、第3534号、評者:川平敏文氏) “近世の漢詩文研究に、また新しい才能が生まれた。そんな感慨をまずは記しておきたい。…… これまで文学・思想史研究において、18世紀の漢詩文といえば、伊藤仁斎に始まる古義学派、荻生徂徠に始まる徂徠学派の時代という印象が強く、鳩巣ら朱子学派の影は非常に薄かった。本書は逆にそれを中心に据える。画期的な視点の転換と言えるであろう。…… "(第5面) ・『漢字之窓』(第3巻第2号、2021年12月) 【目 次】 凡 例 序 論 近世日本における漢詩文と経世の関係 1 近世日本漢文学研究の問題点 2 近世日本における経世と儒者 3 18世紀という時代 4 本書の構成 第Ⅰ部 木門の儒臣の詩文と擬古 第1章 室鳩巣の漢文書簡 —— 不遇と諫言をめぐって はじめに 1 鳩巣の書簡 2 加賀藩主への諫言 3 鳩巣の不遇意識と藩政批判 4 史書・文集に見る唐土の古人 5 朱熹の封事からの影響 おわりに 第2章 室鳩巣の和陶詩と擬古詩 —— 模倣・虚構・寓意 はじめに 1 鳩巣「和陶詩」の制作背景 2 徂徠以前の「擬古」 3 虚構と寓意 ——「擬古五首」其一を例として 4 行役詩と閨怨詩の寓意 5 盛唐詩の位置づけ —— 古への架け橋 おわりに 第3章 室鳩巣の辺塞詩 ——「古題」詩の制作と忠臣像の形成 はじめに 1 木門における辺塞詩の題詠 2 盛唐詩の模倣と『唐詩訓解』の利用 3 『文選』所収詩と「古題」詩の寓意 4 詠史詩との関連 5 時事との関連 おわりに 第4章 新井白石・室鳩巣の中秋詩 —— 李白の模倣と主君の死 はじめに 1 中秋の月と李白・屈原 2 正徳三年の中秋の宴 3 鳩巣の五首連作 4 将軍家宣の死 5 白石の次韻詩 おわりに 第Ⅱ部 武家の言語空間と幕府儒臣 第5章 室鳩巣の建議における候文の役割 —— 人材登用政策をめぐって はじめに 1 儒者が用いた和文の文語体 2 室鳩巣『献可録』と候文 3 荻生徂徠・太宰春台との比較 おわりに 第6章 中村蘭林の詩文論 —— 奥儒者の朱子学修養と読書 はじめに 1 朱熹の読書法の遵守 2 室鳩巣の漢文学習法の継承 ——「古文辞」の重視 3 古文辞学習の汎用性 4 漢文学習法の応用 —— 文献考証と仁斎・徂徠門下批判 5 朱子学の体得 おわりに 第7章 中村蘭林と和歌v —— 学問吟味の提言と平安朝の讃仰 はじめに 1 学問吟味の構想 2 平安朝の讃仰 3 和歌の吟詠 おわりに 第8章 柴野栗山と寛政六年学問吟味 —— 朱子学と漢文作文の奨励 はじめに 1 寛政3~5年の動向と栗山の役割 2 寛政6年2月の学問吟味 3 宝暦期『栗山上書』との対比 4 朝廷の文物へのまなざし 5 上方儒者による作文の重視と室鳩巣の思慕 おわりに 第Ⅲ部 諸芸の流行と経世家 第9章 祇園南海の竹枝詞 —— 明代古文辞説の受容と「民間」の称揚 はじめに 1 竹枝詞と盛唐詩 2 土着の風俗と擬古的作詩の交響 3 俗のなかの雅 おわりに 第10章 樫田北岸の挿花論 —— 袁宏道受容における諸芸と禅 はじめに 1 明末挿花論との関連 ——「瓶史」・「瓶花譜」 2 同時代日本の挿花指南書との関連 ——『千筋の麓』・『挿花稽古百首』 3 茶人批判と禅味のすすめ 4 「社」の形成 おわりに 第11章 山本北山の技芸論 —— 経世家による古文辞説批判 はじめに 1 「小道」の重大性 2 技芸の当代性と教化 3 技術の精緻 4 擬古詩文批判における性霊説の利用 おわりに 第12章 林鶴梁の文論と作文 —— 唐宋古文と「気」による感化 はじめに 1 読者の感化 ——「陳言を去る」ことの目的 2 作文の修練 —— 暗誦と「三多の法」 3 文と生き様の連関 おわりに 結 語 朝野を結ぶ儒者 1 各部のまとめと全体の総括 2 擬古の多様な形 3 近世日本漢詩文における「朝」と「野」 4 今後の課題 註 / 参考文献 / あとがき / 初出一覧 / 索 引

山本 嘉孝(やまもと よしたか) 兵庫県に生まれる(1985年)。ハーヴァード大学学士課程卒業(比較文学専攻、2008年)、東京大学大学院総合文化研究科(比較文学比較文化コース)博士後期課程単位取得退学(2016年)。大阪大学大学院文学研究科(日本文学専門分野)講師を経て、現在は国文学研究資料館研究部准教授、総合研究大学院大学准教授、博士(学術)。 (所属等は初版第1刷発行時のものです)

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