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イヴは夜明けに微笑んで (富士見ファンタジア文庫 さ 2-1-1 黄昏色の詠使い)

ファンタジア大賞

イヴは夜明けに微笑んで (富士見ファンタジア文庫 さ 2-1-1 黄昏色の詠使い)

細音啓

物体の名前を詠うことで呼び寄せる名詠式を学ぶ少年少女を描く学園ファンタジー。夜色名詠に憧れる少女と、過去の願いを抱えた少年の出会いが、詠うことの意味と失われたものへの思いを静かに広げていく。

名詠式学園ファンタジー喪失と再生

作品情報

名を詠う力は、誰かのもとへ還りたいという切ない願いにつながっている。

物体の名前を詠うことで呼び寄せる名詠式を学ぶ少年少女を描く学園ファンタジー。夜色名詠に憧れる少女と、過去の願いを抱えた少年の出会いが、詠うことの意味と失われたものへの思いを静かに広げていく。 作品の核にある葛藤を、受賞作としての読みどころが伝わるようにまとめた。

レビュー要約

  • 読者からは、設定の明快さと登場人物の関係が読みやすいという反応がある。一方で、ジャンルの約束事を強く意識した展開は好みが分かれる。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2007-01-01
ページ数
316ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784829118801
ISBN-10
4829118806
価格
340 JPY
カテゴリ
本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル

誰かのもとへ還りたい−−切ない願いが紡ぐ、詠うファンタジー! 物体の名前を詠うことで呼び寄せる召喚術・名詠式。その専門学校に通うクルーエルは、異端の夜色名詠を専門にしている転校生・ネイトに興味を抱いていた。同じ頃、学校に伝説の名詠士・カインツが現れて−−!?

レビュー

  • イヴは夜明けに微笑んで

    とても純粋で、繊細で、故に美しい物語だと感じました。 始まりの約束。 遠い日の黄昏色は――あの日の二人だけが知っていた。 一人は未だかつて成し得たことの無い虹色の奇跡を。 一人は存在すらしなかった孤独な夜の祈りを。 かつてそこにいた彼と彼女は、それぞれの夢を交し合い、そこに再会の誓いを立てた。 しかし時は流れ――約束の時。二人が再び巡り合うことはなかった。 もはや歳月に埋もれてしまった涙の印。いつかの約束は忘れ去られたかのように思えていて――。 時は巡り、そして出会う少年と少女。 一人は赤色名詠を専攻する緋色の髪の少女、クルーエル・ソフィネット。 一人は異端の色を志す夜色の髪の少年、ネイト・イェレミーアス。 クラスの学級委員長を務める、優しくすっきりとしたお姉さん風で16歳のクルーエルと、まだ幼い風貌を持つちょっぴり頼りなげな13歳のネイトは、はたから見れば仲の良い兄弟みたいな関係。何気ない楽しみを共有し、たまにの失敗も助け合いながら、二人はゆっくりと近い時間を歩んでいく。 そして次第に見えてきたお互いの強いところ、弱いところ。普段からは覗えない強き瞳の理由、笑顔に隠された儚げな一面。 だってお互いが本当に優しいから――だからこそ、自分も強くならなきゃいけない。 一緒にいたいから――二人は決意することになる。 ――大切な人を守りたい。その美しき始まりの想いを。 いつかの約束をなぞるように――二人は詠に乗せて紡ぎだす。 だから約束の名が詠ばれる。 それこそがイヴ―夜の真精にして“始まりの女” 自分の願いを詠びよせる名詠式。その旋律に込められたのはどこまでも純粋な飾り気のない感情。 丁寧に丁寧に紡ぎだされる言葉の数々と、一つ一つ大切に奏でられる詠の意味。 ただ大切な人のために――想いを紡ぎだすキャラクター達が、本当に健気で素晴しいです。 クルーエルは夢のためになると人一倍一生懸命なネイトを、ネイトはいつも傍にいてくれる優しくて繊細なクルーエルを。二人ともホントに優しすぎて・・・心から応援したくなります。 ――朝焼けの緋色に照らされた孤独な空が、いつか夜明け色に染まるように。 それこそが――枯れ草色の記憶、燃えるような黄昏色のただ一つの願いだったのだから。 溜息が出るほど美しく、キレイな物語です。

  • 求めていたのはこういう物語だった!

    二巻以降をまだ読んでは居ないのですが、個人的には「今求めているのはこういう物語だった」とはっきり言い切れる小説でした。 一人一人のキャラの濃さ、という点では最近の多くのラノベのように、属性があるわけではありません。 ただ、その分キャラクター達が逆に生き生きとしているように感じられました。 名詠式というこの世界独特の魔法と、キャラクターのあり方、ストーリー、文章など、高いレベルでまとまっています。 購入して心から「買ってよかった」と思えました。

  • 圧倒的な傑作

    まずはじめに──今回の富士見ファンタジアの新人の中では、恐らく誰の目からみても最高と言える作品だと思います(ミステリー含む)。 名詠式と言う、自分の望んだ物を賛美して招き寄せる技術。 これが、この作品の最たる特徴であり、長所です。普段ライトノベルで見かけるような、特殊能力や魔法の一分野に入るかもしれませんが、今作では、それが圧倒的に精緻と言えるレベルまで磨き上げられています。その魔法(名詠式)に必要な触媒、技法、そしてそれが発動するシステムは、制約は。ここまできちんと組み立てられたシステムを持つ作品は、ここ数年では目にしていませんでした。 しかし、特筆すべきはその発動までの仮定。つまり呪文詠唱です。 『詠使い』の名に相応しい、珠玉と言える〈讃来歌(オラトリオ)〉。これが本当に美しい。 意味のない言葉や格好だけの言葉ではない、本当に意味ある、そして美しい旋律を以て奏でられる──それが、文中で見事に表現されてます。呪文詠唱という分野で、ラノベ界最高の一つと言って良いでしょう。 そして今作は、その名詠式をとりまく、美しくも切ない約束の物語です。 過去にかわしたとある約束が、時代を超えて甦る。 透明で繊細な世界観で、悩んだり落ち込んだりする人の生き様。そして、物語は後半、一気に加速します。 息つく暇もない山場の中で──「イヴは夜明けに微笑んで」 最後に、あなたはこのタイトルの意味を知ることになるでしょう。 この上なく繊細で華麗な幻想世界。良い意味で切なく、本当に心優しい物語。 間違いなく、自信をもってお勧め出来る作品です。

  • 透き通っていて、綺麗な物語です

    そんなにキャラの印象が強いわけではないです。 ストーリーと『名詠式』という召喚魔法の 組み合わせがとてもいい。 また、『名詠式』の呪文はすべて造語である点や、 魔法の構成をはっきりと組み立てている点、 色で『名詠式』を分類し、呼び出すものが色に対応している点には 目を見張るものがあります。 言葉も洗練されており、特になんの苦もなくサクサクと読めると思います。 また、綺麗で透き通った表現の文章と、 竹岡さんの軟らかいイラストが、 見事にマッチしています。 二巻も近日中に発売されるらしいので、 楽しみに待っています。 ただ、ラストで実力の伴わない少年の成功が 現実味を失わせています。 豪華に決めたいのは分かりますが、 もう少し大人しく終わらせてほしかったかもしれません。 なので、星四つにしました。

  • 始まりは、あの日交わした、一つの約束

    物語の主軸となる『名詠式』と呼ばれる召喚術。 赤、青、黄、緑、白――呼び出したいものと同じ色の触媒を介して、その名前を賛美し詠い、招きよせる技術。 物語はある少年と少女、カインツとイブマリーがお互いに夢を叶える約束から始まる。 彼等はそれぞれの夢のために別々の道へ歩き始める。少年は五色マスターによる虹色名詠士、少女は存在しないはずの夜色名詠士になるために。 そして時は流れ、かつての少女の意志を継ぐ少年ネイトが名詠学校で赤色名詠を学ぶクルーエルと出逢う――。 突拍子もなくこの本を手に取りました。 最初に背表紙等を見たとき、専門用語が多そうだとある程度覚悟して読み始めたのですが、想像以上に読みやすかったです。 それに加え、繊細かつ綺麗な文章、世界観、ストーリーが一つの作品として上手くまとまっています。 読んで清々しくなるほど美しく切ないファンタジーで、読み終えたときには感動とそれによる心地よさで満足のできる読了感を得ることができました。 しかし、この手の小説によくあることですが、キャラクターがどこか薄いところが欠点です。 サブキャラが誰が誰だが読んでいて分からなくなるところも良くない部分です。(クラスメート、教師等) 評価は★4と★5の間ぐらいですが、2巻以降の期待も込めて★5にしておきます。おすすめ。

  • 詠うこどもたち

    いわゆる男女の約束モノ。 約束した本人と、第二世代の二段構えにすることで、構成が少し捻ってある。 全体を通して、不可能なことや夢に対する挑戦の気概を描いている。 そのためか、小説すべてにホワホワとした浮いた空気が漂っていて(不可能であるはずのいろんなことが、アッサリ達成されるように) 夢物語のような、現実味の欠如した妙な空気が味わえる。 ファンタジーとは本来、そういうものなのだろうけど。 他の方も指摘するように、とにかく綺麗な話という一言で、この作品は纏められる。 夢を目指す子供たちの話なのに、泥臭い嫉妬や怒り、不合理な感情の発露はほとんどない。 悪役も都合上しかたなく、といった感じで、ひょっこり出てきて、すぐ消える。 美しい描写と簡潔な文章で、角の取れたストーリーが綺麗にラッピングされている。 歳を取りすぎた人間には、このピュアさを楽しむのに苦労するかもしれない。 この作品は小説というより、超絶技巧で書かれた美しい詩、そのものなのだろう。 シークエンスで見るストーリーの巧妙さでなく、作品一個をまま詩的なものだと捉えると、結構な意欲作なんじゃないかと、そう思えてくる。 良作である。

  • 後罪の触媒を讃来歌無しで?で有名な小説

    この小説は、以下が有名である クライム カタリスト オラトリオ 「まさか、後罪の触媒を<讃来歌>無しで?」 教師たちの狼狽した声が次々と上がる。 ……なんでだろう。何を驚いているんだろう。 カタリスト チャネル ただ普通に、この触媒を使って名詠門を開かせただけなのに。 よ そう言えば、何を詠ぼう。 自分の一番好きな花でいいかな。 どんな宝石より素敵な、わたしの大好きな緋色の花。 赤 ――『Keinez』―― そして、少女の口ずさんだその後に――

  • 音色が生み出す世界

    赤青黄緑白の五色を触媒として、それぞれの色に関係したものを召喚する詠名式を学ぶ学校で出会った少年と少女。少女は未だ誰も実現したことの無い五色以外の夜色による詠名式を生み出すこと、少年は五色全てをマスターし虹色の詠名式を構築することを約束してわかれる。それから十数年後、クルーエルの通う学校に、十三歳の少年ネイトが転校して来る。彼は、誰も聞いたことがない、夜色の詠名式を専門にしていた。 世代をまたぐボーイミーツガール。色と詠を媒介とする召喚という力がある世界。才能を内に秘めながらもそれを発揮できない子供たち。文章ではその美しさを描写しにくい世界観ながら、まさに王道を突き進んでいる。 今回は世界観と現役世代のより一回り前の世代のキャラクターたちの背景を語るのがメインだったので、本来の主役たちの物語は次巻から始まるのだろう。

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