鹿よ おれの兄弟よ (世界傑作絵本シリーズ)
自然と人間のつながりを、鹿をめぐる物語として描く児童文学。神沢利子の物語とG・D・パウリーシンの絵が響き合い、野生への畏敬と親しみを伝える。
作品情報
『鹿よ おれの兄弟よ』は、神沢利子による作品の核を、読者に届く物語や思考として結晶させた一作である。
自然と人間のつながりを、鹿をめぐる物語として描く児童文学。神沢利子の物語とG・D・パウリーシンの絵が響き合い、野生への畏敬と親しみを伝える。 受賞作としての文脈だけでなく、作品そのものが扱う主題に沿って読める。
レビュー要約
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詩情のある文章と力強い絵が一体となった作品として受け止められている。自然へのまなざしを子どもにも大人にも開く点が評価される。
書籍情報
- 出版社
- 福音館書店
- 発売日
- 2004-01-31
- ページ数
- 36ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 29 x 30.5 x 1 cm
- ISBN-13
- 9784834006322
- ISBN-10
- 4834006328
- 価格
- 1870 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/ロシア・東欧文学
「シベリアの森で生まれたおれは猟師だ。おれの着る服は鹿皮、おれの履く靴も鹿皮だ」「おれは鹿の肉を食う。それはおれの血、おれの肉となる。だからおれは鹿だ」。力強い詩と、はっと思わせるような東洋的な細密画によって、シベリアの神秘的な森へと、どんどん引き込まれていく。 小舟をこぐ猟師は、川をのぼって鹿猟に出かける。鴨が飛び立ち、魚が跳ねる。猟師は、牝鹿に耳を舐められていた幼い頃の甘い思い出にひたる。父さんも祖父さんもここで鹿を獲った。母さんも祖母さんも焚火を囲んで笑っていた。だがいまは、あちらとこちらの別の世で暮らしている……。うむ、来たぞ。枝を踏んで鹿が来る。息をのみ、やがて銃を放つ。ドーン。 児童文学者の神沢さんが北方民族への深い思いをこめた作品を、シベリア在住の「ロシア人民芸術家」である画家パヴリーシンさんが渾身の力で表現した。
神沢 利子(かんざわとしこ) 神沢利子(かんざわ としこ)1924年1月29日、福岡県に生まれる。北海道、樺太(サハリン)で幼少期を過ごす。文化学院文学部を卒業。詩、童謡、童話の創作に長年活躍し、巖谷小波文芸賞、路傍の石文学賞、モービル児童文化賞、日本児童文学者協会賞、産経児童出版文化賞大賞、日本童謡賞など、数々の賞を受賞している。著書は、『神沢利子コレクション(全5巻)』『ふらいぱんじいさん』(以上、あかね書房)、『ちびっこカムのぼうけん』(理論社)、『くまの子ウーフ』(ポプラ社)、『おやすみなさいまたあした』(のら書店)、『銀のほのおの国』『流れのほとり』『天の橇がゆく』『たんたんぼうや』『たまごのあかちゃん』『いいことってどんなこと』『おっとせいおんど』『おばあさんのすぷーん』『ぽとんぽとんはなんのおと』(以上、福音館書店)など多数ある。東京都在住。 G・D・パヴリーシン パヴリーシン・G・D(Pavlishin Gennadiy Dmitriyevich) 1938年8月27日、旧ソ連のハバロフスク市に生まれる。極東美術専門学校を経て、ウラジヴォストーク総合大学歴史学部で学ぶ。「ロシア人民美術家」「ハバロフスク市名誉市民」の称号をもつ。ソ連国家賞、民族友好勲章、レーニン賞、BIB金のリンゴ賞、ライプツィヒ図書博覧会金賞など、国内外で数々の賞を受賞している。画集や絵本などの作品は100点以上ある。日本での挿絵の仕事に、『勇敢なアズムーン アムール地方のむかし話』(リブロポート)、『黄金の虎リーグマ』(新読書社)がある。代表的な大作、12平方メートルのモザイク画「北方のジャングル」は、ハバロフスク市会議場の正面玄関に飾られている。ハバロフスク市在住。
レビュー
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安心できる
綺麗な商品でした。 安心して取引できます!
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純粋なレビューとはちがいます
私が個人的に絵本製作をする事になり、その参考資料にと購入したうちの一冊です。 なのでストーリー度外視で、挿絵にのみ注目して購入しました。 ストーリーは他の方のものを見たほうが参考になると思います。 挿絵、すばらしいです。その一言に尽きます。 人物の書き方が特徴的なので、少々とっつきにくいかもしれませんが、やはり特筆すべきは背景でしょう。 たまたま横で覗いていたおばあちゃんが 「あら~こんなところに行ってみたいですねぇ」 と話しかけてきたほど。 木ひとつ取っても枝の向きなど細かく描かれており、その木に生えるコケや、サルノコシカケといった寄生植物、こだわりがすばらしいです。 かわらに転がる小石を一つ一つ(多分数百から千の小石)描くなど、とにかく精密かつ執念ともいえる情熱を感じられる挿絵になっています。 ストーリー度外視!ぜひ手にとってもらいたいです!
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ほとんど唯一のツングースの生活に関する本
ツングースやブリヤートについては断片的にしか情報がはいらず、どうしようとおもっていた(イルクーツクあたりに滞在するか?でもいまはできない)ところにたまたまこれを知って、世界観がこうなのかもしれんなあとおもった。過酷な生活だけどあの人たちについて悪い評判をきいたことがないです。
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畏敬の念って、こういうことですね。
「おれ」は猟師、鹿の肉をくう。身につけるものもことごとく鹿皮を使い鹿の足の腱を糸にして縫ったもの。だから「おれ」は鹿だ、と言う。 おれの父も祖父もそうだったに違いない。だから鹿を愛し、鹿に感謝しながら鹿を殺し食べる。それが生きていくっていうことだ。 でも、淡々としたこの文章から、この「感じ」って子供には理解出来るのかな。なんとなく感じるだけでも意味はあると思うけど。 私が、一番感動したのは 「いっぽんの骨もおらずに解体する」 という一行。 おびき出し、殺した鹿の前にひざまずき毛皮をはぐのだけれど、殺した鹿への深い愛情と自分がその鹿の犠牲の上に生きている、生かされていることへの強い感謝の気持ちが、この一行から感じられる。 このあと 「ありがとう おれの友 おれの 兄弟よ」 と続きます。 殺した後も、一本の骨も折らないということは、大切にしているということですよね。 最近、殺人事件でも当然のようにバラバラにしたりしますよね。あろうことかトイレに流した人もいましたよね。 相手が人間であっても、こんな酷いことが出来る人間が増えてきた(?)残念なこの時代に 「一本の骨も折らない」という美意識が理解されると良いなあと思います。
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男が読むにふさわしい絵本であった
今、絵本にはまっているが、「男」を描いた作品である。しかも、鹿を殺し、食しながらも鹿に対する感謝と愛情を持っている「男=狩猟民族の男」が強く描かれている。 現代では失われつつある家族の思い、自然に対する思いなど、豊かさと名何かを訴えていると思えた。 また、毛の配色も素晴らしいが、温かさを持った鹿の家族・獲物を狙う蛇や虎?、見送る熊の親子のほのぼのとした情景など、ストーリーと直接関係ないようでいながら、狩猟生活の楽しさむずかしさを訴えている描写が印象的であり。楽しめた。
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繋がる命と川の流れと
樺太(サハリン)で幼少期を過ごされたという 児童文学の重鎮、神沢利子さんの作品です。 まず、絵が美しい。繊細で静謐。 背景は川と森 りりしい若い猟師と威厳のある大鹿 かわいらしい小鹿 長老の胸に抱かれる幼い日の若者 胸をはだけ、赤ちゃんに乳を含ませようとする 若者の最愛の妻 若者が身に付けている 複雑なふち飾りのついた衣装は この妻が若者の無事を祈りながら ひと針ひと針 心をこめて縫ったものなのだろう。 絵だけ見てもいろいろな思いが伝わってきます。 そして、詩のような文章は 命が皆、食べて食べられることで つながってゆくということを シンプルに伝えてくれる。 ”おれは 鹿の肉を くう それは おれの 血 あれの肉となる だから おれは 鹿だ” 2004年上半期の私のイチオシです。
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DO-NN
冒頭の台詞は気に入っていました。屁理屈っぽいけど。 彼氏好きだから、彼氏食べちゃいたい!って気分ですよね。それはわかります。 それが ドーン って、ところに納得いかなく思ってしまい。 愛する彼氏はた〜んと愛して、しかるべき方法で殺さなきゃいけないよ〜な そんな気分です。 水のパチャパシャする感じ等は前よりわかる気はしました。 (自分の現在の生活はさて棚に置き) 鹿さんの命を頂いた後の姿勢で悪い感じはしません。 でも人間側は鹿と同等に、命を危険にさらしてないし 鹿からしたら騙し打ちにあった訳だし。 遠隔ロボット操作でイラク空爆 的な連想をしてしまいます。考えたたら嫌になってきた。
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大自然の雄大さ
絵本というジャンルは、絵が鑑賞に堪えうるものでなくてはいけないというのが、 私の考えですが、これは、絵画集と呼ぶべきではと思うほど、 一枚一枚の絵が美しい一冊です。 シベリアのタイガ(針葉樹林帯)、紅葉し赤く熟すコケモモ、晩秋の底冷えする空気、 ひっそりと、しかし確かに息づく動物たち。そしてそこに寄り添う人間。 厳しいゆえに美しい大自然のもとで営まれる、食物連鎖を雄大にそして畏敬の念を込めて描いた一冊です。 選び抜かれた文章で語られる鹿への思いは、宮沢賢治の名作童話、なめとこ山の熊へと通じるものがあります。
関連する文学賞
- 小学館児童出版文化賞 第53回(2004年) ・受賞・受賞