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シートン―子どもに愛されたナチュラリスト (福音館の単行本)

小学館児童出版文化賞

シートン―子どもに愛されたナチュラリスト (福音館の単行本)

今泉吉晴

動物記で知られるアーネスト・トンプソン・シートンの生涯を、博物学者としての実像から描く伝記。動物への観察眼、自然保護への関心、子どもたちに物語を届けた姿を、豊富な図版とともにたどる。

伝記ナチュラリスト動物自然保護

作品情報

動物を見つめるまなざしから、シートンという人間の魅力が見えてくる。

『シートン 子どもに愛されたナチュラリスト』は、シートンの人物像を、動物記の作者という枠に閉じ込めず、自然を観察し伝えたナチュラリストとして描く。福音館書店から刊行された児童向け評伝である。

レビュー要約

  • 子ども向けの体裁ながら、シートン像を丁寧に見直す内容として大人にも届く。動物記への親しみを、自然観察と思想の背景へ広げてくれる。

書籍情報

出版社
福音館書店
発売日
2002-07-20
ページ数
367ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784834018530
ISBN-10
4834018539
価格
774 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学

『動物記』で知られるシートンの86年の生涯を、シートンが描いた200点の絵と、その時代を伝える写真と図版50点で紹介します。 アーネスト・トンプソン・シートンの名前は、日本では『動物記』の著者としてよく知られています。きっと、子どものころに「オオカミ王ロボ」(原題は『カランポーの王者ロボ』)を本で読んだり、映画を観た人は多いのではないでしょうか。けれど、シートンが、どういう時代に生き、どういう生き方をしたのかということは、よく知られていないようです。 シートンは自然と動物たちを愛したナチュラリストです。そして、自然と動物たちとと もにすごすことによって、たくさんの動物物語を書いた作家です。さらに、その物語に自分で挿絵を描いた画家でもあります。また、先住民のくらしに共感し、彼らの生き方に学び、ボーイスカウトの運動をはじめた人です。 シートンの多様な生き方を、著者の今泉吉晴氏は、シートンの著書と関連する古書や雑誌を収集し、それらをすべて訳し本書をまとめました。シートンの生涯を、200点の彼自身の絵と、50点の写真と図版でたどります。 オオカミの鳴き声をまねているシートンの肉声も、ホームページで紹介しています。 自分で読むなら:小学高学年から

今泉 吉晴1940年、東京に生まれる。東京農工大学獣医学科卒業、長岡市立科学博物館学芸員、国際基督教大学自然科学科助手などを経て、現在、山梨県の都留文科大学文学部社会学科教授(環境生態論、博物館学担当)。子どものころから動物、とくにモグラ、野ネズミ、リス、ムササビなどの、小哺乳類の毛並みの美しさとかわいらしさにみせられた。現在は、山梨と岩手の山林に小屋を建て、渓流をながめ、植物の手入れをして、森でくらす小哺乳類のくらしに、自分もくわわるという方法で彼らの生き方の謎を研究している。著書に『がんばれひめねずみ』(新日本出版社)、ムササビ『平凡社』、『空中モグラあらわる』(岩波書店)など、翻訳書に『文明にとらわれた動物たち』(思索社)、『シートン動物誌・十二巻』(紀伊国屋書店)などがある。

レビュー

  • 動物は自然のなかでこそ輝く

    非常によい本だ。シートンは作品だけではなく人生自体を知るべきだと教えてられた。作品も素晴らしいが、彼の人生も素晴らしい。ルビがあるので小学生にも読める。たとえば福音館書店の動物記を読み、このシートンという伝記を読む。さらに紀伊國屋書店のシートンの動物誌を読めば野生動物の理解が完結する。注意しておきたいのは有名なオオカミ王ロボの住んでいた地域の名前だ。過去のどの訳者もカランポーと訳しているがクルンパが正しいようだ。この本でもクルンパにはなっていない。同じ訳者の童心社版でクルンパに変更すると書いている。そうするべきだ。ただ童心社版にはこの本シートンの一部を使い解説に入れている。シートンの伝記としてまとめた方がいいと思う。福音館のこのシートンをさらに充実させてシートンの伝記を再度出版してもらえるといいのだが。 動物たちをペットとして見るのではなく、自然の中に置いて知ることができればもっと楽しいだろう。動物たちはペットにされるために生まれてきたわけではない。まして食べられるためだけに生まれてきたわけではない。食べるより暮らす方が楽しい。一緒に暮らすより共に自然の中で生きる方がさらに楽しい。動物たちの本当の姿が見えるのだから。だがわれわれは動物タンパク質を摂らないといけない。野生の素晴らしい姿を知った上で食べてもらえるといいのですが。 さまざまな動物たちの知性や感情を理解できるのは人間だからだ。動物園でも動物が観客に気をつかっているのがわかるが、自然の中でこそ見られる気高い姿がある。多くの子供たちに知ってもらうたい。

  • その生涯を知るのに最適

    著者は動物学者。『シートン動物記』の翻訳でも知られる。 本書は、シートンの生涯を追った伝記で、高校生以上向けくらいのレベルだろう。 幼少期から死までを時系列順に追っている。伝記であり、作品についてはあまり踏みこんでいない。シートンの生涯を時代背景とからませながら語っており、動物の絶滅、自然破壊といったものが進むなかで、その文学がいかに存在感をもっていたかが伝わってくる。 ただ、資料にしたのであろう原典をうまく咀嚼できていないと思われる箇所や、基本的な人名のミスが目立つ。 シートンを賛美しすぎな気も。

  • アメリカ文化理解のための1冊

    著者の今泉吉晴先生は“モグラ博士”として有名だ。捕獲したモグラを、何と“金網トンネル”で飼育。地下のトンネル世界を、研究室内に縦横に張り巡らされた“金網トンネル”で再現。モグラの生態を目に見える世界に引き出した。 その今泉吉晴先生が、この本では、これまで地下に隠されてきたシートンの真の姿を、地上に引き出して見せてくれている。著者は言う、「シートンは“これからの人”です」と。“これからの人”とは、つまり“先駆者”のことだ。時代に先駆ける“先駆者”は、理解を後代に待たなければならない。 では、シートンの何が先駆的だったのか? その答えを、著者は、「アメリカの開拓を、自然と野生動物と先住民の側から見るという先駆者シートン」と書いている。なるほど、これでは、シートンは“これからの人(=これから理解される人)”に決まっている。 写真や図版が豊富でじつに読みやすい。シートン自身の手になる多数のイラストも美しい。出版された2002年に、この本が何の“賞”も受けなかったのが不思議に思える。

  • シートンって、こんな人だったんだ!

    小さい時、「シートン動物記」を読んだけれど、その背景となるシートンの生き方に触れたことはありませんでした。「自然」,「子供」、「先住民の知恵」、「猟師の知恵」・・・こんなに蝕まれてしまった今の地球にとって、 こんな「ナチュラリスト」の考え方を知ることは、とても大事なのでは? あらためて,「シートン動物記」をきちんと読みたくなりました。

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