作品情報
俳句と学問が交わる場所を掘り下げる一冊。
俳句と大学研究のあいだにあるつながりを、人物史としても文学史としても読み解く評論書。
書籍情報
- 出版社
- 新潟日報メディアネット
- 発売日
- 2024-03-31
- ページ数
- 72ページ
- サイズ
- 21 x 14.8 x 0.5 cm
- ISBN-13
- 9784861328497
- ISBN-10
- 4861328497
- 価格
- 1100 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/詩歌/詩集
中田みづほ、高野素十、浜口今夜、及川仙石―。 新潟医科大学(現・新潟大学医学部)で教壇に立った4人の俳人教授たち。 高浜虚子をして「本当の俳句の道は新潟よりはじまったということになるのかもしれぬ」と言わしめた、その活躍を紹介する。 【目次】 序 章 第一章 中田みづほと俳誌『まはぎ』創刊 第二章 高野素十と新潟医科大学 第三章 花鳥諷詠の拠点 新潟医科大学
中本真人(なかもと・まさと) 新潟大学人文学部准教授。1981年奈良県北葛城郡新庄町(現葛城市)生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻後期博士課程修了。博士(文学)。専門は、日本歌謡文学、芸能論。特に宮廷の御神楽を中心とする古代中世芸能史を研究している。著書に『宮廷御神楽芸能史』(新典社、2013年)、『宮廷の御神楽─王朝びとの芸能─』(新典社新書、2016年)、『内侍所御神楽と歌謡』(武蔵野書院、2020年)、『なぜ神楽は応仁の乱を乗り越えられたのか』(新典社選書、2021年)。また俳人としては、三村純也に師事。俳句雑誌『山茶花』曈々集選者・飛天集同人。俳人協会会員。句集に『庭燎』(ふらんす堂、2011年)など。
レビュー
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新しい知見が得られた
内容の濃い充実した本でした
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新潟は、新しい型を作る役割
新潟が、俳句が盛んな所で、高浜虚子も数回おいでになっておられた事がわかり、とても誇らしい気持ちになった
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虚子と新潟医科大の関係
亡き父が新潟医科大出身です。小学校から中田瑞穂先生の息子さんと同級生だと聞いていました。今回この本を俳人協会の新聞で知り、すぐに購入しました。母や兄達と読ませていただきました。私は俳句初心者ですがとても興味深く読ませていただきました。
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ありし日の虚子と弟子たちの交流が見えてきた!新潟愛に満ちた良書!
今年は虚子の生誕150周年の年だ。畏友の岸本尚毅氏が編者を務めた『新編虚子自伝』に感銘を受けた。そして、本書に出会い、虚子が小諸に疎開していた間に、愛弟子の中田みづほが教授であった縁で新潟医科大学の附属病院に10日間入院していた折の、虚子と弟子たちの細やかな師弟関係の実態を知ることができた。戦前の学者は、詩歌を詠む人が多かったようだ。私の実家のご近所の南原繁元総長も、ドイツの政治哲学が専門であったが『形相』という歌集(岩波文庫)を残している。戦争中、出征していく学生を送る悲しみを詠んだ歌には、軍部が主導していた戦争への怒りがうかがえる。 戦前から戦後にかけて、詩歌は、ある種の教養であり、インテリのごく当然の趣味であった。俳句には門外漢の私であるが、俳句の場合は、一人ではなく、結社とか、あるいは、大学の俳人の共同体があって、そこで、日常の身分の違いを超えて、平等の立場で交流が営まれたようだ。茶道における躙口から入る茶室においては、大名も商人も同じという感覚があったという茶道の歴史を思い起こした。 本書、序章では、虚子の入院生活の模様が詳細に語られていて、弟子やその家族が師匠の虚子を随分と手厚く施療したり、看護をしたりしている様子がわかる。師弟関係が実に濃密な時代であったことに思い至る。 本書は、「ブックレット新潟大学」のシリーズの一環であるが、他の出版物のリストを見ても新潟愛に満ちた文化的営みであることがわかる。著者の中本真人氏は、日本の歌謡文学、芸能論が専門の新潟大学の人部学部の新進気鋭の准教授であり、若い頃からの俳人である。新潟医科大学の虚子に連なる高野素十、中田みづほらに憧れを抱いていたという。その、中田みづほも、医学者として東京帝大や首都の医科大学のポストの要請を断って、新潟医科大学で終生勤務したという新潟愛の人であった。句碑に残っている彼の「学問の静かに雪の降るは好き」は最近では失われたように思われる研究者の静かだが、研究への秘めた情熱を思わせる名句だ。 多忙な日々の合間に、思いがけず本書に出会い、虚子やその弟子の大学人の豊かで、あたたかい人間関係の人生の足跡に触れるという至福の時間を味わえた。 茄子三郎
関連する文学賞
- 俳句四季大賞 第23回(2024年) ・受賞
- 俳人協会評論賞 第39回(2024年) ・新人賞