日本の文学賞

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線量計と奥の細道

日本エッセイスト・クラブ賞

線量計と奥の細道

ドリアン助川

東日本大震災後、著者が線量計を携えて『奥の細道』の行程をたどった旅の記録。古典の道筋と現代の放射能汚染が重なり、土地の声を聞くエッセイになっている。

震災後奥の細道放射線

作品情報

芭蕉の道を、線量計を手に歩き直す。

幻戯書房の単行本 ISBN を採用。後に集英社文庫版も刊行。

レビュー要約

  • 旅の記録と社会的問いを結びつける姿勢が評価されている。古典を現在の現実へ引き寄せる視点に説得力がある。

書籍情報

出版社
幻戯書房
発売日
2018-06-29
ページ数
333ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784864881517
ISBN-10
4864881510
価格
900 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

3・11後の日本がどうなっているのか、目と耳と足で確かめた路上の記録。芭蕉の背を追って、逡巡しつつ、生きる、を考えるエッセイ。

1962年、東京生まれの神戸育ち。作家、朗読家。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒。日本ペンクラブ理事。長野パラリンピック大会歌『旅立ちの時』作詞者。放送作家を経て1990年「叫ぶ詩人の会」を結成。ラジオ深夜放送のパーソナリティとしても活躍。若者たちの苦悩を受け止め、放送文化基金賞を得る。同バンド解散後、2000年からニューヨークに三年間滞在し、日米混成バンドでライブを繰り広げる。帰国後は明川哲也の第二筆名も交え、本格的に執筆を開始。著書多数。小説『あん』は河瀬直美監督により映画化され、2015年カンヌ国際映画祭のオープニングフィルムとなる。また小説そのものもフランス、イギリス、ドイツ、イタリア、レバノン、ポーランドなど十二言語に翻訳され、2017年、フランスの「DOMITYS文学賞」と「読者による文庫本大賞(Le Prix des Lecteurs du Livre du Poche)」の二冠を得る。

レビュー

  • 素晴らしい名紀行文

    日本エッセイスト・クラブ賞の受賞、おめでとうございます。 私も拝読させていただき、大変、興味深く読み進められました。 実体験をリアルにそして本音で綴ってあり、自転車で旅する大変さや痛さ、危ない道路事情、多くの人々の交流や美味しい、たまに珍しい食べ物、何よりも地道に線量計を携えて計測し、現代の諸問題を提示しながらの芭蕉の道を辿った。この着眼点が素晴らしく、この先はどうなるのかワクワクしながら興味深く読めました。 そして現代日本の多くの諸問題が学びながら、疑似体験できる名紀行文だと思います。

  • 深く胸に刺さる一冊

    現代に芭蕉の足跡をなぞる紀行文として、原発事故の無念さを訴える文章として、深く胸に刺さる一冊でした。

  • 特になし

    最近、著者の本を図書館で借り、1.彼の生き方、表現に共感した。

  • 「フクシマ」の無言、伝えてもらいました。

    著者本人が書いているように、迷いながらの旅は十二分に伝わってくる。誰もが知りたい線量計の値を、芭蕉の歩いた土地土地を辿る設定で、過去と現代を行き来する紀行文は、読む者を飽きさせない。 特に、東北のローカル線事情は、実際に行ってみないとわからない。自転車とローカル線でしか行けなくなってしまった芭蕉の足跡は、悪戦苦闘の連続である。途中で知り合った人々も、共感しているからこその応援だったのではないだろうか。 「あとがきにかえて」の中で、「数え切れない被災者が、デモに訴えるわけでもなく、テロに走るわけでもなく、ただおのれの手をみながら立ち上がり、生活の再建に向けて汗を流している。」という一文を読んで、まさにその通りだと思った。 災害列島日本を自覚して、多くの方々に一読して欲しい一冊でした。

  • 日本エッセイスト・クラブ賞にふさわしい、と思う

    福島のみならず、松尾芭蕉の足跡津々浦々が内包する課題、 のみならず、旅は道連れの奥義まで 日々これ軽快とは言い切れない中年作家の自転車が 実直に、おかしく、たまになまめかしくレポートする半・膝栗毛日記。 日本エッセイスト・クラブ賞受賞、必然、と思う。 全くおすすめだ。

  • この旅人に出会ってみてください

    躊躇い悩み涙しての旅路。 現してくれて 伝えてくれて 覚悟してくれて ありがとうございます。 出逢えて良かった...。 心からの拍手を被災地より おくりつづけます。

  • 野ざらしの覚悟

    松尾芭蕉『奥の細道』の軌跡を、東日本大震災後、線量計を手にたどり直した旅の記録。 歌枕の詩情を優先して事実そのままを記録していないことが現在では明らかとされている芭蕉も、旅のさなか持病を案じて「道路にし(死)なん、是天の命なり」と覚悟して歩いていた。 著者は自転車をこぎながら旅をゆくのだが、道を間違った場合、同じ道を引き返す気力・体力が無いときは正直にそう書き、電車を利用したことを隠さない。 そう、隠さない。 本書では自身の旅について「隠さず、手の内を明かす」という手法が貫かれている。 事故の被害は、「事実を隠し、手の内を明かさない」者たちによって引き起こされ、拡大したことに思い至る。 著者が旅先で出会った人々の言葉が、どれも力強く、美しい。 ※2018年上半期「旅の本ベスト3」の1冊に本書を挙げたい。 その他の2冊は、順不同に 木村哲也『宮本常一を旅する』(河出書房新社) 金子遊『混血列島論』(フィルムアート社) いずれも現代社会の姿を鮮やかに映し出す、地道な旅の記録だ。

  • 真実のエッセイ。

    日本エッセイストクラブ受賞おめでとうございます㊗️ 多くの皆さまに手に取って読んでいただきたい一冊です。 本当にお勧めいたします。

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