日本の文学賞

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補陀落: 観音信仰への旅

伊藤整文学賞

補陀落: 観音信仰への旅

川村湊

補陀落渡海と観音信仰を手がかりに、東アジアの宗教文化を旅する評論。死と救済、女性性、シャーマニズム、キリスト教との交差をたどる。

評論観音信仰補陀落渡海宗教文化

作品情報

海の彼方の浄土をめざす信仰から、救済の想像力を読み解く。

川村湊の評論。補陀落渡海を入口に、観音信仰の広がりと変容を文学・民俗・宗教の接点から論じる。

レビュー要約

  • 宗教史を旅の感覚でたどる構成が評価される。補陀落渡海を悲劇としてだけでなく、救済をめぐる想像力として読む視点が印象に残る。

書籍情報

出版社
作品社
発売日
2003-12-01
ページ数
222ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784878935923
ISBN-10
4878935928
価格
2420 JPY
カテゴリ
本/人文・思想/宗教/仏教/仏教入門

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レビュー

  • 信仰の奥深い部分・・

    補陀落渡海は、南方(にあるとされた)浄土に向けて、海岸から渡海船に乗り二度と戻ることのない船出をする観音信仰である。信仰に根ざしたとはいえ、ひらたく言えば自殺である。補陀落渡海は鎌倉時代に行われた。その様子を、キリスト教の宣教師が目撃しており、嬉々として自殺する人々を、驚嘆を以て報告している。キリスト教迫害時における、信者の殉教にも似ている。信仰の強さが、死の恐怖を超克するという事が、教えの正しさ、普遍性を担保して拡がっていくのか。 この本では、補陀落渡海に限らず、中国や韓国の寺院や、伝承についても書かれている。 例えば、女人禁制だった時代に、女性が往生するためのプロセスとして「龍」に変化するという共通した話は、興味をそそられた。 明恵上人の華厳宗「華厳縁起」にある、韓国にある浮石寺(プソクサ)に伝わる話には、新羅の僧、義湘と善妙(僧に懸想する女)の恋愛物語がある。これはいわばハッピーエンディングをむかえる。一方、日本には、同様のプロットでありながら悲劇である話として、道成寺にある「鐘巻縁起」がある。これは安珍という僧と、清姫の恋物語で、後日談が歌舞伎『娘道成寺』で有名。どちらも女性が、蛇から龍へと変化して往生を遂げるのが似ている。 浮石寺(プソクサ)については、2012年に対馬の仏像盗難事件(未だに返却されない)で有名になったアノお寺なので、読んでて驚いた。

  • 良かった

    良かった

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