書籍情報
- 出版社
- palmbooks
- 発売日
- 2025-04-10
- ページ数
- 192ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 12.8 x 1.3 x 17.8 cm
- ISBN-13
- 9784910976044
- ISBN-10
- 4910976043
- 価格
- 2200 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
あんた、きっとうまいこといくで。 あんパンとクリームパンしか売っていないパン屋の二階で、 初子さんは今日もひとりミシンを踏む。 文學界新人賞受賞デビュー作「初子さん」 傑作「うつつ・うつら」に 単行本初収録「まっ茶小路旅行店」を加えた 著者の原点となる小説集。 子供の頃、一枚の布が人のからだを待つ洋服となるのに魅せられ、洋裁の職人となった初子さん。夢を叶えたはずなのに、かわりばえしない毎日がどうして、こんなにこたえるのだろう。ーー「初子さん」 わて、実はパリジェンヌですねん。京都の古い劇場で赤い振袖姿で漫談をするマドモアゼル鶴子。彼女をおびやかすのは沈黙の客席か、階下の映画館から聞こえてくる女の悲鳴か、言葉を覚える九官鳥か。ーー「うつつ・うつら」 路地にある社員三人の旅行代理店に勤める咲嬉子は、世界中の危険を知りながら今日も世界平和を装う。旅の果てで出会うのは蜃気楼か。すりガラスの窓の向こうに見える日常が蜃気楼なのか。ーー「まっ茶小路旅行店」 生きることのままならなさを切実に、抜群のユーモアをもって描きだし、 言葉によって世界をかたちづくり、語りと現実のあわいを問う 『じゃむパンの日』の著者の原点にして、そのすべてが詰まった小説集。
1974年京都府生まれ。京都外国語大学卒業後、北海道大学大学院博士課程中退。2004年「初子さん」で第99回文學界新人賞を受賞。2010年、外国語大学を舞台に「アンネの日記」を題材にしたスピーチコンテストをめぐる「乙女の密告」で第143回芥川賞を受賞。2017 年急性肺炎により永眠。著書に『うつつ・うつら』『乙女の密告』『WANTED!! かい人 21 面相』『じゃむパンの日』がある。
レビュー
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母 喜ぶ
小説好きの母へ
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在りし日の京都市街を舞台にしたユーモア溢れる不条理劇
作者は大学院でブレヒトの研究をしていたという。少し昔の京都市内に流れる、生温いようにも重いようにも感じる独特な空気感が充満した3作品が所収された本書は、書籍未収だった「まっ茶小路旅行店」が収められている点が売りである。 街の片隅で繰り返される日常、静かに浸透してくる不条理と狂気。「神の視点」からの淡々とした語り口に、不条理劇を見ている観客のような気分にさせられた。ただ、単なる不条理劇ではなく、ユーモアのエッセンスが絶妙に混じっているところがニクイところだ。 作家の早世が惜しまれる。