打席に立つのは-Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作
誰もが頭の中に〈電化脳〉を持つことが当たり前となった近未来。県立高校の野球部三年・桐山は打席に立つと腕がこわばるイップスに悩んでいた。ある日、同学年の女子マネージャー・中村から意識交換アプリの使用を持ちかけられる。非認証ながら、見つめ合った者同士の意識を入れ替えられるというそのアプリで、中村は「自分が桐山に代わり打席に立つ」と申し出る。かつて非凡な才能を持ちながら女子の大会出場規定でマネージャーに転じた中村と、イップスを抱えた四番打者の桐山が、互いの「身体」を通して相互理解を深めていく青春SF。
作品情報
誰もが〈電化脳〉と呼ばれるデバイスを備えたこの時代、日本では非認証のアプリを使えば意識の交換が可能になるという。
〈torikaebaya〉と名付けられた非認証アプリを軸に、高校野球と意識交換SFを融合させた青春短編。イップスに悩む四番打者と、大会出場を阻まれた女子マネージャーという対照的な二人が互いの「場所」を入れ替えることで、勝負と承認をめぐる物語を描く。応募時のタイトルは「ピンチヒッター」、出版時に「打席に立つのは」と改題。掲載誌『紙魚の手帖Vol.24』(東京創元社、2025年8月)に収録後、電子書籍として単体販売された。著者の高谷再は応募時筆名「斉藤千」から改名。第10回ジャンプホラー小説大賞金賞受賞の経歴を持ち、本作が第16回創元SF短編賞の受賞作となった。
レビュー要約
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爽やかな青春スポーツSFとして高い評価を受けている。
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選考委員の長谷敏司は「清新な作品」「よいヤングアダルトSF」と評し、男女間の人格交換を性的なものを排除して心情を追いかけた物語運びが今の時代に適合していると称えた。宮澤伊織はストーリーテリングの巧みさを評価しつつ、性描写の脱臭化に疑問を呈した。飛浩隆はジャンルSFとして斬新さは薄いと指摘しながらも、SFのコアな場所からこの作品を送り出す意義があると結論づけた。受賞作は選考委員間で賛否が分かれた部分もあったが最終的には受賞が確定した。
書籍情報
- 出版社
- 東京創元社
- 発売日
- 2025-08-08
- ページ数
- 76ページ
- 言語
- 日本語
- 価格
- 220 JPY
- カテゴリ
- Kindleストア/Kindle本/文学・評論/小説・文芸/日本の小説・文芸
誰もが頭の中に〈電化脳〉を持つ近未来。 野球部の桐生は マネージャーの中村から 驚くべき提案を受ける。 第16回創元SF短編賞受賞作。 県立高校の野球部三年の桐山は、打席に立つと腕がこわばる症状に苦しんでいた。このまま夏の予選を迎えるのか――そんな恐怖を抱えていたある日、同学年のマネージャー・中村から、入れ替わりを提案される。誰もが〈電化脳〉と呼ばれるデバイスを備えたこの時代、日本では非認証のアプリを使えば意識の交換が可能になるという。中村は選手として非凡な才能を発揮していたが、女子の大会出場を禁じる規定が変わらなかったため、マネージャーに転じたのだ。迷いつつ、まずは試してみることにした桐山だったが……。第16回創元SF短編賞受賞作。 ※本電子書籍は、『紙魚の手帖Vol.24』(東京創元社 2024年8月8日初版発行)に掲載の「打席に立つのは」のみを電子書籍化したものです。『紙魚の手帖Vol.24』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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