芸術選奨文部科学大臣賞 げいじゅつせんしょう もんぶかがくだいじんしょう
第30回(1980年)
受賞者
7名青森の鍛冶屋の家に生まれた棟方志功が、柳宗悦や民芸運動、同時代の文学者や思想家との出会いを経て、世界的な板画家へ駆け上がる生涯を描く伝記小説。郷土の風土と芸術への衝動を重ね、棟方の奔放な創造力を人間像として立ち上げる。
青森から世界へ、棟方志功の内なる鬼が板画の道を駆け抜ける。
伊藤信吉の詩集。故郷へのまなざし、上州の風土、長い文学的記憶を背景に、風と天の広がりを帯びた望郷の詩情を展開する。
故郷の風土を見返す声が、老いた詩人の時間と重なって響く。
『美と風土―名品・名匠との出会い』は、美術史家・岡田譲が工芸や名品、名匠との出会いを通じて、日本の美と土地の結びつきを綴ったエッセー集。漆工史を専門とした著者の眼で、作品の質感、作り手の技、風土に育まれた美意識を読み解く。
名品と名匠へのまなざしから、日本の美を育てた風土をたどる美術エッセー集。
『池田弥三郎著作集』は、民俗学、芸能、伝承文学、古典研究、随筆を横断する池田弥三郎の仕事をまとめた全十巻の著作集。生活の中に息づくことばや芸能を手がかりに、日本文化の深い層を読み解く。
民俗と芸能の記憶から、日本文化の奥行きをたどる著作集。
早坂暁が1979年に手がけたテレビドラマ脚本群。『修羅の旅して』は、戦後に米兵から暴行を受けた女性の告訴、渡米、帰郷を通して、家族と故郷の冷酷な視線を描く。『続・事件 海辺の家族』は、漁村の殺人事件の奥にある家族の傷を、法廷劇として掘り下げる。
戦後の傷と家族の亀裂を、帰郷劇と法廷劇の二つの形で描く。
「アンネの日記/子午線の祀り」は、滝沢修が1979年から80年にかけて示した演劇上の仕事を指す受賞対象。劇団民藝『アンネの日記』では新演出を手がけ、『子午線の祀り』では阿波民部重能を重厚に演じ、戦後新劇を代表する俳優・演出家としての力量を示した。
演出と演技の両面で、滝沢修の新劇における成熟を示した受賞対象。
森敦の芥川賞受賞作を原作に、月山山麓の雪深い寺でひと冬を過ごす青年の内面を描く映画。閉ざされた村の暮らし、文子との出会い、死と信仰の気配が、静かな映像の中で青年の変化として積み重ねられていく。
雪に閉ざされた月山の寺で、青年は生と死の境目に触れていく。