女流文学賞 じょりゅうぶんがくしょう
華岡青洲の業績の陰で、妻と母が競うように人体実験へ身を差し出す姿を描く歴史小説。医学史上の美談を、家制度と女性の情念がぶつかる濃密な葛藤として読み替える。
名医を支えた献身は、二人の女の激しい競争でもあった。
死を意識する時間の中で、記憶や身体感覚が鋭く浮かび上がる河野多惠子の短編。日常の奥に潜む不安と、説明しきれない感情の揺れを精密な文体でとらえる。
終わりに近づく時間が、かえって生の感覚を濃くしていく。