日本の文学賞

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文字渦

川端康成文学賞

文字渦

円城塔

『文字渦』は、円城塔が文字そのものを生命や制度、技術、歴史として扱う連作短編集です。秦の始皇帝の陵墓、未知の言語遊戯、プログラム、人工知能、統合漢字などをめぐり、文字の起源から未来までを奇想として展開します。

文字漢字言語遊戯SF歴史改変

作品情報

文字が生きていたら、歴史も未来もどのように書き換わるのかを問う、知的で奇想に満ちた連作です。

第43回川端康成文学賞の受賞作を含む短編集として、2018年に新潮社から刊行されました。新潮社公式、書評、Google Books、流通書誌で ISBN-13 と ISBN-10 を確認し、ASIN は ISBN-10 と同値で補完しました。

レビュー要約

  • 漢字に命が宿るという発想を、古代中国から現代的な情報環境まで広げる構想力が評価されている。抽象度は高いが、文字をめぐる挿話の奇抜さと知的な遊びが読者を引き込む。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2018-07-31
ページ数
302ページ
言語
日本語
サイズ
13.8 x 2.2 x 18.8 cm
ISBN-13
9784103311621
ISBN-10
4103311622
価格
1980 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

《文学×SF》円城塔の新たな到達点にして金字塔 ★第43回川端康成文学賞受賞! ★第39回日本SF大賞受賞! ! ★「本の雑誌」2018年度SFベスト1〈鏡明選〉 昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? ――秦の始皇帝の兵馬俑から発掘された三万の漢字「文字渦」 ――硯のうえで文字を闘わせる、いにしえの言語遊戯「闘字」 ――漢字の領土争いにルビの反乱! Unicode宇宙大戦「誤字」 ――さらには、恐ろしい大量殺字事件までもが起こり「幻字」 こんな小説、見たことない! twitterで話題騒然! 各紙誌絶賛の渦! 文字の起源から未来までを幻視する全12篇からなる連作小説集。

1972年北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベースボール」で文學界新人賞受賞。2010年『烏有此譚』で野間文芸新人賞、2011年早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、2012年『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞、2017年本作の表題作となる「文字渦」で川端康成文学賞を、2019年『文字渦』で日本SF大賞を受賞した。他の作品に『Self-Reference ENGINE』『これはペンです』『プロローグ』『エピローグ』などがある。

レビュー

  • とても良い状態でした。

    新品の様に綺麗な商品でした、帯が有ればなお良かったです。

  • 良いです

    私は好きでした こんなレビューではいけませんね ごめんなさい

  • 奇書が読みたいならこれ

    奇書ってあるじゃないですか。奇書って呼ばれていても、書かれてから数十年経ってしまえば良質なミステリとしてよめちゃったりするじゃないですか。 でもこの本はずっと奇書だと思う。 「文字」という生き物の話です。 ちなみにこれを読む前に中島敦『文字禍』を読んでおいたのですが別に読まなくても良かったです。(でも中島敦『文字禍』は面白いので、それはそうと読んで欲しい)

  • よっぽど暇な若い方は読んでもいいんじゃないかなと思わなくもない

    よっぽど暇なお年寄りは面白くなくもないと言えない事もない。

  • 面白かった。

    面白いことばがたくさんあった。 中国思想についてまとめてある感じ。リズムがよくて読みやすい。 「埋蔵経典」ということばが好き。ゲームとかで使ったらどうか。 阿弥陀如来の西方極楽浄土、大日如来の蜜厳国土、 毘盧遮那如来の蓮華蔵世界、 薬師如来の東方浄瑠璃世界、釈迦如来の無勝荘厳国。 弥勒菩薩の仏国土がいずれできる予定。

  • 文字

    SNSでおすすめしている人がいたので即購入。 おすすめした人は変態度が高いと書いていた。 紛れもなく奇書であり希書だった。 ビブリオマニア、ビブリオフィリアを気取っている全ての人を叩きのめすかのような文字への愛。ただただ文字を突き詰めた本。 この本の最奥まで読めたとは思えないが、この先の人生で間違いなく20回は読み返すことになると思う。 内容やジャンルに関して 文字としかいえない。あえて既存のジャンルで括るならフィクションやファンタジーのような娯楽作品である可能性が高い。 以前漢字全てを一文字ずつ半紙に写し漢字辞書に仕立てた人が居たが、半紙は平に重ねて数メートルになっていた。 文字への愛が行き着くと、誰もが変態になるということがわかる。 ここ数年で増えた蔵書の全てが霞む。 読み終えて 書棚にこの本がある人を無条件で愛せると思う。

  • 文字の哲学

    文字哲学という概念やジャンルがあるのか知らないのですが、本作は、”文字哲学”としか言いようの無いアイデアをさまざまな形式で転がしてみた、といった内容です。普通の意味での小説と言えそうなのは、白村江の戦いに敗北し、唐王朝の侵攻に構えて極度の緊張状況にあった日本から派遣された外交官境部石積の「新字」や、東野圭吾『名探偵の掟』にでてきそうな、推理小説をメタミステリー的にパロディ化した「幻字」くらいで、残りはジャンル分類が難しい独特の内容です。ボルヘス好きや言語SFが好きな人に向いているのではないかと思います。知的啓発が詰まっています。 題名から、アッシリア帝国の図書館を扱った中島敦「文字禍」を連想し、読みました。目次を開くと、神林長平の言語SF『言壺』を連想させる題名が並んでいました。内容も若干重複していますが、本作は、『言壺』をはるかに凌駕し、ぶっちぎりの領域に到達しているような感じです。「文字渦」は、始皇帝時代の兵馬俑の作者の話で、近年米国SF賞であるヒューゴー賞を受賞した長編『三体』の中の一遍「円」を連想させられる内容、 「金字」は、テッド・チャンの『あなたの人生の物語』所収の短編「人類科学の進化」風の、米国のマーケ・ビジネス文のパロディ。このあたりの雰囲気が好きそうな人にも向いていそうです。 本書最大の特色は、こうした、各所に散らばっている言語/文字/文章をテーマとしたアイデアを、12種類の色とりどりな形式で集約してみせたところではないかと思います。 コンピュータの文字変換、コンピュータの活用で文章として書けなくなってしまった逆字等の文字、コード表に存在しない文字の問題など、ボルヘスの時代にはほとんど想定されなかった(されてもコンピュータが一般に普及していなかったため、ポイントが理解できる読者を想定しえなかった)内容は、まさに21世紀のボルヘスという味わいがありました。漢字の深奥を扱っている点ではボルヘスを遥かに越えている感があります。ほとんど他言語に翻訳不可能なのが残念です。もしこれが翻訳できれば、フーコーがボルヘスの短編を読んで衝撃を受けて西洋の知の分類体系を相対化したような衝撃を新たに西洋に与えるようなこともあるかも知れません(ほめすぎかも)。 コンピュータの普及によって文字は書くものから打つものとなってしまい、書かれていた時代の文字は三次元として意識していたことを忘れていたことを思いださせられました(実際、書道家は、文字を三次元のものとして認識し、紙に書かれた部分は、文字の一断面だとの感触なのではないでしょうか)。 このように様々な知的啓発は受けますが、普通に小説として読むのは面白いかというと、そこはいまひとつでした。どれも24-27頁程度に収まっていて、中にはルビやアミダ・ドライブの話のように、ページ数に合わせてどうにでもなる内容がえんえんと続く箇所など、読んでいて苦痛を感じる箇所もあり(作者も、内容が重複しないようにチェックするのが大変だったのではないか、全部読まれることは想定していないのではないかと思うのですが、全部読んでしまいました)、全文熟読するというより、著者の膨大なひらめき、アイデアとエッセンスだけを味わう思考実験という感じです。 『ダヴィンチ・コード』のような暗号小説や『薔薇の名前』のような迷宮小説は、漢字圏でも成り立つように思えます。本書に啓発されて、壮大な知的大伽藍のような漢字圏版小説が多数登場して欲しいところです(既にあるのかも知れませんが)。

  • 「昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい」、がそのまま読者の感想となる様な楽しみと企みに満ちている傑作短編集

    冒頭の表題作の他、「緑字」、「闘字」、「梅枝」、「新字」、「微字」、「種字」、「誤字」、「天書」、「金字」、「幻字」及び「かな」と言う「文字」を多角的に探究した全12の短編を収録した傑作短編集。注意深く読むと、ある「文字」(表記出来ない)や登場人物の繋がりによって、連作短編集となっている点も洒落ている。また、上で、多角的に探究、と書いたが、作者が考えている時間・空間スケールが壮大かつ緻密であって、これにも圧倒された。物語を紡ぐために「文字」が存在するのではなく、「文字」自身が物語を持っているという作者らしい斬新な発想が光っており、全編に艶めかしい雰囲気が漂っている。 特に、「梅枝」の掉尾の一文、「昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい」、がそのまま読者の感想となる様な楽しみと企みに満ちている点が印象に残る。人類史ならぬ「文字」進化史という雄大な構想なのである。作者のファンなら、作者が「小説自動生成プログラム」を開発していて(「シャッフル航法」というアウトプットもある)、作品「プロローグ」ではその開発のために、記紀などの古典を研究している様子が書かれている事は周知だが、その開発努力が本作で花開いている事も感じられた。日本や中国の古典は勿論、梵語や楔形文字などについても作品背景が拡がっているのである。仏典などの写経がファイル(あるいは遺伝子)のコピー、その際の誤りが異伝(あるいは突然変異)に対応している辺りも如何にも作者らしい。<Unicode>や<IME>に言及する等の遊び心も満載である(「幻字」は「犬神家の一族」の「文字」版パロディ)。 「小説自動生成プログラム」の開発と「文字」自身の徹底的探究という両方向から文学を切り開こうとする作者の決意が窺える傑作だと思った。

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