作品情報
「ほんま私は、いかれころや」――母のことばを軸に、家の圧力と親族の思惑がぶつかる。
第50回新潮新人賞受賞作。南大阪の一族に持ち上がった縁談を、幼い奈々子の目から描く。2019年刊『いかれころ』の単行本に収録され、三島由紀夫賞も受賞した。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2019-06-27
- ページ数
- 152ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 1.7 x 19.7 cm
- ISBN-13
- 9784103526612
- ISBN-10
- 4103526610
- 価格
- 1826 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
「ほんま私は、いかれころや」河内弁で「完膚なきまでやられた」のは誰か――。南大阪のある一族に持ち上がった縁談を軸に、牧歌的な田舎の暮らし、不安定でわがままな母を甘やかす本家の祖父母、学生運動をしていた婿養子の父、精神を病んだ叔母、因襲に縛られた親戚たちの姿などを幼女の視点から鮮やかに描く。新人らしからぬ圧倒的力量を選考委員が絶賛した三島由紀夫賞受賞作にして新潮新人賞ダブル受賞のデビュー作。
レビュー
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人って所詮この程度のもんよ、という諦念
〇 南河内の一家の描写。登場するのはちょっと下品で悪意のある人々。自分の家族を書きながら、変にべたべたしておらず、憎しみもなく、適度な距離を保っている。 〇 何がこの作品に込められたメッセージなのだろう? 作者は、①一つの家のなかでも血によって人の特徴があり、それが支配していること、②狭い社会では昔からの序列がモノを言うということ、③古い世界では女はモノのように考えられているということ、を言いたかったらしい。そう言われればたしかにこれらは表現されている。しかしそれよりも、この作品に表現されているのは、「人ってこの程度のものよ」という諦めではなかろうか。 〇 語り手は大人になってから、自身が4歳の頃のことを書いているという設定なので、4歳の目を通した観察に、大人の視点で批評と説明を加えることになる。これが良い効果を上げている。
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関西の田舎の感じ。
関西の田舎の感じがよくでていました。
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とても良かったです!
登場人物たちがいる空間の、空気の匂いまで漂ってくるような文体が、とても良かったです。作品に入り込みました。 私は関東の者なので関西弁の作品を読むのは苦手です。しかし、強い方言を用いて書かれているようなので、地の文も関西のリズムで読むべきだと思い、奈良出身の友人の話し方を参考に読んでみました。(河内弁とは違うのでしょうが、致し方ありません。) 後半の、カゴが転がる箇所では感情移入して、少し涙が出てしまいました。 ラストのあたりも好きです。「私」に作者の人生を感じます。 次の作品も楽しみにしてます。
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価格ほどの値打ちはないと思います
関西弁に惹かれてインストールしましたが、 内容が暗く、思っていたのと違いました。
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関西の田舎の雰囲気がおもしろい
舞台は関西の田舎。大人になった主人公が4歳のころの親族の結納や婚約破棄の話などが語られるし、父親のことも語られる。 関西の言葉を読んでいくだけで結構気持ちいい。 同時に、1980年代だと思うけれど、まだ親族の結びつきが強く、家制度が強固な時代であることも語られる。まだ見合い結婚なんだ、とか、家を継ぐ問題とか。地方ではこうしたことが80年代でもまだあったのか、とか、そのくらいに思う話でもある。
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知識の有無で評価変わりそう
作中に散りばめられた描写、単語、時代背景などを知識として理解できるか否かで評価が分かれそう
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テーマは何だったのか知りたい
三島由紀夫賞受賞時の動画を見た事がきっかけで読みました。 昭和の大阪南部が舞台なので、河内弁、今では使われない俗語などが端々に使われています。 この地域に馴染みのない方には言葉やニュアンスがわかりづらいのではないでしょうか? 4才の女の子の視点でストーリーが進みます。 このくらいの子どもって、大人が思うよりうんと冷静に事実を見ているもので、大人のいやらしさ、狡さ、嫉妬、衝動性などが生々しく綴られています。 切ないような、苛立つような、或いはどうでも良いよめんどくさいなぁというような感情が混ざり合って沸いてきます。 そして、これって自分の幼少期にも感じた事のある感覚だと思い出し、なんとも暗い気持ちになってしまいました。 閉塞感のある家庭、社会が幼い子の世界の全てだから、当たり前にこの中で立ち回って生きるしかないんですよね。 作者のテーマが何だったのかをストーリーから受け取る事ができませんでした。私には合わなかったのかもしれません。
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買いです。
一見4歳の女の子の視点から語られているようで、実は30年ほど後の回想を幼かった自分の目を通して描いているため、物語の中では闊達に動き喋っている人の間もなくの末路であったり、その後の家族や関係性の崩壊であったりを、瞬時に差し込める諸行無常の作品になっています。また、たとえば同じ人物でありながらも「母」と「久美子」の呼び分けであったり、文の長短やたたみかけであったりの巧みさが際立っている印象を受けました。 物語を語る主人公の、これまでの来歴や日常に思いを致すのもまた一興かと。
関連する文学賞
- 三島由紀夫賞 第32回(2019年) ・受賞
- 新潮新人賞 第50回(2018年) ・受賞