新潮新人賞
しんちょうしんじんしょう
新潮社が主催する純文学の公募新人文学賞。受賞作は文芸誌『新潮』に掲載される。
- 創設年
- 1968
- 主催
- 新潮社
- カテゴリー
- 純文学
- 選考方式
- 公募
- 受賞対象
- 新人
- 開催頻度
- 年1回
- 締切時期
- 3月頃
- 発表時期
- 11月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
1968年に設立された新潮新人賞は、新潮社が主催する純文学系の公募新人賞です。現在、受賞作は文芸誌『新潮』11月号に掲載され、受賞者には特製記念ブロンズ楯と副賞50万円が授与されます。
賞品
- 主賞品
- 特製記念ブロンズ楯
- 賞金
- 500,000円
- 『新潮』11月号への掲載
関連の賞
- 文學界新人賞
- 群像新人文学賞
- すばる文学賞
- 文藝賞
- 太宰治賞
公式情報
https://www.shinchosha.co.jp/prizes/shinjinsho/過去の受賞者
広島に暮らす独り身の高齢女性・跡野が主人公。認知症を患い行方不明になった母の記憶を抱えながら、近所のウォーキングの会や大田さんの家での泊まり込みを通じて過ごす日々が描かれる。コミュニティに広まる「赤いベストを着た女」の不気味な噂を軸に、高齢者たちの集団心理と、主人公が語る真偽不明の嘘から漂う不信感が、広島弁を巧みに用いながら醸成される純文学中編。
「家にね、赤いベストの女がおるって言うんよ」——ウォーキングの会に流れる真偽不明の噂話が、不穏な空気を広島の町に漂わせる。
香港で生まれ、移民の養父母のもと日本で育った女子高生の星瑤(シンユ)は、あたしは香港人なのか、中国人なのか、日本人なのかという問いを抱えながら生きる。母国とは何か、母語とは何か、家族とは何か、親友への気持ちは愛なのか。アイデンティティの揺らぎを全身全霊で駆け抜ける18歳の鮮烈なデビュー作。
「あたしって、何、」真っ赤になった両脚をティッシュで拭きながら、涙が、言葉があふれ出して止められない。
同じ部署の三人が近頃欠勤を繰り返し、その分仕事が増える「私」はイライラが頂点に達する。ある日、三人のうちの一人、先輩女性の下村さんから三角関係の事情を知らされ、恋人を取られたのに弱っているのか開き直っているのか分からない下村さんの気ままな「ダンス」に翻弄されていく。不可視で不可侵な他者の内面と向き合いながら、職場という閉じた空間での人間関係のもつれを一人称で描いた新潮新人賞受賞作。
今日こそ彼らに往復ビンタ。もやもやはびこる職場と私を描く芥川賞候補作。
建築学科の大学院生であり、男性向けの性的サービスのアルバイトをするレンが、東京から奄美大島に移住し観光ガイドをするなかで経験した出来事を描く。指導教員との歪んだ関係、奄美の方言や島唄、英語・中国語などの異言語が入り混じった、独特の色気ある語り口が高く評価された純文学作品。タイトルは島尾敏雄のエッセイからの引用。
ぼくはへやから海へ下りてゆく。それはほんの、ぼくのへやの、玄関から345歩のところに始まっている。
高校二年の美術部員・速水圭一は、同級生の北条司の美しさに心を奪われ、肖像画を描き始める。二人の距離が近づくなか、夏休みの出来事が速水を打ち砕き、美への憧れと十代の絶望が揺れ動く。
美に惹かれた少年の肖像画が、友情と恋の境界を揺らしていく。
2052年の日本を舞台に、母語、国籍、愛と政治が揺らぐ近未来社会を描く。単行本化は確認できない。
30年後の日本から、現在を照らし返す近未来小説。
父と息子を軸に、数十年をかけて姿を変えていく家族を複数の視点から見つめる中篇小説。語り手と関係の置き方が移り変わるなかで、幸福だった時間、消えゆく命、言葉にできない別れの記憶が浮かび上がる。
幸福な親子の時間と、消えゆく命の灯火を、多視点で描く家族の肖像。
ある事件をめぐって、関係者ではない人びとまでがその裏側を確信をもって語り始める。中心人物と出会った語り手の視点から、伝聞と記憶が現実を塗り替えていく不穏な過程を描く新潮新人賞受賞作。
誰もが事件の裏側を確信をもって語り、関わったのだと洩らす者さえいた。
宮城県の農家に暮らす青年が、少年時代に受けた監禁の記憶を抱えながら、沼のように淀んだ日常を生きる小説。田園地帯の閉塞と、抑え込まれてきた暴力が噴き出す瞬間を濃密に描く。
沼の底に淀む鬱屈。炸裂する暴力。虐げられた若者たちの生の光陰。
教室での会話とネット的な軽口が、言葉の空回りと欲望の気配を露わにする。中学生の男子が、ほとんど返答しない女子に向けて過剰な言葉を投げ続けるうちに、自分の視線と独りよがりが返ってくる新潮新人賞受賞作。
未来人がオフ会に降臨!? 自分が信じるものだけが真実となる時代の炎上騒ぎをクールに描いた話題作と併録。
義父の介護に縛られた衿子と、親や同級生への憎しさを抱える緋鞠。歪んだ心を抱えた二人の女性が出会い、夏の小さな旅のなかで距離を縮めていく。
介護に縛られた女性と怒りを抱える少女、二人の巡礼が始まる。
17歳の赤猪子は、シンガポールとマレーシアを巡る旅の途中で母親のもとを離れ、友人の海辺の別荘へ身を寄せる。食べ物が体内に蓄積していく恐怖から逃れようとする彼女の逃避行を通して、食欲と身体をめぐる切実な感覚を描く。
日々の食べ物から逃れるため、少女は旅の途中で母親のもとを抜け出す。
幼馴染の腸にサナダムシ、恋人の眼にケモノといった異様な身体変化が、関係性の不穏さを剥き出しにする。リアルでありながら突き抜けた想像力で、思春期の気配をグロテスクに照らす新潮新人賞受賞作。
幼馴染の腸にサナダムシ。恋人の眼にケモノ。リアルで並外れた才能登場!
巨大工場のなかで、書類廃棄や屋上緑化などの不思議な作業に従事する人々を通して、働くことと生きることの不条理を描く。新潮新人賞と織田作之助賞を受賞した鮮烈なデビュー作。
何を作っているのかわからない、巨大な工場。敷地には謎の動物たちが棲んでいる――。
屋根屋として建築現場で働く主人公が、神様にまつわる奇妙な気配や不条理な出来事に次々と巻き込まれる。日常の作業空間に宗教性の断片が乱舞する新潮新人賞受賞作。
神様だらけの世界の奇妙さ。
光を拒み遮光カーテンの闇で暮らす兄と、舞台照明家を志す弟。対照的な二人の葛藤を通して、光と闇に隔てられた兄弟の関係を描く。
光を拒む兄と、光を仕事にしようとする弟の距離を描く物語。
岩手から上京した美貌の青年・天地遍人は、路上で詩を書く仕事を始め、文芸同人誌「破滅派」に加わる。個性の強い仲間たちとの活動にのめり込む一方、代表の恋人・深川潮への思いと、逼迫していく同人誌の運営が遍人を揺さぶる。
実在するオンライン文芸誌を舞台に、創作への熱狂と人間関係のもつれを描く成長小説。
蔓巻いづみは、なぜそこにいるのか分からないまま峠の茶屋のような場所にいる。団子を食べていると、見知らぬ老婆たちが現れ、靄の向こうにある「休める場所」へ行くよう彼女を促す。不穏で曖昧な場所で始まる短編。
靄の向こうにある場所へ、見知らぬ老婆たちがいづみを誘う。
友人から頼まれ、その自殺の一部始終をデジタルビデオで撮影した主人公は、映像を編集する。自殺をめぐる報道と映像の存在が周囲へ広がるなか、主人公は亡き友人の両親へ映像を届けるべきか悩む。
友人の自殺を記録した映像を、遺族へ届けるべきかをめぐる物語。
配りきれなかったチラシが部屋に層をなすなか、「わたし」は自分だけのメルヘンを完成させようとする。日記に書き留めることで、わずか数日間の現実さえ再現できていないことに気づき、現実と異なる空間が立ち現れていく。
積み重なるチラシと日記を通して、現実が別の空間へ変容していく。
『家畜の朝』は浅尾大輔の短編小説。第一小説集『ブルーシート』に収録されている。
第一小説集『ブルーシート』に収録された短編。
屠畜場で牛や豚の解体作業に従事する「ぼく」を主人公に、共働きの妻と幼い息子のいる生活のなかで、なぜその仕事を選び続けるのかを描く。労働の現場を具体的に見つめながら、家族と生計を支えるための選択をたどる小説。
屠畜場で働く「ぼく」が、仕事と家族の生活を結び付けて語る。
フランスから来た「スーパーノヴァ」と呼ばれる女性が、人生にとって最も大切な謎を解く鍵を探す。彼女がマンモスの牙の曲線美に世界の神秘への答えを見いだしていくなか、作家である「私」は彼女に惹かれていく。
マンモスの牙の曲線に、人生と世界の謎を解く鍵を探す女性を描く。
小口正明による短編小説。第23回新潮新人賞を受賞し、文芸誌『新潮』に掲載された。
第23回新潮新人賞を受賞した小口正明の短編小説。
沖縄を舞台に、借金を抱えた女と知恵遅れの青年の縁談を通して、家族の情と社会のまなざしを描く作品。抑えた語りの中に、切実さとあたたかさが同居する。
迷いながらも相手の家族と向き合ううちに、女は思いがけないやさしさに触れていく。
『ドッグ・デイズ』は藤枝和則による短編小説で、1990年11月号の文芸誌『新潮』に掲載された。
1990年11月号『新潮』に掲載された短編。
南カリフォルニアで暮らす女性が、13年ぶりのニューヨーク滞在を通して家族との距離を見つめる受賞作。
家族の距離と文化のずれが、静かに積み重なっていく。
新潮新人賞受賞作として発表された初期長編で、異国の地名を掲げた題名どおり、日常から少し外れた感覚をたどる。
異国の地名を掲げた題名どおり、日常から少し外れた感覚をたどる受賞作。
『魔法』は山本道子の短編小説。表題作「ベティさんの庭」とともに短編集『ベティさんの庭』に収録され、「雨の椅子」「老人の鴨」「わがままな幽霊」と並ぶ一編として読める。
短編集『ベティさんの庭』に収められた、山本道子の初期短編。
教育に熱心な母親の姿を風刺的に描いた現代小説。家庭と教育をめぐる価値観を背景に、母親の願いとその周囲に生じる緊張を見つめる。
教育に熱心な母親をめぐる家庭の空気を、風刺を交えて描く。