日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
猛スピードで母は

芥川龍之介賞

猛スピードで母は

長嶋有

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2002-02-14
ページ数
160ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163206509
ISBN-10
4163206507
価格
1 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

アクセルを踏み込んで、母は結婚を口にした。外国帰りの男に、慎は気をゆるすが。芥川賞候補作「サイドカーに犬」を含む処女作品集

レビュー

  • いろんな幸せの形があるんだろうなと

    何が良かったのか、明確に言語化できないのだが、不思議に心が明るくなる読書体験。芥川賞だけのことはあると思った。どちらの収録作も、親は、今の基準では「ちゃんとしてない」のだろうけど、そこにも愛があると確かに思える。そこにも子供の幸せはあると。

  • 子供から見た女性の大人を淡々と描く

    「サイドカーに犬」と「猛スピードで母は」の2作収納だが、どちらも子供目線から女性のたくましさが描かれる。 子供達は無意識のうちに大人達から何かを学ぶ。 子は親の背中を見て育つというがそんな言葉を感じさせる読書体験だった。

  • 親の問題に巻き込まれる子どもの心情

    浮気、別居、再婚という親の問題と、その中の親や関わる大人の心情に、10代の子どもが巻き込まれる様子を、子どもの目線でわかることとわからないことを織り交ぜながら描写した作品。表題のサイドカー、猛スピードという乗り物に、子供から見た親を擬えていると捉えた。子どもの心情描写には共感できたが、読み終わった後のすっきりしない気持ちも残った

  • 母って。

    芥川賞受賞作品 ゛猛スピードで母は゛ は、舞台が北海道 。女性が物凄く強い土地と、北海道の、大学を出た兄から聞きました。女性の喫煙率も全国一とか。今は判りませんが。 北海道のとてつもない寒さと、母親と二人暮らしの子供のお話。 人間は、子供を作ります。子供は、親を選べずに産まれます。ロシアンルーレットが始まってる…この作品中の子供は、幸せなんだろうか。母親は、猛烈に働き、自分の人生の為に恋をし、子供を突き放す様に、愛する。突き放している様でも、子供に対する母親の愛情がひしひし伝わるのは、どうしてなんだろう。男性の陰もあるのに、母親と子供は、静かに絆で結びついている。 霧の濃い朝が本土にも、たまにあります。濃霧注意報とか出ます。 なかなか幻想的叙情的風景です。しかし、運転中の方の不安たるや幾ばくか!。自分の身体が霧に包まれる感覚は、熱をだしている。恥ずかしながら、まさに、今。 …霧の中、アパートから子供の忘れ物をダイハード並の荒業で、取りに行く母。 キレても子供の為にやってくれるんだ。 めちゃくちゃな様な、親に見えるけれど、どうしてこんなに温かい気持ちになるのだろう。 母って凄い。 私も母していますが、やっぱり決断力は、凄いらしい。キレるのも早いらしい。愛情は、伝わっているらしい。 母親って、不思議だな。 妹の言葉 ゛だって。お腹で子供育てて産んじゃうんだよ!゛ 成る程。 …因みに 私の、疎遠になっている私の故郷でも、小学生時代に… ゛カブトムシ(ワーゲンです!)を一日3台見つけたら良いことあるんだよ!゛ おんなじ!

  • 売れっ子になった理由がよく分かる初期作品

    両親の離婚、北海道での生活といった設定は作家の経験に基づいているようだ。所収の両作品とも、ヒロインたちの言動にシブトイ生命力を感じさせるヤサグレ感があるが、男に従順という訳でもない彼女たちがしっかりと恋に生きている様子が感じられる。(彼女たちが恋に生きている台詞は一言もない。)そんな女性たちにとって自分の、もしくは愛人の子供とはどういう存在か。そして、彼女たちを見る子供たちの大人びた視線と諦念に似た感覚。この大人と子供の距離感に味わいがある両作品だが、なんと表題作は早稲田中学の入試問題に使われたそうだ。出題したくなる気も分かる。 所収の両作品とも子供の目線でヒロインのことを語る作品だが、余りにも幼い子供たちの語彙が豊富で物分かりの良過ぎるところが弱点だと思ったので、星は一つ削った。でも、子供目線で型にはまらないオンナの生き様を描くという骨格は今読んでも面白いし、クライマックスもビジュアル的(映画的)。まあ、売れっ子になりますわね。

  • 猛スピードに相反する、ゆったり感が広がります

    短編集2作で構成されている。 『猛スピードで母は』 『サイドカーに犬』 映画鑑賞後に読みましたが、 映画でわかりづらかったことも、全て解決。 「こんなことなら、先に本を読んでおけばよかった」と後悔。 前作は少年、後作は少女が主役。 ともに、結婚をした男女に、 不倫であったり、離婚であったりが 絡むので、湿っぽくなりそうなんですが、 作品の世界は、とてもあたたかい。 『サイドカーに犬』 洋子さんなんて、愛人なのに、 いやらしさが全くなく、むしろ愛らしくて逞しい。 両作とも、非常に読者の 想像力をかきたてる良作になっています。

  • おもしろくていっきに読みました!

    夏井いつき先生の推薦本だったので購入しました。面白くていっきに読みました!

  • リズム感と軽さ。

    読み始めると、最後まですっと読めてしまう文章の巧さを感じました。2篇収まっていますが、どちらも似た感じのする物語です。シャキッとした女性が印象に残る内容です。どちらも、その女性のある一瞬を捉えたものです。それ故にでしょうけど、想像を掻き立てられるようになっています。これも作者の狙いどおりなのでしょうけど。さすがは、芥川賞、でしょうか。

関連する文学賞