書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2007-11-16
- ページ数
- 106ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784309018355
- ISBN-10
- 4309018351
- 価格
- 1100 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第44回文藝賞受賞作! ブッダ、束縛という名の息子ラーフラ、孫のティッサ・メッテイヤ。人間ブッダから始まる三世代を描く新しい才能。「身体性を持ったボルヘス」保坂和志氏、「あらゆる意味で壮大な小説」角田光代氏、他選考委員絶賛!
レビュー
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童話のような絵本のような
ブッダとその子供のラーフラ、孫のティッサ・メッテイヤの話が流れるように続いていく。 難しいことが書いてあるというわけではなく、ブッダが妻と結婚しても木の下にぼんやりしていたり、妻の懐妊に衝撃を受けたりというような、聖書の中のキリストのようなすごい逸話ではなく、普通の人のようなブッダを書いているところがなんだか面白い。インドに入ったことがないのだが、森の中を馬で走ったりするような風景が浮かんでくるような文章で、伝記物というより童話のような絵本のような雰囲気なので、疲れていても読みやすかった。 表紙の絵が文章の雰囲気にぴったりだと思った。
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北杜夫の影響
仕事からゆっくりに乾くあえて行くのがいい。 ただし、楡家の人々よりもっと簡単です。 親と子孫のユーモラスが遊び心。 ただし磯崎は芥川賞の必要無しで仕事するだけ。 井伏鱒二の「山椒魚のような苦しい光が必要だ。
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壮大な、あまりに壮大な
稚拙とさえ感じられる朴訥とした文体が、物語の神話性に非常に良い効果をもたらしている。 ブッダからはじまる親子孫三代を描いているのだが、それぞれの人生について語っているのではない。 語られているのは事象それのみである。 むしろこの小説には主人公という存在がないのだと思う。 例えばブッダか誰かひとりを中心にして、その人生についてじっくり書くこともこの作者にはきっと出来たろう。 だが作者はそうせずに、たった100枚程度の枚数で父子孫の物語を書いてしまった。 故に語り得なかった部分が多く存在し、読者はその部分を肌で感じることになる。 まるで巨大な物体の表面を、その正体を知らずに撫でているような。 だからこそこの小説は”壮大な”物語となった。 しかしこの”壮大さ”はあくまで横に広がるだけで、奥行きを持たない。 そこがこの小説の神話的な部分と言えるだろう。 神話というのは普遍であるということ、普遍であるということは時間に束縛されないということだから。 ブッダを書いているがその宗教的な問題についてはこの作品ではいっさい触れていない。 だから登場人物は全く架空の存在でもかまわなかったのだ。 けれども作者はブッダという存在を使った。 これは非常に巧みな戦法であったと言えよう。 ブッダという人物が広く知られているために読者にイメージをされやすいこと。 なにかしらの意味合いがあるのではないかと、深読みされやすいこと。 そもそもブッダ自身が神話的であること。 物語の”壮大さ”を支えるためにはまことに最適な「素材」であった。 このあざとい戦略と抜群のセンスに、作者の実力を私は見た。 年齢から言って作者が相当小説の修行をしたのは間違いないだろう。 きっと堂々たる大家になれるだろうと、期待している。 果たして次は何をしかけているのか、今から愉しみである。
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言葉の機能
本書を巡っては、地味ながら幾つかの書評も出ているが、そこに論じられているのは、この作品そのものだけでなく、小説なるものへの完全な誤解に拠って立つ言説が目立つ。 曰く「現実と切り結んでいないが、これも小説だ」とか。 こうした読みを一掃することが必要だ。小説は、どんなものでも言葉に拠って現実と切り結ぶ。言語自体がそういう機能を備えたものなのだ。 ようはどれだけの強度と深さを持って、言葉が現実と切り結ぶかということが、作品の善し悪しを決めるのだ。 本作が、仏陀の昔を描いているため、「現代からは遠い世界のことだ」と言う程度の書評なるものに何の意味があるのか。 2007年では、これと同じ書評が乱発された。一般紙の日曜の書評欄等ほぼすべてがこれである。「俗情との結託」そのもの。 その被害者としては、評者の知るところ原武史の『滝山コミューン』が典型的だ。 本書も現在のところ、そうした境遇に貶められている。
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一体何が言いたかったのか私には不明でした
出だしは引き込まれた。ブッダの人生が描かれていると思ったから。 その割りには本が薄いのでどうなのかと思って読み始めたら、案の定、ブッダから嫁に息子に、そして孫へと主人公が変遷してゆく。 それはいいのだけど、妙に比喩のこなれてない文章であったり、またくるくるとねじれてゆく文体に引っかかりを覚えてしまい、物語りに入り込むことができない。 文中に一度だけ出てくる肝心の子供というタイトルも私には理解できなかった。
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買いです。
扱ったテーマやそこから結果する文体にそう思ってしまうのかもしれませんが、全体に喚起力の強さを感じさせる作品でした。ただし、ここからマルケスあたりの名前を持ち出してくるのは、その心情は理解できなくもないですが、すこし安直で早計のような気もします。失礼な話かもしれませんが、作者の年齢の割に文体に良い意味での「青さ」を感じたので、これから一作一作積み重ねていく過程で醸成されていくであろう作品や文体をしばらくは追っていきたい気持ちになりました。
関連する文学賞
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- 文藝賞 第44回(2007年) ・受賞