幸子の庭 (Y.A.Books)
『幸子の庭』は本多明による作品で、日本児童文学者協会新人賞で受賞に選ばれた。小峰書店から2007年に刊行された書籍で、受賞作としての位置づけと刊行形態の双方が確認できる。
作品情報
『幸子の庭』
『幸子の庭』は、日本児童文学者協会新人賞の受賞作として読まれる本多明の作品。刊行情報が確認できるため、受賞履歴から作品へたどれる書籍として扱える。
書籍情報
- 出版社
- 小峰書店
- 発売日
- 2007-09-01
- ページ数
- 250ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784338144209
- ISBN-10
- 4338144203
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/絵本・児童書/読み物/童話・文学
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レビュー
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生と死
庭の木々を巧みに描写しながら、人間の生と死の深い部分に触れていく。 まっとうな文学作品でありながら大上段に構えるわけではなく、 しかし、非常に深い表現を積み重ねていく。 表のテーマが少女が自分の心の闇を突き抜ける物語であるとするなら、 裏のテーマは女系家族のたくましさを通した「女の一生」であるように見える。 一読の価値はあると思う。
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いま、ここに在る「わたし」
荒れて疲れた心と荒れた庭がオーバーラップし、どこからほどけばいいのか わからない状態で物語が始まる。 親友が転校し、新しい6年生のクラスで完全に浮いた存在として 疎まれてしまった中上幸子は、学校へ行けない日々だ。 そんなおり、96歳になる曾祖母の久子おばあちゃんが人生最後の旅を決行する。 九州から、75年前に新婚で住んだこの260坪の土地のほとんどが庭という家に 帰ってくるのだ。 荒れ放題の庭を手入れしてくれる業者がようやく見つかったところから、 物語は輝きを放って走りだす。 この庭の仕事を請け負った造園会社の庭師が見事な手際で仕事をする。 広大な庭の剪定にたった2日。 その仕事ぶりに魅せられて、幸子の気持ちがするすると解かれてゆく。 途中、大きく章を割いて、青年庭師・田坂の来歴が語られる。 田坂がどのような思いで庭師という仕事を選びとり、なぜこの仕事にのめりこむ ようになったのか。祖父、父の職人としての気概や誇りをつぶさに見て 育った田坂はその魂を受けついだ。 田坂の生き方が描かれることで、物語のテーマはより重厚なものになり、 曾祖母・久子から幸子へと流れた時間の軌跡が、くっきりと浮かびあがる。 曽祖父が造り、祖父が手入れをし、この家の人々が代々思いを重ねてきた庭。 祖父たちから田坂が受けついだ職人の魂。出遭ったふたつの必然がえもいわれぬ ハーモニーを奏でて心地よい。 目も足も衰えた96歳の曾祖母と歩く庭に重ねられた思い出の、喜び、痛み、 悲しみを幸子はまざまざと感受する。この第四章は、人が生きるということの ある真実を語って余りある。 柊木犀、梔子、白木蓮、枇杷、白雲木、雪柳、満天星など・・・これらの木の名前の たたずまいのなんと風情のあることか。 この先幸子が紡いでゆく時が、白い花とともに、またこの庭でめぐるのだ。
関連する文学賞
- 日本児童文学者協会新人賞 第41回(2008年) ・受賞
- 新美南吉児童文学賞 第26回(2008年) ・受賞
- 長編児童文学新人賞 第5回(2006年) ・入選