日本の文学賞

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日本書紀段階編修論 文体・注記・語法からみた多様性と多層性

上代文学会賞

日本書紀段階編修論 文体・注記・語法からみた多様性と多層性

葛西太一

書籍情報

出版社
花鳥社
発売日
2021-03-03
ページ数
380ページ
言語
日本語
サイズ
21 x 14.8 x 2.5 cm
ISBN-13
9784909832320
ISBN-10
4909832327
価格
11000 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/古典/日本の古典/古代・中世文学/古典文学研究

どのように編修され成立したのか。言語表現から切り込む。 矛盾や齟齬の多い本文は、そもそも「どのように」書かれているのか。 古訓や古注釈によって「読める」ように是正されてきた従来の解釈を見直し、文体的特徴の分析により記述に即した実証的読解のための枠組を構築する。 東アジアにおける文字・漢文・文献の交流を示す史料としての価値を見出し、日本書紀が成立するまでの段階的な編修過程を明らかにする。

上智大学文学部国文学科卒業。上智大学大学院博士前期課程修了の後、株式会社サンライズを経て、上智大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。 現在は独立行政法人日本学術振興会特別研究員PD(國學院大學)。 主な著書に、『「上代のことばと文字」入門(上代文学研究法セミナー)』(分担執筆、花鳥社、2020年)、主な論文に「日本書紀β群の表現とその特質」(日本漢字能力検定協会編『漢字文化研究』第11号、2021年)などがある。

レビュー

  • 森博達の『日本書紀の謎を解く』や『日本書紀 成立の真実』などを読んで面白いと思った方には、特におススメします。

    上代国語・国文学界や古代史学界に衝撃を与えたと言われる、森博達の『日本書紀の謎を解く』や『日本書紀 成立の真実』などでの画期的な日本書紀区分論を、文体・注記・語法などの分析によって、さらに精緻化して発展させた労作的論考です(第15回 日本古典文学学術賞(2022年)と第39回 上代文学会賞(2022年)を受賞してます)。 著者は、まず「第一章 文体・句読の差異からみた日本書紀」において、「句読の示し方」(句頭辞(「乃」=「すなわち」など)、句末辞(「~也」など)、同字数句(同字数+句:四字(4つの漢字)句などを連続させているかどうか)で各巻の分析を行います(なお、当時から江戸時代までは、文に句読点を打たないので、文の始まりと終わりを示す工夫をする必要があり、書紀では、句頭辞、句末辞、同字数句によって、それが示されていることを著者は事前に把握しています)。その分析の結果、各巻は次の4つに区分されます。 甲群(巻14~21) 乙群(巻24~27) 丙群(巻1~3、5~13、22、23、28) 丁群(巻4,29,30) なお、甲群と乙群は、森説でのα群の2人の渡来中国人述作者がそれぞれ担当した巻と一致し、森説を補強している感じですが、β群と「その他」(=巻30)は、丙群と丁群に分けられていて微妙に異なります。 そして、「第二章 注記・表現の重複からみた日本書紀」と「第三章 語法・表記の揺らぎからみた日本書紀」において、さらに(森博達の分析とは重複しない)表現や語、表記全般にわたる様々な観点から個々の巻(特に丙群、丁群)の分析と一部の巻については段階的な編修の推測も行います(なお、第一章も含め、各節ごとの注は、先行研究など非常に詳細なもので、日本書紀区分論にとても興味のある私には、多くが非常にためになりました。)。 なお、第二章と第三章での、各分析の観点は、訓注など、非常に多岐にわたり簡単には説明できないので省きますが、これらの分析において私が特に面白いと思ったことを二つだけ挙げると、一つは、壬申紀(=巻28の天武紀上)に出てくる、吉野宮へと向かう大海人皇子を見て、ある人がつぶやいたという有名な「虎に翼をつけて放した」(原文は「虎着翼放之」で漢籍の典拠があるそうですが、改変されていて標準的な漢文ではないそうです)の新解釈を提示していることと、もう一つは、豊後国風土記では、景行紀(=巻7)の漢語表現を流用していて、不穏当な表現は修正しているそうで、豊後国風土記の述作者は、書記の漢語表現などに懐疑的であったのではないかと推測していることです。 学術書で高価なので、大型書店や大きな図書館(都立図書館や県立図書館など)で内容をある程度確認してから購入される方がよいかもしれませんね。

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