芸術選奨文部科学大臣賞 げいじゅつせんしょう もんぶかがくだいじんしょう
第15回(1965年)
受賞者
9名『人間の運命』は、明治・大正・昭和をまたぐ激動の時代を背景に、苦難を受け止めながら理想を失わずに生きる一人の日本人の精神史を描く大河小説である。家族、故郷、学問、社会の変化を重ね合わせ、近代日本の歩みを個人の生の内側からたどる。
近代史の大きなうねりの中で、人がどのように苦難を越え、理想を保って生きるのかを描く大河小説。
『北条秀司戯曲選集』は、北条秀司の代表的な戯曲を集成した全八巻の選集である。新派、新国劇、歌舞伎など幅広い舞台に関わった劇作家の仕事をまとめ、人物の情念と舞台上の見せ場を結びつける作風を伝える。
多様な舞台ジャンルで活躍した劇作家の代表作を集め、戦後演劇の一角を形づくった戯曲選集。
映画『香華』は、有吉佐和子の原作を木下惠介が監督・脚本で映画化した二部構成の文芸大作である。若くして後家となった母と、母の選択に翻弄される娘の長い時間を描き、親子の情、貧困、女性の生き方を重層的に見せる。
母と娘の長い歳月を通じて、愛情、虚栄、貧しさ、依存が絡み合う文芸映画。
『伊藤公』は、平田旭舟による琵琶楽演奏の受賞対象として確認できる作品である。歴史上の人物を題材にした語りと演奏を通じ、琵琶楽が持つ叙事性と劇的な緊張を舞台上に立ち上げた業績として位置づけられる。
歴史人物を題材に、琵琶楽の語りと響きで叙事的な緊張を生み出した演奏作品。
高山辰雄の《穹》は、広く張った大空を意味する題のもと、夜の田園風景のような心象を紙本彩色で描いた日本画である。月の光に浮かぶ木立と明るい一角が、写生を超えた内面の風景として静かな強さを放つ。
夜空と月光を通じて、画家だけが感じ取った世界を静かに立ち上げる日本画。
都一つやの「椀久道行・上」は、一中節・都派の語りとして受賞対象に記録されている古典芸能作品である。恋と狂乱の情趣を含む「椀久」系の題材を、節回しと言葉の運びによって聴かせる語りの芸として評価された。
一中節の語りが、恋と狂気を帯びた「椀久」の情趣を舞台に浮かび上がらせる。