日本芸術院賞 にほん げいじゅついん しょう
第33回(1977年)
受賞者
7名『女人』は、日本画家・加藤東一の作品。女性像を通じて、人物の気配、衣や姿勢の線、画面に漂う静けさを見せる日本画として評価された。
女性像の静けさに、加藤東一の線と色の感覚が宿る。
『ローマの公園』は、淀井敏夫のブロンズ彫刻。公園にいる人物の姿を思わせる構成に、柔らかな量感と詩情があり、都市空間に静かな物語性を置く作品である。
ブロンズの量感が、ローマの公園に流れる静かな時間を形にする。
『薛逢詩』は、外村蘭田による書の作品で、中国詩人・薛逢の詩を題材にしたものと考えられる。漢詩の文字列を通じて、筆線、余白、リズムが一体となる書表現を示す。
漢詩の文字が、筆線と余白の緊張の中で立ち上がる。
海音寺潮五郎の『作家としての業績』は、個別の一冊ではなく、歴史小説を中心とする長年の創作活動全体を対象にした顕彰である。史実への関心と物語の力を結びつけた仕事が評価された。
歴史小説の語りを築いた、海音寺潮五郎の長い創作活動への顕彰。
宮柊二の歌人としての歩みは、戦争体験と戦後の日常を鋭い抒情に結び、短歌を現代の生活感覚へ開いた仕事として位置づけられる。歌誌活動や後進育成も含め、昭和短歌の骨格を支えた業績である。
個人の痛みと時代の記憶を、簡潔で強い短歌の言葉に結晶させた業績。
戸板康二の演劇研究は、歌舞伎を中心に舞台芸術の記憶を批評と言葉で残した仕事である。劇評、聞き書き、随筆を通じて、俳優の芸と劇場文化を一般読者にも届く形で伝えた。
舞台の一回性を、批評の言葉で後世へ手渡した演劇研究の業績。
三世茂山千作の業績は、大蔵流狂言の芸を長年にわたり磨き、能楽界の継承と普及に尽くした点にある。舞台で培った型と笑いの呼吸が、近代以後の狂言の広がりを支えた。
狂言の型と笑いを舞台で守り、次代へ伝えた能楽界への貢献。