入れ子の水は月に轢かれ
那覇のガーブ川の上に建つ水上店舗通りに流れ着いた青年・岡本駿が、水死体の発見をきっかけに、米軍やCIAの影、琉球王の伝説が絡む事件へ巻き込まれていく長編ミステリー。沖縄の戦後史と猥雑な街の空気を背景に、家族を失った青年の居場所探しも重ねて描く。
作品情報
戦後の混沌から生まれた水上店舗通りで、死体と伝説と諜報の影がひとつにつながっていく。
アガサ・クリスティー賞受賞作。那覇の水上店舗通りという独特の舞台に、戦後沖縄の記憶、米軍の影、琉球王朝の伝承を重ねたスケールの大きなミステリーである。水死体から始まる事件は、主人公が抱える喪失感と街の歴史を巻き込みながら、土地そのものの秘密へ読者を導いていく。
レビュー要約
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沖縄の土地性と歴史を厚く取り込み、謎解きと冒険小説的な展開を楽しめるという反応がある。一方で、情報量の多さや物語の枝葉の広がりを重く感じる読者もいる。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2018-11-20
- ページ数
- 400ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.1 x 2 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784152098160
- ISBN-10
- 4152098163
- 価格
- 2710 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
第8回アガサ・クリスティー賞受賞 「まだけっして完成形ではないが、この作家はもっともっと大きくなる。そういう予感を抱かせてくれる作家と出会えたことを喜びたい」――北上次郎(選評より) 那覇・水上店舗通り――繁華な国際通りから一本入ったその場所は、猥雑なバックストリートだ。かつては湿地帯だったガーブ川を、戦後に不法占拠して生まれたワンダーゾーン。……いわば、風来坊たちの隠れ家である。水害で死んだ双子の兄の身代わりとして、偽りの人生を生きてきた孤独な青年・岡本駿。母を振り切って実家を飛び出した彼は放浪の果て、水上店舗通りに辿り着いた。高齢フリーターの川平健、そして老女傑の鶴子オバアと出会い、居場所を見つけた駿はやがて、オバアの店を譲り受け『水上ラーメン』をオープンする。しかし開店当日、最初の客が謎多き水死体として発見される。不審死を追う駿と健は、在日米軍、CIA、琉球王など、沖縄に滲む黒闇を目の当たりにする――!
レビュー
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今後が楽しみな作家のデビュー作です。
見た目はカジュアルですが沖縄史に精通した筆者による、とても骨太な作品です。ミステリー小説ですが、トリックよりも人間の強さと弱さに焦点を当てた社会派です。作品中は現代と1960年代の非常にヘビーな政治情勢とを行き来するわけですが、主人公二人の軽妙なやり取りが重さを感じさせず、サクサクとページを進めることができます。作品としての完成度を指摘する人もいますが、若いですしこれからに期待します。
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グイグイと引き込まれた
素晴らしかったので感想を書かせて頂きます 実在する那覇を舞台に、架空の人物らが活躍する 本書の冒頭、舞台となるガーブ川(実在する)を中心とした地図が冒頭にあり、その地図のページに戻りつつ本書を読み進めた。 そこには沖縄の歴史もおりまぜながら、つらい過去を背負った人々の姿が、本題となるミステリーと交差していく。本書の半分過ぎから「ああ、この人が犯人だろうなぁ」と見当がつくも、しかし、そこからグイグイと読者を引き込んで、ページをめくらせてくれる。そんな良書です。 犯人がわかって警察に逮捕されてあとも、「えっ、こんな挿話をするんだぁ」という具合に、以外な構成で読ませてくれました。第8回アガサクリスティ賞の大賞に輝いたことに納得。 本書巻末に審査員らによる選評があり、なかでも北上次郎氏が「いちばん印象的なのは、水上店舗の窓が月明かりを反射して光っているというラストで、まるで建物が生きているかのようだ」(以上引用)とありました。 まさにそのとおりで、ラストシーン数行は「静謐とした美しさを見事に描写している」と個人的感想を持ちました。 最期になりますが、オーガニックゆうきさんは第7回同賞で最終選考まで残った、と聞きます。「うないドール」というタイトルと伺いましたが、こちらの作品もぜひ書籍化されることを切に願います。 素晴らしい作品に出会えました。ありがとうございます。
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オキナワンミステリー
ドキュメンタリータッチミステリー あの頃の沖縄も味わえるドキドキ感
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那覇に行く際には、立ち寄りたいと思いました
第8回アガサ・クリスティー賞受賞作。現在の沖縄県那覇の水上店舗通りが舞台。そこはもともと戦後の闇市がおこりのようで、暗渠がそのまま商店街になっているようなところだ。それだけにやはり沖縄の歴史と結びついたミステリーです。 双子の兄を水害で亡くした過去と持つ駿は、流れ着いたこの場所で水上ラーメンを開店するが、最初のお客が水死体となり発見され、その謎をフリーターの健と追う。ただ捜査や犯人捜しという面白さよりも、沖縄の歴史がこのような街中からも思う存分に、読書で味わえることの方が楽しめます。
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クリスティのイメージで購入する読者がいることを忘れるな!
荒っぽい、ハードボイルド系ミステリーだった。 レイモンド・チャンドラー賞ならわかるが、アガサ・クリスティー賞にふさわしいとは思わない。 主催者も選考委員も考え直した方がいい。普通の文芸賞の新人賞とは違うはずだ。早川書房、何を考えているんだ! アガサ・クリスティはハードボイルドの対極にあるコージーミステリーの代名詞だ。 せっかくその名を冠したのであれば、少なくともその系統の作品を、作家を育成することを目的にするべきだ。 本書の著者を誹謗するつもりはない、クリスティのイメージで購入してしまったため、愕然となったわけだ。
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何もかも分かりにくい。1頁たりとも面白い部分がなかった。
第8回アガサ・クリスティー賞受賞作。沖縄が舞台のミステリー。何もかも分かりにくく、 7割弱読んだところで読了を断念した。たとえば、 ・商店街や暗渠、橋、川などの位置関係を示した図が分かりにくい。 ・沖縄方言を片仮名で注釈もなく使っていて意味が分からない。 ・ところどころ過去の話が挟まり、人物の相関図とかがないと混乱してしまう。 ・385頁を越える長編なのに、文章に省略が多いのか、理解できないところがある。 ・7時過ぎから行動したのに6時に着いた(79頁)とか、明らかな校正ミスがある。 ・キャラは立たせているつもりかも知れないが、いっこうに魅力が感じられなかった。 ・扱っているテーマは重厚なのに、それを解く2人がいかにも軽い。警察はどうなってるの? とにかく、先を読ませようとする魅力がなかった。その一方、資料を漁って詰め込んだ ような沖縄の蘊蓄がうざい。ただの1頁すら面白いと思える部分がなかった。2週間経っ ても読み進むことができず、結果、前の方を忘れるという負のスパイラルに陥った。 ただ、最後まで読めなかったのは悔やまれるし、全て読めば良い部分があった可能性も ある。時間が経ち、落ち着いたら再読したいと思う。その時は評価も変わるかも知れない が、それでも星の数は3を超えることはないと思う。
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飽きる
現代の沖縄で、実在の場所が舞台となっていることに興味を持ち読み始めたが、セリフでの説明が長いせいか単調で、読み進めるのがつらくなってきた。
関連する文学賞
- アガサ・クリスティー賞 第8回(2018年) ・大賞
- 沖縄書店大賞 第5回(2019年) ・準大賞