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大鞠家殺人事件

日本推理作家協会賞

大鞠家殺人事件

芦辺拓

大阪を舞台に、家族と事件の影が交差する本格ミステリ。

本格ミステリ家族戦前大阪

作品情報

大鞠家殺人事件。

東京創元社から刊行された長編ミステリで、戦前の空気を背景に展開する。

書籍情報

出版社
東京創元社
発売日
2021-10-12
ページ数
363ページ
言語
日本語
サイズ
13.7 x 2.8 x 19.5 cm
ISBN-13
9784488028510
ISBN-10
4488028519
価格
2090 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

斬りつけられた血まみれの美女、 夜ごと舞いおどる赤頭の小鬼、 酒で溺死させられた死体― 怪異、謎解き、驚愕、これぞ本格推理。 大空襲前夜の商都・船場を舞台に描き、 正統派本格推理の歴史に 新たな頁を加える傑作長編ミステリ 〝物語作家″芦辺拓はここまで凄かった! 大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場――戦下の昭和18年、婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁ぐことになった陸軍軍人の娘、中久世美禰子。だが夫は軍医として出征することになり、一癖も二癖もある大鞠家の人々のなかに彼女は単身残される。戦局が悪化の一途をたどる中、大鞠家ではある晩“流血の大惨事”が発生する。危機的状況の中、誰が、なぜ、どうやってこのような奇怪な殺人を? 正統派本格推理の歴史に新たな頁を加える傑作長編ミステリ!

レビュー

  • 商家と女たちのセオリー

    「大鞠家殺人事件」(芦辺拓 東京創元社)を読み終えました。 舞台は、大阪、船場。昭和を知る人間にとっては、或る高名なテレビ番組を真っ先に思い浮かべます。 明治三十九年、パノラマ館のエピソードが大正三年の「大鞠家」の祝言を経て、昭和十八年からの「連続殺人事件」へと繋がります。本格パズラーですから、これ以上語ることができません。語り出すと止まらなくなる内容が多く含まれているため、自戒しましょう。じっくりとお読みください。 戦中、戦後を生き抜いた「大鞠家」のクロニクル。特筆すべきは、徴兵によって男たち不在の<大阪>を生きる女たちが思いのほか悲しみをもって語られ、就中、数多あったであろう「薬問屋」の生業とそこを生きる<番頭はんと丁稚どん>たちの今では特異な世界が(ユーモアをたたえながら)丁寧に描かれ、郷愁を、切なさをもたらします。それは、サウダージと言っていいのかもしれません。 傑作パズラーだと思います。

  • 発表当時(2021年)よりも現時点(2026年)の読者の方が身近に実感できるのでは

    日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞のW受賞作。 ということで大いに期待して読んでみましたところ……あれ? 2021年度はこの内容で受賞できたの? 20世紀前半の欧米産古典本格推理小説(ヴァン・ダインやらディクスン・カーやら)っぽい事件を、昭和前半の日本産通俗探偵小説(江戸川乱歩やら横溝正史やら)っぽいシチュエーションでやってみましたというノリの一作なのであります。 奇怪な事件は頻発するものの、不可能犯罪といった興趣は乏しく……というか、「だって(犯人は探偵小説にはまった)マニアだし」で奇抜な犯行の手口を押し切ってみせる力技なんだから。登場人物は見え見えなぐらいにいかにもだし、探偵という肩書で登場するキャラクターは出番の最初から道化役でミスリードにもなっておらず、犯人もあからさまで見当がすぐつくし……。本格ミステリとしては可もなく不可もない出来でしたが、ストレートでクラシックでこてこてな探偵小説オマージュの要素が投票者の琴線に触れたのですかな。 本格ミステリ小説として読んだら拍子抜けでしたが、むしろ感嘆したのは全国的な空襲前夜の戦時下という自由のない時代相が描かれていることで、物資不足で商業も日常生活も立ち行かず、政府や世間の空気による言論の統制が厳しくて、これは発表当時(2021年)よりも現時点(2026年)の読者の方が身近に実感できるのでは。新型コロナ禍の当時よりも、現在の方がよっぽど世の中が不穏で慌ただしくなっていますからねえ……。 空襲や官憲の摘発による犠牲者が数えきれない中で、市井で起こった連続殺人事件を解決することにどんな意味があるのかと暗澹とした気分になってしまうのであります。 長らく積ん読のままになっていた本作をいまになって読んだ理由はやはり読んだばかりの『殺人喜劇のモダンシティ』と同じ平田鶴子が探偵役を務める最近作だったからでしたが……雰囲気もベクトルもぜんぜん違うよ! まあ、『殺人喜劇のモダンシティ』は戦前のまだ明るかった時代、本作は戦時中から戦後にかけてのお話でしたからね。 大人の女性になった平田鶴子の役まわりは本当に事件の謎を解くだけで、終盤になってからの出番でした。 代わって本作で主役扱いの旧姓中久世美禰子は同じシリーズの『少女探偵は帝都を駆ける』の登場人物でしたが、(戦争と結婚のために)イメージはすっかり変わってしまい、その代わりに没落した華族のお嬢様がけなげに頑張るお話といった需要を意図せずに掘り当てたという気がしないでもないような。

  • 丁寧に書かれた一品。

    芦辺氏の作品、過去に何作か読んだが趣味が合わず、しばらく避けていたが、本作はフーダニットの王道を行く作品であり、一気に読み進んだ。 1906年から太平洋戦争終結後までに大阪・船場の大鞠家という「館」の中で起きた因縁とこれにまつわる惨劇。これは?という気になる点もいくつかあるが、読後感は悪くない。横溝正史の作品を彷彿とさせる。 船場といえば、山崎豊子や花登筐の作品が有名だが、本作にも乱歩が描いた戦前の東京とは明らかに異なる、船場独特の雰囲気が漂う。 冒頭に登場するパノラマ館。寡聞にして知らなかったが、大阪や東京に実在した当時最新鋭の娯楽施設。こういうものがあったとは。 大阪が地元の作者。大阪を舞台とする他の作品にも興味が湧いた。

  • 久々の大阪作品

    (著者の脳内にしか存在しない)古き良き大阪モダンシティを舞台にした作品。 ミステリとしては・犯人が分かりやすい(フェアプレイに徹した結果かもしれません) ・後出し情報が多い・古典的探偵小説の模倣が多い など 「W受賞」に値するものかどうかは疑問ですが、楽しめる物語でした。

  • 探偵小説好きのための小説

    べたべたの船馬言葉を読んだ時脳裏に鳴り響いたのは故3代目笑福亭仁鶴の声でした。そして仁鶴師匠も出演したはった「けったいな人々」という茂木草介のドラマを思い出して、懐かしいなあと思いましたら、設定で「けったいな人々」へのオマージュが出てきて、ああやっぱり大阪商人世界というならそれやわなぁと。その上クラシックな探偵小説をご存じな方にはピンとくる、知らなくてもそのカラクリに納得する展開が最後まで心地よい小説でした。娯楽の原点に触れて満足しました。

  • 伏線回収が秀逸と思います。

    物語としても面白いと思います。 「明治殺人法廷」もポチりました。

  • 堂々の本格探偵小説

    昭和20年、大阪船場で、かつて化粧品販売で財を成した大鞠家で起きた連続殺人事件。 終戦間近の統制の厳しい市井の雰囲気が良く分かり、当時の社会の仕組みや経済の発展を支えた丁稚制度についても興味深かった。 ミステリーとしても、惨劇や不可解な事象が次々と起こり飽きさせず、最後はしっかりと伏線も回収して、その醍醐味を味わえます。

  • 本格推理の申し子

    装丁も綺麗で、満足しています。

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