作品情報
世界はうつくしいとは、長田弘の受賞歴と結びつく詩集として読まれている。
目の前の風景にひそむ消滅点を、季節の歩みに合わせて静かに見つめる詩集。日常の何気ない光景が、失われたものの記憶を抱えていることを語る。
レビュー要約
-
題材の個性と文体の手触りを評価する声があり、ジャンル性や詩的な密度をじっくり味わう作品として受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- みすず書房
- 発売日
- 2009-04-25
- ページ数
- 104ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784622074663
- ISBN-10
- 4622074664
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
『世界はうつくしいと』は、そう言っていいなら、寛ぎのときのための詩集である。寛ぎは、試みの安らぎであるとともに、「倫理的な力」ももっている。「寛ぎとはありとあらゆるヒロイズムを進んで失うこと」(ロラン・バルト)であるからだ。二十七篇の詩は、六年の日月をかけ、季節が一つめぐってくる毎に一つずつ、目の前の風景のなかにひそむ消滅点を一つずつ、じぶんの指で確かめるようにして、ゆっくり書き継がれた。――「あとがき」より この詩集に収められた詩のタイトルをいくつか拾ってみよう。「窓のある物語」「机のまえの時間」「なくてはならないもの」「世界はうつくしいと」「人生の午後のある日」「みんな、どこへいったか」「大いなる、小さなものについて」「ゆっくりと老いてゆく」「カシコイモノヨ、教えてください」「モーツァルトを聴きながら」「蔵書を整理する」「大丈夫、とスピノザは言う」「人の一日に必要なもの」「グレン・グールドの9分32秒」…… ここにあるのは深く緩やかな言葉である。性急な時期は過ぎ去った、人生の午後はゆっくりと風景や時間に向きあうことがたいせつ。だれもが感じる日々の感興が、奥行きのある知性とますます自在な詩法で書き留められた、大人のためのポエム・コレクション。
詩人。1939年福島市に生まれる。1963年早稲田大学第一文学部卒業。1971-72年北米アイオワ大学国際創作プログラム客員詩人。毎日出版文化賞(82)桑原武夫学芸賞(98)講談社出版文化賞(2000)詩歌文学館賞(09)などを受賞。 詩集『われら新鮮な旅人』(1965)『メランコリックな怪物』(73/79)『言葉殺人事件』(77)(以上、現代詩文庫、思潮社)『深呼吸の必要』(84)『食卓一期一会』(87)『世界は一冊の本』(94)(以上、晶文社)『黙されたことば』(みすず書房、97)『記憶のつくり方』(晶文社,98)『一日の終わりの詩集』(みすず書房、2000) 『長田弘詩集』(自選、ハルキ文庫、03)『死者の贈り物』(みすず書房、03)『人はかつて樹だった』(みすず書房、06)『空と樹と』(詩画集、画・日高理恵子、エクリ、07)『幸いなるかな本を読む人』(毎日新聞社、08)。 エッセー『詩は友人を数える方法』(講談社文芸文庫、93)『定本 私の二十世紀書店』(99)『アメリカの61の風景』(04)『知恵の悲しみの時代』(06)(以上、みすず書房)『読書からはじまる』(NHKライブラリー)『本を愛しなさい』(みすず書房)『読むことは旅をすること―私の20世紀読書紀行』(平凡社)など。
レビュー
-
仲間との朗読の為に購入
新しい本かと思う位綺麗な商品でした。満足しています。
-
良い本です
よいです
-
遺言のような詩集です
長田弘さんはこの詩集を出した5年後、76歳で亡くなっています。この27編の詩を、私は声に出して読みました。そうすると、ハラハラと涙が溢れました。たとえばこんな言葉に。 『人は誰も生きない、このように生きたかったというふうには。 どう生きようと、このように生きた。 誰だろうと、そうとしかいえないのだ。 机の上に、草の花を置く。その花の色に、 やがて夕暮れの色がゆっくりと重なってゆく』
-
「いい言葉」はたくさんある
確かにその言葉通りになれば、どれほど楽で幸せだろうかとは思う。 でもそんなんで幸せになるなら誰も苦労しねーっすよ(笑) ということで、ひねくれ者の自分には受け付けがたい部分も少なからずあり、内容の是非については「う〜ん…」という感じ。
-
発送の仕方が。
本の内容はよかったです。 しかし、発送の仕方が毎回疑問です。 大雨なのに、紙の包みで、中の本も何のカバーもしてありません。ギリギリ濡れてはなかったですが、とてもこころもとないです。 いつも拍子がズレて折り目が付いていたりして、せっかく新品を買ってるのにと残念な気持ちです。もう少し改善してほしいです。
-
心
世界の 見つめ方
-
タイトル通り
詩なんて全然読んでこなかったが、ふとしたキッカケで、詩があるからこそ世界はより美しく味わい深いものになることに気付いた。本作はその期待を裏切らなかった。
-
この詩集に救われた。
東日本大震災の直後、何かに導かれるように書店の棚で偶然この詩集に出会った。 あの時、僕を支えてくれたのは、大好きな音楽でも映画でもなく、この詩集だった。 あれから何人に贈っただろう。 傷ついたこころがゆっくりと癒されていく、絶望の淵に立つ者にかすかな希望を与えてくれる、とても静かで暖かい言葉たち。 未来に希望を持ちにくくい今だからこそ、すべての人に読んで欲しい。 人間は一篇の詩によって、救われることもあるのだ。
関連する文学賞
- 萩原朔太郎賞 第17回(2009年) ・候補
- 三好達治賞 第5回(2010年) ・受賞