作品情報
猫になった河童と少女が出会う、孤独と友情の物語。
福音館書店の創作童話として刊行された朽木祥のデビュー作です。親きょうだいを失った河童の八寸が猫の姿で人間の暮らしに触れ、母を亡くした少女との交流を通して、異なる世界の存在同士が互いの寂しさを受け止めていきます。
書籍情報
- 出版社
- 福音館書店
- 発売日
- 2005-10-31
- ページ数
- 272ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 20.8 x 15.3 x 1.9 cm
- ISBN-13
- 9784834021486
- ISBN-10
- 4834021483
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/絵本・児童書/読み物/童話・文学
鎌倉の人里に程近い山の中に「散在ガ池」と呼ばれるいくつかの池や沼があり、そこには河童族の生き残りが人目をさけて暮らしていた。だが次第に宅地化が進み、河童たちは暮らす場所に困りはじめていた。そんな中で人間の年齢でいうと8歳になったばかりの「八寸」と呼ばれる河童が長老の言い付けで猫に姿を変え、人間の世界に送り込まれることになった。人間をよく観察し、修行を積んで人の目から姿を隠す術を学ぶためである。 八寸はふとしたきっかけで麻という名の女の子がラブラドール犬と暮らす家で世話されることになった。母親を亡くしたばかりの麻は、猫の八寸に大いに慰められるが、ある日、猫を洗ってやると、八寸は河童の姿に戻ってしまったのだった…。 心の問題を抱える少女とかわいらしい子どもの河童との、ユーモアと感動に満ちたファンタジー。山内ふじ江の挿絵とともにお楽しみください。
朽木 祥(くつきしょう) 朽木祥1957年、広島市に生まれる。被爆二世。上智大学大学院博士前期課程終了。2002年より児童文学の創作を始める。鎌倉市在住。 山内 ふじ江(やまうちふじえ) 山内ふじ江1946年、栃木県に生まれる。東京藝術大学油絵科卒業。絵本に『かくれんぼしましょ』『ねことしっぽ』『ねてるのだあれ』『ようくんとなみ』『はしのうえで』(以上福音館書店)など、挿絵に『村は大きなパイづくり』(岩波書店)、『森のおはなし』(あかね書房)、『ブナの森のシリル』(講談社)、『クシカのぼうけん』『黒ねこのおきゃくさま』(以上福音館書店)、『冬のおはなし』(ポプラ社)、『ラクちゃん』(偕成社)などがある。神奈川県在住。
レビュー
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絶賛します。しみじみとしたいい作品!!でした。
ファンタジーですがただものではない。登場人物の心理描写がみごとで読み応えがあります。 子供にも大人にもお勧めしたい一冊でした。
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あまりにもジブリな世界観・・
ジブリアニメの原作かと思ってしまいました。 ご両親も麻もチェスタトンも その他端役にいたるまでこれまでみてきた あのソフトタッチのキャラクターそのもの。 作者のお年を拝見するに、ジブリアニメで 育った世代とも思われないから、やはり 偶然、感性の近い方なんでしょうねえ。 第一、美しい、濡れた、灰緑の、河童 ・・をアニメで表現しようとしたら かなり苦労するでしょうしねえ。 お話は大変美しいものだったので 星ひとつ落ちたのは私の既視感のためであり 作者のせいではありません。 内容は8歳〜10歳くらいの子なら十二分理解 できると思います。
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爆笑しながら号泣
誰かを想うことの切なさ、温かさ、美しさを思い出させてくれる。児童書だが、ちょっと疲れた大人にこそ必要な物語り。この一冊は、私の心の避難所になりました。光を感じさせる鉛筆画の挿絵も堪らない。
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後半は涙下でて・・感動しました。
感動の物語です。 始まりが少し長いかなと思いましたが 河童と少女の友情に涙が・・・。 おすすめする一冊です!
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風景画を読むような気がしました。
課題図書として「オン・ザ・ライン」を知りました。 そこから朽木さんの児童書に傾倒しています。 これは4冊目。子どもより先に読んでしまっています。 小学校中学年〜となっていましたが、4年生の息子には少し難しいかと思います。 でも、最近、気持ちがねじれて素直に物事が見れなくなっている彼に どうしてもどうしても読んで貰いたくて。 麻のお父さんのように手紙を書いてみようかなあと思っています。 私も麻のおかあさんみたいな人になりたかった! あんな素敵な時間を私も子ども達と持ちたかった。 今からでも遅くないかなあ。そんな気持ちになります。 息子が読んだ後で、二人で近くのトンボのいる公園に出かけてみたいと思います。 ただ一つ。表紙の絵の寂しそうな表情と題字のフォントがちょっと。 何となく子どもが手に取りにくい気がします。 でも中の挿絵はとても素敵でした。それだけに残念です。
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余韻の残る暖かいお話でした。
とても心あたたまるお話。 余韻が残りました。 穏やかな愛がただよっているような、そんなかんじ。 展開も、「どうなっちゃうんだろう?」とどんどん読み進んでしまう内容です。 子供はきっとはらはらしながら読むんだろうなと思います。 麻と八寸のやさしい交流はもちろん、 人間を取り巻く環境や気持ちの深いものが、 麻とそれ以外の人々(+河童)との交わりを通じて リアルに表現されているように感じました。 街の開発や教育現場など、ちょっと社会派的テイストが絡んでいて、 いろいろと考えさせられました。 そこに河童という架空の生き物がからんで、 堅苦しくなく、ファンタジックに仕上がって、 重層的に描かれているため、大人も楽しめる作品だと思います。 挿絵はもちろんですが、 文章からも八寸がとてもキュートに思い浮かびました。
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大人のファンタジー
この本は児童書のコーナーではなく、大人の文芸書のコーナーに置いてもよい本です。大人のファンタジーです。 読者のイメージを膨らませる緻密な情景描写は、挿絵を必要としないほどです。頭の中に、まるでジブリの映画のようなファンタジーの世界が広がっていきます。八寸という河童の愛らしさと、麻という女の子のまっすぐさにに惹かれ、麻のお父さんや亡くなったお母さんの愛情に胸を打たれます。「外に見えているものや聞こえているものだけに囚われないで、内側にある大切なものを感じ取ってほしい」というメッセージ、美しさを感じる心、家族の愛、いじめに立ち向かう勇気・・・人間として大切な心を思い出させてくれる一冊です。
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美しい言葉で通いあった母娘の心に、もっと触れてみたい
麻は小学校4年生の冬にお母さんを病気でなくし、 今(半年後、小学校5年生)はお父さんと犬のチェスタトンと 暮らしています。 ある日かっぱ(人間の年に換算すると8歳、実年齢は81歳)の八寸と出会い、 八寸の地雷(正体)に触れながら物語は進んでいきます。 物語の本当の主人公はかっぱの八寸なのですが、 私は麻と麻の亡き母との思い出に 惹かれて読みました。 母は、幼い麻に 「かはたれ」を 「おぼろげな朝刻のことを言うのよ。」 「いろんな魔法がいちばん美しくなって解ける、はかない時間ね。 誰だか、わからなかった彼の人がぼんやりと浮かび上がって、 今まで見えなかったものが見えてくる」 と、説明したり、 二人で「きれいなものをいっぱい書こうね。」 とノートの見返しにキーツの詩 「Heard melodies are sweet, but those unheard are sweeter.」を記して、 聞こえない音を書こうと提案します。 目に映るものや聞こえているものだけにとらわれないで、 内側にある大切なものを麻に感じ取ってほしいと願ったのでしょう。 やがて麻は小学校2年生にして、母のいう「目にみえないもの」や 「耳に聞こえない音楽」の意味が分かるようになり、 「赤毛ゲラにつつかれた木の声」、 「おいのりはおんがくとおなじ」などと記していきます。 二人の周辺には特別な力がこめられているような気がしますが、 一方で、美しい言葉で通いあった二つの心に、 もっと触れてみたいという思いに駆られました。
関連する文学賞
- 児童文芸新人賞 第35回(2006年) ・受賞
- 日本児童文学者協会新人賞 第39回(2006年) ・受賞