日本の文学賞

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毎日出版文化賞 まいにちしゅっぱんぶんかしょう

第73回(2019年)

文学・芸術部門人文・社会部門自然科学部門企画部門特別賞

受賞者

5名
川上未映子 かわかみ みえこ 受賞

大阪で生まれ育った夏子は、パートナーを持たずに妊娠・出産することを考え始める。精子提供で生まれ、父を知らない逢沢潤との出会いを通じて、産むこと、生まれること、身体をめぐる自己決定の非対称が、切実な対話として浮かび上がる。

生命を選ぶことと選ばれずに生まれることの隔たりを、笑いと痛みを交えて問う長編。

545ページ
生殖身体母性自己決定大阪
関根清三 せきね せいぞう 受賞

聖書学者・関根清三が、内村鑑三の聖書読解と現実への応答をたどる評伝的研究。日清戦争や関東大震災といった危機の時代に、内村が聖書をどのように読み、戦争論や震災論をどう変化させたのかを検討する。

近代日本のキリスト者が危機の時代に聖書をどう読んだのかを問う研究。

384ページ
内村鑑三聖書読解キリスト教戦争論震災論
國分功一郎 こくぶん こういちろう 企画賞

國分功一郎が、能動でも受動でもない古い文法カテゴリー「中動態」から、意志と責任の概念を問い直す哲学書。バンヴェニスト、古典ギリシア語、アレントらの議論を経由し、近代的な能動・受動の対立が思考をどう規定しているかを掘り下げる。

能動か受動かという二分法を外し、意志と責任を考え直す哲学の試み。

330ページ
中動態意志責任言語哲学
ブレイディみかこ ぶれいでぃ みかこ 特別賞

英国の公立中学に通う息子と、パンクな母である著者が、格差、人種、ジェンダー、アイデンティティをめぐる日々の出来事に向き合うノンフィクション。教室や家庭の小さな事件を通して、子どもたちが大人の固定観念を越えていく姿を描く。

世界の縮図のような中学校で、子どもたちは多様性をきれいごとではなく日々の実感として学んでいく。

256ページ
英国の中学校格差と多様性人種とアイデンティティ親子の対話社会を学ぶ日常
池内了 いけうち りょう 特別賞

宇宙物理学者の池内了が、科学者と軍事研究の関係を歴史・制度・倫理の面から検証する評論。第一次世界大戦以降の科学者の戦争協力、日本の安全保障技術研究推進制度、デュアルユース論を踏まえ、科学者が社会に負う責任を問い直す。

軍事研究をめぐる便利な弁明を一つずつ解きほぐし、科学者の専門職倫理を問い直す警世の書。

264ページ
科学者倫理軍事研究デュアルユース日本学術会議戦争と科学