毎日出版文化賞 まいにちしゅっぱんぶんかしょう
第73回(2019年)
受賞者
5名大阪で生まれ育った夏子は、パートナーを持たずに妊娠・出産することを考え始める。精子提供で生まれ、父を知らない逢沢潤との出会いを通じて、産むこと、生まれること、身体をめぐる自己決定の非対称が、切実な対話として浮かび上がる。
生命を選ぶことと選ばれずに生まれることの隔たりを、笑いと痛みを交えて問う長編。
聖書学者・関根清三が、内村鑑三の聖書読解と現実への応答をたどる評伝的研究。日清戦争や関東大震災といった危機の時代に、内村が聖書をどのように読み、戦争論や震災論をどう変化させたのかを検討する。
近代日本のキリスト者が危機の時代に聖書をどう読んだのかを問う研究。
國分功一郎が、能動でも受動でもない古い文法カテゴリー「中動態」から、意志と責任の概念を問い直す哲学書。バンヴェニスト、古典ギリシア語、アレントらの議論を経由し、近代的な能動・受動の対立が思考をどう規定しているかを掘り下げる。
能動か受動かという二分法を外し、意志と責任を考え直す哲学の試み。
英国の公立中学に通う息子と、パンクな母である著者が、格差、人種、ジェンダー、アイデンティティをめぐる日々の出来事に向き合うノンフィクション。教室や家庭の小さな事件を通して、子どもたちが大人の固定観念を越えていく姿を描く。
世界の縮図のような中学校で、子どもたちは多様性をきれいごとではなく日々の実感として学んでいく。
宇宙物理学者の池内了が、科学者と軍事研究の関係を歴史・制度・倫理の面から検証する評論。第一次世界大戦以降の科学者の戦争協力、日本の安全保障技術研究推進制度、デュアルユース論を踏まえ、科学者が社会に負う責任を問い直す。
軍事研究をめぐる便利な弁明を一つずつ解きほぐし、科学者の専門職倫理を問い直す警世の書。