遠雷
立松 和平
宇都宮郊外で、団地に囲まれながらわずかに残った土地にしがみつき、トマトのハウス栽培を続ける青年・満夫を描く長編小説。高度成長後の都市化、農地と家族の変質、性と金をめぐるむき出しの欲望が、遠く鳴る雷のように生活へ迫ってくる。
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立松 和平
宇都宮郊外で、団地に囲まれながらわずかに残った土地にしがみつき、トマトのハウス栽培を続ける青年・満夫を描く長編小説。高度成長後の都市化、農地と家族の変質、性と金をめぐるむき出しの欲望が、遠く鳴る雷のように生活へ迫ってくる。
小木 新造
『東亰時代 江戸と東京の間で』は、小木新造による都市社会史。江戸から近代国家の首都・東京へ一気に移ったのではなく、その間にあった明治前半期の過渡的な都市生活を、庶民の暮らしと江戸文化の残響から描く。
小松 恒夫
『週刊朝日』編集長を務めた著者が、過労で倒れたのち畑づくりに向かい、土と人との関係を見つめ直すエッセイ。農に生きる人々との出会い、小鳥や雑草との格闘、カンピョウ作り、子どもたちとの対話を通して、都市生活で薄れていた自然の確かさを静かに描く。
伊沢由美子, 今井弓子
『ひろしの歌がきこえる』は、伊沢由美子による児童文学。孤独やかげを背負った子どもたちが、傷つきながらも他者と出会い、自分を世界につなぎとめようとする姿を描く。
松谷 みよ子, 司 修
『私のアンネ=フランク』は、13歳のゆう子が『アンネの日記』を受け取ったことをきっかけに、アンネへ宛てた日記を書き始める児童文学。ゆう子の日常と、母が抱える戦争とアウシュビッツへの思いが交差し、自由と尊厳を奪うものへの問いを家族の言葉から浮かび上がらせる。
河野 貴子, 宮田 武彦
『机の中のひみつ』は、河野貴子による児童文学作品。子どもの身近な場所である机の中に隠された秘密をきっかけに、日常の中でふくらむ好奇心や不安、友だちや家族との関係を描く。
堀晃
『太陽風交点』は、表題作を含む堀晃のハードSF短編集。宇宙空間、太陽ヨット、未知の遺跡、情報や熱力学への関心を背景に、人間の認識を越える現象と向き合う探査者たちを描く。理系的な発想を物語の緊張へ変換した、日本SF初期の重要作として読まれている。
早川一光
『わらじ医者京日記 ボケを看つめて』は、京都・堀川病院の医師である早川一光が、地域医療と老いの現場を綴ったエッセイ。往診と診療の中で出会う高齢者や家族の姿を、生活に根ざした言葉で描く。
重兼芳子
火葬場で遺体を焼く仕事に携わる男性を中心に、死を日常の労働として見つめる人間の孤独と献身を描く短編小説である。老人専門病院で働く女性との関係を通して、死者を送る仕事の重さ、愛情、職業へのためらいが静かに浮かび上がる。
谷口 幸男
中世北欧文学を代表するアイスランド・サガから、英雄、血族の復讐、魔法、移住と開拓を描く主要六篇を訳出した大部の翻訳書。ヴァイキング時代の社会、信仰、法、名誉の感覚を、史伝的な散文の力で伝える。
青野聡
青野聰の芥川賞受賞作。外国人の妻とともに日本へ戻る男を中心に、自由であることへの疲れ、結婚生活のずれ、故郷や生活へ戻ろうとする違和感を描く。海外を経た主体が日本社会に再び触れるときの屈折を、私小説的な語りと時代の空気の中に置いた作品である。