芸術選奨文部科学大臣賞 げいじゅつせんしょう もんぶかがくだいじんしょう
第40回(1990年)
受賞者
20名都市の風景と歴史の痕跡を重ね、首塚という重い記憶の上に浮かぶアドバルーンを象徴的に配した小説です。後藤明生らしいずれの感覚と語りの運動が、現代の場所に潜む不穏さを引き出します。
空に浮かぶ広告の軽さと、地中に残る記憶の重さが交差します。
徳川六代将軍家宣の側近として幕政改革に関わった新井白石の生涯を描く長編歴史小説。清貧と病を抱えながらも、学問を現実政治へ生かそうとする白石の志と挫折を、藤沢周平らしい静かな筆致で追う。
市井から幕政の中枢へ進んだ学者の、理想と孤独を描く歴史長編。
大岡信が菅原道真の漢詩と生涯を読み解き、日本文化における「うつし」の美学を考察する評論。道真を怨霊や天神信仰の人物としてだけでなく、平安朝を代表する詩人として捉え直す。
道真の詩から、古代日本が外来文化を受け止め変容させた力を探る評論。
国語学者の大野晋と作家の丸谷才一が『源氏物語』をめぐって語り合う対談評論。物語の筋、人物関係、恋愛、言葉の働きを自在に読み、古典を現代の読者に近づける。
国語学者と小説家が、源氏物語を読み解きながら古典の面白さを開いていく。
『源氏物語』を現代の読者へ開くため、古典文学と言語の観点から作品世界を読み解く評論・対談的な仕事です。物語の華やかさだけでなく、言葉の働きや人間関係の機微に光を当てています。
古典の言葉をたどることで、『源氏物語』の人物と時間が現代に近づきます。
勅使河原宏監督の映画『利休』は、千利休と豊臣秀吉の緊張関係を軸に、美意識と権力の衝突を描く歴史映画。茶の湯の空間、花、器、所作を映像の中心に据え、芸術家としての利休像を前面に出している。
茶の美意識と天下人の権力がぶつかる場に、利休の孤高を描く映画。
三代目市川猿之助の『リュウオー〈龍王〉』と『黒塚』に対する受賞。前者は企画・演出の意欲、後者は古典歌舞伎の身体表現を現代の観客に届かせる演技が評価された舞台成果である。
古典と新作的企画を往還し、猿之助歌舞伎の革新性を示した舞台成果。
木村光一の演出活動に対する受賞で、『夢・桃中軒牛右衛門の』『この子たちの夏』『砂の上のダンス』など複数の舞台成果が対象。社会と個人の記憶を扱う現代演劇を、俳優の存在感と劇空間の緊張で立ち上げた仕事である。
社会の記憶と個人の声を、現代演劇の舞台空間に刻んだ演出成果。
堅田喜三久による『祝言式三番叟』『京鹿子娘道成寺』などの囃子方としての成果。歌舞伎舞踊の祝祭性と情念を支える打楽器の技量が、舞台全体の品格と躍動を形づくった。
歌舞伎舞踊の身体を支える囃子が、祝祭と情念を鮮やかに響かせる。
宮田哲男の長唄演奏会に対する受賞。長唄の語りと旋律に劇的な彫り込みを与え、歌舞伎音楽としての伝統と演奏会形式で聴く音楽性を結びつけた成果である。
長唄を舞台伴奏にとどめず、劇性を持つ音楽として聴かせた演奏会。
花柳寿惠幸の『苧環・恋の神杉』『旅ゆけば』に対する日本舞踊の成果。古典的な恋の情緒と旅の情景を、品格ある所作と構成で舞台化した作品群である。
恋の情緒と旅の景を、花柳流の端正な身体で見せた舞踊成果。
建畠覚造の〈WAVING FIGURE〉は、戦後日本の抽象彫刻を代表する作家が追求した立体作品の系列。見る角度によって形の関係が変化し、硬質な素材の中に波や運動の感覚を生み出す。
静止した立体の中に、角度ごとに揺らぐ波と身体の気配を宿す抽象彫刻。
藤原雄の『備前一千年、そして今』などの展覧会成果は、備前焼の伝統を現代陶芸として国際的に示したもの。土、炎、窯変が生む力強い表情を軸に、備前の歴史と作家自身の造形を結びつけた。
備前焼の千年の蓄積を、現代陶芸の造形として世界へ示した展覧会成果。
山彦節子の『能・狂言の舞踊』『河東節道成寺』に対する受賞。江戸浄瑠璃の一流派である河東節の語りを通じ、道成寺物の情念と古曲の品格を舞台に響かせた成果である。
河東節の声で、道成寺物の恋の執念と古曲の粋を立ち上げた舞台成果。
NHKスペシャル『天安門・激動の四十年 ソールズベリーの中国』は、天安門事件を目撃したジャーナリスト、ハリソン・ソールズベリーの視点を通じて、中国革命後の歩みと民主化運動の帰結を検証したテレビドキュメンタリー。河本哲也は制作として関わった。
天安門事件を、中国革命後の長い政治史の中で捉え直したドキュメンタリー。
演劇作品として記録される二作で、記憶、再会、夢の層を舞台上で扱った作品群です。人物の関係が時間をまたいで揺れ、現実と回想の境目を行き来する構成が中心になります。
夢と同窓会という場が、過去の関係をもう一度舞台へ呼び戻します。
国語学者の大野晋と作家の丸谷才一が『源氏物語』をめぐって語り合う対談評論。物語の筋、人物関係、恋愛、言葉の働きを自在に読み、古典を現代の読者に近づける。
国語学者と小説家が、源氏物語を読み解きながら古典の面白さを開いていく。
勅使河原宏監督の映画『利休』は、千利休と豊臣秀吉の緊張関係を軸に、美意識と権力の衝突を描く歴史映画。茶の湯の空間、花、器、所作を映像の中心に据え、芸術家としての利休像を前面に出している。
茶の美意識と天下人の権力がぶつかる場に、利休の孤高を描く映画。
宮田哲男の長唄演奏会に対する受賞。長唄の語りと旋律に劇的な彫り込みを与え、歌舞伎音楽としての伝統と演奏会形式で聴く音楽性を結びつけた成果である。
長唄を舞台伴奏にとどめず、劇性を持つ音楽として聴かせた演奏会。