毎日出版文化賞 まいにちしゅっぱんぶんかしょう
第7回(1953年)
受賞者
9名柴田天馬訳『聊斎志異』は、蒲松齢の中国怪異短篇を日本語で味わえるようにした翻訳です。狐、幽鬼、妖異、士人の欲望や滑稽をめぐる物語を、独特の文体とルビを交えながら、幻想と批評精神のある読み物として伝えます。
中国怪異文学の名作を、柴田天馬の個性的な日本語で読む翻訳文学の古典です。
堀口捨己が桂離宮の建築と庭園を論じ、佐藤辰三の写真と図版を添えた建築書・写真集。桂離宮を日本建築の古典であると同時に、近代建築にも通じる空間構成として読み解く。
桂離宮と八條宮、作者、庭と建物の構成を、写真・図版と論考によってたどる。
細井輝彦が蚊の生態や防除を、少年読者にも理解できるように説いた科学読み物。病気を媒介する昆虫と人間の生活環境を結びつけ、衛生と自然観察を扱う。
蚊をなくすという身近な課題から、昆虫の生態、衛生、暮らしの改善へ読者を導く。
和辻哲郎『日本倫理思想史』は、日本の倫理思想を神話・律令国家・武家社会・近世思想・近代の変容まで通史的に論じた大著です。日本人の共同性、国家観、人倫の観念を、歴史の具体的な展開のなかで読み解きます。
神話から近代まで、日本の倫理思想の歩みを歴史の厚みのなかでたどる和辻哲郎の主著です。
藤田五郎が日本近世の豪農を中心に、封建社会の経済構造とその変化を論じた経済史研究。江戸時代の農村社会から近代への移行を考えるための重要な研究である。
豪農の形成と地域経済の変化を通して、日本封建社会の展開を実証的に追う。
『日本政治思想史研究』は、丸山眞男が近世日本の儒教、国学、国民主義の形成を分析し、日本思想の近代化を「自然」と「作為」の対抗から読み解いた古典的著作。戦後の日本思想史研究の出発点をつくった本として読み継がれている。
近世思想の内側から、日本の近代化の型を読み解いた丸山眞男の古典的名著。
『近代経済学史』は、杉本栄一が近代経済学の諸学派を世界資本主義の歴史的展開のなかで読み解いた経済学史の著作。理論の成立、発展、消滅をたどり、それぞれの論理的な意義を見定めながら現代経済学への展望を示す。
近代経済学の流れを、理論の内側と資本主義の歴史の両面からたどる杉本栄一の遺著。
『生物学大系』は、戦後の生物学知識を体系的に示そうとした自然科学書の企画で、三輪知雄らの専門的な知見を背景にまとめられた。動物・植物・生理・分類などを横断し、研究者と読者の間をつなぐ基礎的なシリーズとして位置づけられる。
戦後の生物学を体系として示し、自然科学出版の基盤を広げたシリーズ。
井口基成校訂『世界音楽全集ピアノ篇』は、バロックから近代までの主要なピアノ作品を、演奏・教育の現場で使える楽譜としてまとめたシリーズです。日本のピアノ学習者に標準的なレパートリーを届け、演奏文化の基盤を広げました。
日本のピアノ教育を支えた、井口基成校訂による春秋社の楽譜シリーズです。