毎日出版文化賞 まいにちしゅっぱんぶんかしょう
第34回(1980年)
受賞者
11名『作者の家 黙阿弥以後の人びと』は、河竹登志夫による近代演劇史・家族史のノンフィクション。歌舞伎作者・河竹黙阿弥の死後、その娘糸女が河竹家を守り、養嗣子繁俊へとつながる家の歴史を、著者自身の家系と演劇史の視点から描く。
河竹黙阿弥の後継者たちを通して、歌舞伎作者の家と近代の変化を描くノンフィクション。
『英国鉄道物語』は、小池滋によるイギリス鉄道史と文学文化を結びつけた評論。鉄道の誕生と発展、時刻表や旅行の文化、ディケンズをはじめとする文学や推理小説に現れる鉄道を通して、近代イギリスの社会と想像力を描く。
鉄道史と文学を往復しながら、近代イギリスの交通文化を描く評論。
『子犬のロクがやってきた』は、中川李枝子作・中川宗弥画の児童文学作品。少年一郎の家に迎えられた子犬ロクをめぐり、家族の暮らし、子どもの成長、動物と人の関係をあたたかく描く。
一郎の家にやってきた子犬ロクとの日々を通して、家族と子どもの時間を描く物語。
『東亰時代 江戸と東京の間で』は、小木新造による都市社会史。江戸から近代国家の首都・東京へ一気に移ったのではなく、その間にあった明治前半期の過渡的な都市生活を、庶民の暮らしと江戸文化の残響から描く。
江戸と東京のあいだにあった明治前期の都市生活を描く社会史。
『北京三十五年 中国革命の中の日本人技師』は、山本市朗が中国で過ごした三十五年を描く回想記。技師として北京に暮らした体験を通じ、日中戦争末期から中華人民共和国成立後、文化大革命期までの社会の変化を語る。
北京に生きた日本人技師の視点から、中国革命期の街と労働者たちの時間をたどる回想記。
『わらじ医者京日記 ボケを看つめて』は、京都・堀川病院の医師である早川一光が、地域医療と老いの現場を綴ったエッセイ。往診と診療の中で出会う高齢者や家族の姿を、生活に根ざした言葉で描く。
京都の地域医療の現場から、老い、認知症、家族、庶民の往生を見つめるエッセイ。
『源氏物語の英訳の研究』は、『源氏物語』の英訳を比較文学の観点から検討する研究書。ウェイリー訳などを対象に、古典本文が英語へ移される際の表現、解釈、受容の問題を論じる。
『源氏物語』の英訳を、表現と受容の両面から検討する比較文学研究。
『田中正造全集』は、足尾鉱毒事件に生涯をかけて取り組んだ田中正造の文章、記録、演説、日記、書簡などを集成した全集。政治活動、地域住民との連帯、近代日本の公害問題への抵抗を、本人の言葉と関連資料からたどる。
足尾鉱毒事件に向き合った田中正造の思想と行動を、文章・演説・日記・書簡から読む全集。
『童遊文化史 考現に基づく考証的研究』は、半沢敏郎が子どもの遊びを民俗・文化史の対象として体系的に扱った研究書。伝承遊び、遊具、遊び方、地域差を広く集め、実見と考証を通じて子どもの生活文化を描く。
子どもの遊びを、伝承・遊具・地域差からたどる大部の民俗文化史研究。
『一茶全集』は、小林一茶の発句、句帖、紀行、日記、俳文、句文集、撰集、書簡、雑録、関係俳書、伝記・研究資料を集成した全集。信濃教育会が編み、一茶の創作と生活、俳諧世界を幅広くたどる。
小林一茶の発句・日記・書簡・関連資料を集め、俳人の生活と表現をたどる全集。
『京都の医学史』は、京都府医師会が編んだ京都医学通史。平安期から近代までの医療制度、医家、疾病観、医学教育、地域医療の展開を、本文篇と資料篇で大規模にたどる。
京都を日本医学史の重要な場として読み解く、本文篇・資料篇から成る大部の通史。